ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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〝医師とマスコミを買収〟する製薬会社の実態

2011年03月14日 | Weblog

 

2011年3月11日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号

「朝刊ピックアップ」で記事

「〝医師を買収〟する製薬会社の実態」

を企画、取材、執筆しました。

 

 キーワードは「薬」…


  11日付朝日新聞朝刊によると、製薬会社の業界団体「日本製薬工業協会(製薬協)は、製薬会社から医師への資金の流れを2013年度から公表するという。

 背景にはアメリカの動きがある。オバマ政権は昨年、製薬会社から医師への10ドル以上の金品提供(講演料、顧問料、贈答、食事、旅行代金など)の情報公開を義務付けた。これは「太陽の光にさらすように明らかに」という意味の「サンシャイン条項」と呼ばれる制度だという。 

 オバマ大統領が資金の流れを明らかにしたワケは、製薬会社が医師にカネを支払う対価として、その医師の口から、薬の効き目を過大に宣伝させる事例が後を絶たないためだ。

 「怖くて飲めない! 薬を売るために病気はつくられる」(著者: レイ・モイニハン、アラン・カッセルズ、訳: 古川奈々子/ヴィレッジブックス刊)によると、例えば1999年にアメリカで「社会不安障害」という病名が、急に流行り始めたという。 社会不安障害とは、「ひと前であがったり、大勢の人に会うと気分が悪くなったりすること」。つまり、以前は「はずかしがり屋」「シャイ」「極端な内気」といわれていたことが、突然、れっきとした病気になってしまったのだ。それからというもの「全米の8人に1人がこの病気にかかっている」と盛んに宣伝されるようになり、製薬会社グラクソ・スミスクラインから顧問料を受け取っていた医師が、「自殺リスクのある同社の薬」のことを「社会不安障害に効く」と吹聴したりし始めたという。

 ほかにも、うつ病、ADHD、高コレステロール、高血圧、骨粗しょう症などでも、同様の手法で巨大製薬会社が薬を売り込んでおり、いまや「健康な人々がターゲットに据えられている。日常生活での気分の浮き沈みは精神疾患となり、ごくあたりまえの不調は恐ろしい病気に変貌する。そうして、ふつうの人々がどんどん病人にされていく」と警告している。

 日本も例外ではない。朝日新聞によると、肺がん治療薬「イレッサ」の使用指針を2005年にまとめた日本肺癌(がん)学会員の所属する大学講座などが、製薬会社から最大2千万円の寄付や研究費を受け取っていたことが、原告の訴訟で発覚。

 2007年には、インフルエンザ治療薬「タミフル」の副作用を調べる厚生労働研究班の研究者の大学講座に、輸入販売元が多額の寄付をしていたことが判明している。

 日本はただでさえ世界に冠たる〝薬好き〟の国民性がある。その上、現実に、製薬会社に医師やマスコミが“買収”されている。だから当然、資金の流れを透明化していく必要がある。が、製薬会社の自主公表の基準には、やましいカネの流れを隠すための「抜け道」が用意されているかもしれない。その中身を検証していく必要がある。


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