ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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二木啓孝が語る、東京都小平市で民主主義の新しい実験

2013年06月10日 | Weblog

2013年5月24日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「今日のニュースに一言」で
 
 ジャーナリスト・二木啓孝氏の記事
 
「東京都小平市で民主主義の新しい実験」
 
を聞き書きしました。
 
 
 

 今週日曜日(5月26日)に東京都小平市で、興味深い住民投票が行われる。テーマは、小平市に新しい道路を建設することについてだ。

 この道路建設は50年前に計画されたもので、なぜだか今頃になって東京都はこの建設を実施するという。具体的には府中市と東村山市を結ぶ「府中所沢線」(約13.6km)のうち、小平市内の1.4km。建設区間には武蔵野の雑木林があり、市民の憩いの散歩道になっている。そして、この道路建設により現在住んでいる220戸の立ち退きが予定されている。この道路の近く300m先には府中街道があり、交通の便が悪いわけではない。なのに東京都は建設を強行しようとしていて、この問題での住民投票が行われる。

 今年3月、小平市議会では、住民投票条例が可決されたが、小林正則・小平市長は4月の市長選で三選した後にこの条例を修正し、「住民の50%以上が投票しない場合は、市民の総意としての意見ではないのでこれを無効とし、開票もしない」という内容を加えて提出し、議会は可決した。

 50%のハードルは高い。この市長の市長選挙での再選時の投票率は37%。37%の投票率で当選した市長が50%の投票率を要求するのも、なんだかなぁ、という感じである。50%のハードル設定により、「そんなに高い投票率なら行っても仕方がない」と市民が投票に行かない方向へ誘導するものとみられている。

 なお、この住民投票は、着工するか、中止するか、を決めるのではなく、見直す必要があるか、ないか、を問うものである。つまり、この道路建設は東京都の管轄で、小平市に直接の決定権はないため、住民投票で見直す必要性があるという結果になっても、法的拘束力はない。ただし住民投票が可決された場合、小平市長は、その民意を東京都に持っていかなければならない。

 これまで全国の自治体で行われた住民投票は約400件。その大半は市町村合併についてだった。合併以外のテーマは22件でしかない。東京都で住民投票が実施されるのは今回が初だ。市民が行政に参加するかどうか、極めて興味深い民主主義の実験である。


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