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中小企業労働環境改善推進会ブログ!

「ステップブログ!」がリニューアルしました!同じメンバーが、今まで同様、働く上での役立つ情報をお届けします!!

倫理研修

2009-01-28 20:09:08 | Weblog

みなさんこんにちは。
今回の担当は山口剛広です。

最近 周囲でインフルエンザに罹っているという話をよく耳にします。
感染性の胃腸炎も流行しているようですので、十分にお気を付け下さい。

さて、今回は先日 私が受講して参りました、東京都社会保険労務士会で開催された倫理研修についてお話したいと思います。


我々社会保険労務士は、5年に一度、この倫理研修を受講しなければならないことになっています。東京の場合 2時間の集合研修の形で行われ、健康上の理由などの特別な理由がない限り、必ず受講しなければならないことになっています。遅刻や早退が合わせて30分以上となった場合は、受講しなかったものとして取り扱われます。

ところで、そもそも「倫理」とは何でしょうか?

大辞林(第3版)によれば「人として守るべき道。道徳。モラル」となっています。

今回の研修においても、基本的な意味は同じだと思いますが、「職業倫理」という意味での研修であり、簡単に言えば、社会保険労務士としてやってはいけないこと、を認識する研修です。

特に注意しなければいけないのが、特定社会保険労務士としてADR機関でのあっせん代理をする場合等です。

特定社会保険労務士は、個別労働関係紛争に係る紛争解決手続の代理を行うことができますが、例えば顧問先で紛争事件Aが発生し、事業主から相談を受け、それに対して見解を示した後、その対象労働者から代理の依頼があった場合に受任できるでしょうか?

もちろん受任できません。

では、紛争事件Aが終了する前に、紛争事件Aとは別の紛争事件Bに関して、同じ事業主に対してその労働者から代理の依頼があった場合に受任できるでしょうか?

原則として受任できませんが、事業主が同意した場合、受任することができます。

では、紛争事件Aが終了した後、別の紛争事件Cに関して、同じ事業主に対してその労働者から代理の依頼があった場合に受任できるでしょうか?

受任できます。


現実的にはあまりあり得ることではありませんが、やはり注意はしなければなりません。


その他、守秘義務に関すること、信用失墜行為の禁止に関すること、不正行為の指示等の禁止に関することなど、当然のことでありながら、こうした研修を受けることで、再認識させられることもありました。

社会保険労務士法 第1条の2では、「社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない」とされています。


顧問先にとって有益となることを行うことが必要ではありますが、常に倫理を意識した行動を心掛けなければいけないですね。


山口社会保険労務士事務所    
     所長 山口 剛広 (特定社会保険労務士)
 



 


就業規則の不利益変更

2009-01-21 22:26:29 | Weblog

皆さんこんばんは。
今回の担当は、私、武田です。

本日は、以前私が所属していた社会保険労務士武蔵野支部の自主勉強会に参加してきました。
既に新宿支部に移っているのですが、昔の好で自主勉強会にはお誘いいただいています。

今回は、講師に任命され、「就業規則の不利益変更」をいうテーマで1時間ほど話をしてきました。
最近は、景気の動向が影響し、賃下げや解雇に関する相談を受けるケースが多くなりました。
また、テレビや雑誌等にも大企業のリストラ問題や派遣義理の問題が連日取りざたされています。

そんな中で、労働条件をやむを得ず変更せざるを得ない場合、会社はどのような判断基準で進めていかなければならないかが大きなポイントとなります。

もちろん労働者の合意が取れれば、就業規則の内容を変更することは問題ないのですが、労働者の合意がない場合は、厳しくその合理性が問われます。

就業規則の不利益変更に関する有名な判例は、以下の通りです。

秋北バス事件(最高裁S43.12.25大法廷)
大曲市農協事件(最高裁S63.2.16第三小法廷)
第四銀行事件(最高裁H9.2.28第二小法廷)
みちのく銀行事件(最高裁H12.9.7第一小法廷)
等々です。

上記判例の中で、7つの大きな合理性を判断するポイントがあり、昨年施行された「労働契約法」(でもこの考え方 が踏襲されていることが見受けられます。

①変更によって労働者が被る不利益の程度
②使用者側の変更の必要性の内容・程度
③変更後の就業規則の内容自体の相当性
④代償措置その他の関連する労働条件の改善状況
⑤労働者側との団体交渉・労使協議等
⑥他の労働組合又は他の労働者の対応等
⑦変更内容と同業他社、他産業の水準との比較から見た社会的妥当性

これらの要素を総合的に考慮して判断するとしています。

「総合的に」ということなので、全ての基準を満たさなければならないというわけではありませんが、一つ一つが就業規則の不利益変更の有効性を判断するにあたり、非常に重要な要素になるということです。

 
「就業規則」は会社で働く上で、ルールブックのようなものなので、変更する際には上記の通り、厳しい目で判断されることになります。
つきましては、日頃から、会社としては、労働者と良好な関係を築き、就業規則の変更等の際には、すぐに合意が取れるように、環境整備を進めていくことが理想的といえます。
 

助成金について①

2009-01-14 16:48:26 | Weblog
みなさん、明けましておめでとうございます。
社会保険労務士 小田です。
本年もよろしくお願いいたします。

今年、最初のテーマは「助成金」についてです。
昨今の景気低迷期には国が行う「助成金」制度が充実します。
我々、社会保険労務士が関与するのは、厚生労働省管轄の助成金になりますが、その数は多種多様で、その時代々々の厚生労働行政の政策を写しているとも言えます。
今後の制度改正に目が離せないところです。

助成金は大きく分けると次のように大別されます。
1、雇用維持型
2、雇用創出型
3、教育訓練型

昨今の景気低迷により、企業の中には一時休業をするなどの報道があります。
そのたびに頭をよぎるのが「雇用調整助成金」についてです。
「雇用調整助成金」は1番目の「雇用維持型」の典型例です。

「雇用調整助成金」の概要は次の通り記されています。
景気の変動、産業構造の変化等に伴う経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、休業(休業及び教育訓練)又は出向を行った事業主に対して、休業手当、賃金又は出向労働者に係る賃金負担額の一部を助成するもので、失業の予防を目的としています。

私も約10年ほど前に「雇用調整助成金」の申請を経験しました。
管轄のハローワークに書類一式を持参するのですが、これが、なかなか大変な量の書類になります。
現在の受注量と昨年同時期の受注量を証明する書類ですとか、現在の売り上げと昨年同時期の売り上げを証明する書類ですとか、社員数の増減を証明する書類ですとか。。。
そして、実際に休業したことの証明とともに申請をします。
実際に受ける額は、それほど多くはないのですが、無いよりはあった方が良いと言ったところでしょう。

他にも費用対効果の良いものとして「中小企業子育て支援助成金」があります。
次回はこの助成金について詳細をお伝えします。

弊所もやっと事務所のホームページを作成しました。
まだ制作過程のため、内容がスカスカですが、今後充実させていく予定です。
こちらも併せてよろしくお願いいたします。
URL http://odajimu.com/

小田社会保険労務士事務所
所長 小田 栄治(特定社会保険労務士)

適格退職年金の廃止

2009-01-07 15:56:51 | Weblog

みなさんあけましておめでとうございます。
本年もステップブログを どうぞよろしくお願いします。

今回の担当は、山口剛広です。

新年を迎えても、新聞やニュースの話題は、「派遣切り」に伴う「派遣村」の話題や、製造業における「操業休止」の話題など、「雇用」に関する話題が多いように思います。景気の悪化に伴う「正社員の削減」までもが騒がれるようになってきて、果たしてどこまで続いていくのか、先が見えない状況ですね。


ところで、1月3日の日本経済新聞にこんな記事がありました。

厚生労働省は中小企業などに普及している税制適格年金が2012年3月末に廃止になるのに伴い、他の企業年金制度への移行を促すための支援本部を9日に設立する。運営を受託する金融機関などに参加してもらい、どんな移行支援が必要かを検討する。参加するのは企業年金連合会のほか、日本経団連などの経済団体、信託協会、生命保険協会など。企業年金連合会に事務局を置き、企業からの相談を受け付ける。企業への啓蒙(けいもう)活動も手掛ける方針だ。


ご自身の仕事に直接関係ない方にとっては何のことやら?かもしれません。
多くの中小企業では、退職金の準備にこの税制適格(退職)年金制度を利用していました。積み立てにかかる掛金を税務上損金として扱えるため、効率良く退職金の準備ができました。
ところが、景気の悪化に伴い、準備すべき退職金に対して、多くの会社で「積立不足」が発生し、加入者保護の観点から2012年3月末で廃止されることが決まっています。皆さんの退職金も、この制度で運用されているかもしれないですね。

実はこの制度が廃止されることが決まったのは今から7年前の2002年のことです。制度廃止を理解している大企業では既に制度移行を完了したところも多くありますが、中小企業では未だ制度廃止の事実さえ知らないところもあり、昨年3月現在で約33000社がまだ手続きが済んでいないとのことです。

あと3年もあるよ、と思われがちですが、この制度を変更(廃止も含む)するためには、人事制度の変更も伴うため、かなりの時間を要します。通常は最低でも1年はかかるでしょう。また、掛金を預かっていた生命保険会社や信託銀行も、制度廃止直前に依頼があっても、受けられない可能性が高いと考えています(知り合いの担当者による)。

そのため、国(厚生労働省)をあげて移行支援を行うことを決定した、というわけです。

私個人としては、対応が遅すぎるなあとは思いますが、今からでもまだ間に合いますので、退職金を税制適格(退職)年金で運用されている会社の方は、すぐに運用先に問い合わせてみて下さい。

なお、ステップ会では税制適格(退職)年金からの移行に関するご相談にも応じています。金融機関とは異なる、第三者として意見をご希望の場合や、制度移行全体の取りまとめ役としての委託を希望される場合はご連絡下さい。


 山口社会保険労務士事務所    
     所長 山口 剛広 (特定社会保険労務士)