みなさんこんにちは。
今回の担当は小松原です。
寒さがピークをむかえる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。風邪をひいたりしていませんか?
今回は高年齢者の雇用対策についてです。
年金の支給開始年齢のさらなる引き上げ議論もあるなか注目されます。
厚生労働省の雇用対策基本問題部会は、今後の高年齢者雇用対策について、
①希望者全員の65歳までの雇用確保策
②生涯現役社会の実現に向けた環境の整備のための方策
について検討を行い、その報告が公表されました。
今後、厚生労働省において、法的整備を含め所要の措置が講じられるものと見込まれます。
65歳までの希望者全員の継続雇用確保検討の背景
少子高齢化が急速に進展し、また団塊の世代が60歳代後半に達し引退すると、就業者数はかなり減少します。
一方で、高年齢者の就業意欲は非常に高く、65歳以上まで働きたいという人が高齢者の大部分を占めていると指摘されています。
このような中、現行の高年齢者雇用安定法では、60歳定年及び65歳まで(平成23年12月時点では64歳)の雇用確保措置を義務化されていますが、労使協定により継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定め、当該基準に基づく制度を導入したときは、継続雇用制度を講じたものと見なされています。
厚生労働省の調査では、雇用確保措置を導入している企業の割合は、31人以上規模企業のうち95.7%に達しており、全企業のうち、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は47.9%であり、希望者全員が64歳まで働ける企業の割合は50.8%、また、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準により離職した者が定年到達者全体に占める割合は11.8%(定年到達者約435,000人中約7,600人)という結果がでています。
一方で、年金の支給開始年齢は段階的に引き上げられており、男性については、定額部分は平成25年度に65歳までの引上げが完了し、同年度から、報酬比例部分についても61歳に引き上げられる(平成37年度までに65歳まで段階的に引上げ)ため、無年金・無収入となる者が生じる可能性があります。
また、高年齢者については、長い職業人生で培ってきた職業知識や経験を経済社会において有効に活用することが重要であり、そのためには高年齢者がその意欲及び能力に応じて働くことができる生涯現役社会を実現するための環境を整備することが必要であるとも指摘されています。
希望者全員の65歳までの雇用確保について
公的年金の支給開始年齢が65歳まで引き上げられることを踏まえると、無年金・無収入となる者が生じないよう、65歳までは、希望者全員が働くことができるようにするための措置が求められています。
生涯現役社会の実現に向けた環境の整備
2025 年には65 歳以上人口が全人口の3割を超えると見込まれる中で、生涯現役社会の実現が求められるが、高齢期は個々の労働者の意欲・体力等に個人差があることなどから、それらに応じて正社員以外の働き方や短時間・短日勤務やフレックス勤務を希望する者がいるなど、雇用就業形態や労働時間等のニーズが多様化しています。
このため、このような高年齢者の多様な雇用・就業ニーズに応じた環境整備を行うことにより雇用・就業機会を確保する必要があり、また、中高年齢者を取り巻く雇用情勢は依然として厳しく、いったん離職するとその再就職は困難であるため、再就職しやすい環境整備が一層必要であると指摘されています。
以上が厚生労働省の雇用対策基本問題部会の報告です。
形はでうであれ65歳までは働けるようにしろということですが、年金支給開始年齢の引き上げにあわせて出るべくして出た議論ですね。
しかしながら、高年齢者の雇用確保は大事かもしれませんが、高齢者の雇用確保が若年者の採用減につながりはしないかということが心配です。
小松原経営労務管理事務所
代表 小松原 理