ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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ワタミ1割閉鎖、スタッフ異動で人員不足解消図る

2014年04月17日 | Weblog

 平成二十六年三月二十八日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「ワタミ1割閉鎖、スタッフ異動で人員不足解消図る」
 
を企画、取材、執筆しました。


 
 今日の朝刊は、日本経済、読売、毎日新聞が、巷で「ブラック企業の代名詞」として有名な居酒屋「ワタミ」が、人手不足解消のために60店舗を閉鎖すると報じている。

 記事によれば、ワタミは運営する居酒屋約640店舗のおよそ1割にあたる60店舗を、今年度中に閉鎖する、と昨日発表したという。

 その閉鎖する理由が珍しい。ワタミが昨年設置した外部の弁護士などによる有識者委員会が今年1月にまとめた報告書で「所定労働時間を超える長時間労働が存在する」「労働時間を正しく記録していなかったことがある。(労働者が)そのように指示された」と指摘していた。

 それを受け、ワタミ側は閉鎖する60店舗で働く正社員100人と約670人のアルバイトを、近隣の他店舗に異動させ、1店舗あたりの人員を増やすのだという。

 ちなみに、今年2月4日に衆院議員会館で行われた過労死防止法の制定を求めるシンポジウムの席上、主催者側がこんなことを言っていた。同日開催の自民党内の「過労死等防止に関するワーキングチーム(WT)」に出席したワタミ会長で自民党参院議員の渡邉美樹氏が、「この法律の制定に私は賛成をしたい。是非、成立をさせて欲しい。自分の会社では過労死は起きましたが、これについては一生償っていきたい。経営者は決して敵ではない。過労死防止の取り組みに巻き込んでいってもらいたい」という趣旨の発言をしていた、と。

 その発言を受け、同シンポで講演した大和総研・主席研究員の河口真理子氏は、感銘を受けた、と述べ、渡邉美樹氏は、今ままでは企業経営者の立場で労働者を見ていたが、国会議員として見ると、違った風景になったのではないか、と言い、似たような会社にアメリカのウォルマートがある、同社はブラック企業といわれ世論に叩かれたが、改心してホワイト企業になった、という意味のことを言っていた。

 ウォルマートとは米国に本社を置くスーパーマーケットで、低価格、低人件費を武器に、各地の小規模な商店街を席巻して、世界一の売上高となった業界最大手の企業。

 この会社は、労働者を低賃金でこき使い、労組の結成も認めないことから、悪質企業としてその名を世界中に轟かた。

 ドキュメンタリー映画でも批判され、新規出店計画の3分の1が地元の抗議にさらされ、大半が出店中止となり、ノルウェー政府などから名指しで批判される事態にもなった。

 窮地に立ったウォルマートは、住民などと話し合いを繰り返し、ビジネスのやり方を見直すようになった。例えば、従業員への健康保険手当の付与、最低賃金の引き上げ、社員教育、地域農産品調達、零細企業活用、農家支援などだ。(参考文献:株式会社クレアンCSRコンサルタント 水上武彦のCSV/シェアード・バリュー経営論 12年2月20日付「ウォルマートの変身とサプライチェーンへの影響」)

 さらに、ハリケーンなどの自然災害への対応も準備し始めた。そうした折、05年にハリケーン・カトリーナが襲来した。

 そのときウォルマートは、被災住民に対し、食料、医薬品、避難場所を提供。最初の3週間でトレイラー2500台分の緊急用物資をニューオリンズ市内に配送。被災者安否確認のための掲示板(写真やメッセージの掲載可能)の創設(5万3,000件掲載、500万件アクセスあり)。150か所の避難所にネットにアクセス可能なコンピュータ設置。被災した仮住まいの従業員、家族に対し、最初に生活必需品と現金250ドルを支給し、従業員向け災害救援ファンドを通じ、1人当たり最高1000ドルを支給(これにより1万9,000人以上の従業員に対して総額1,350万ドルを提供)。被災した地域に戻れない従業員に対して、彼らが望む店舗や施設での雇用を提供、といった支援を実施した。(参考文献:Think ITみずほ情報総研・多田浩之氏07年2月23日付「ウォルマートがハリケーン・カトリーナ危機において実施した具体的な応急対策・対応の例」)

 こうして政府より迅速、と評価されたカトリーナへの対応を機に、人々の見方は変わった。果たしてウォルマートのように、ワタミは大化けするだろうか。(佐々木奎一)


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