ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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路上ライブでアイドルグループが書類送検

2014年10月21日 | Weblog

 平成二十六年十月十三日付、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「路上ライブでアイドルグループが書類送検」
 
を企画、取材、執筆しました。

 

 9日付朝刊に「アイドルグループ、新宿駅前で無許可路上ライブ 容疑の10人書類送検」(朝日新聞)、「路上で無許可ライブ タレントら書類送検 道交法違反容疑」(読売新聞)という記事があった。それによると、8月13日午後、関西を拠点に活動する女性アイドルグループのメンバー7人と、グループ責任者の男と、ものまねタレントの男2人の計10人が、都内の新宿駅南口前の歩道で、道路使用許可を得ずにライブを開いて客を集め、CDやライブチケットの販売もしていたとして、道路交通法違反(道路の不正使用)の疑いで8日、警視庁に書類送検されたという。

 NHK電子版によると、書類送検されたのは、女性アイドルグループ「フレア・ラ・モードAce」と、お笑いコンビ「ザチョベラム」のメンバーらで、「今年5月頃から都内の繁華街などで20回以上に渡って無許可で路上ライブを繰り返していて、警視庁は二度と同じような違法行為を行わないとする誓約書を繰り返し提出させていた」が一向に止めずに送検された。10人は「コンサートのチケットやCDを販売するため、より人通りの多いところでライブを行いたかった」と話しているという。

 なお、このアイドルグループが新宿南口でライブをしている映像がユーチューブにある。そこには黄色い看板に太字で「路上ライブ禁止 取り締まり中」と書いてある看板の目の前で、このグループが踊って歌っている。その様子を観ているファンもいる様子だ。もともと新宿南口は出入りの激しい場所で、歩道の道幅も広くないので、苦情が相次いだとみられる。

 ちなみに、繁華街の駅前では、よくフォークギターやバンドなどで路上ライブをしている人がいるが、あれは厳密にいうと、道路交通法や自治体の条例に抵触する。例えば、「東京都道路交通規則」の第18条(道路使用の許可)には、「警察署長の許可を受けなければならない行為は、次に掲げるとおり」「楽器を鳴らし、又は特異な装いをして、広告又は宣伝をすること」「交通の頻繁な道路において、寄附を募集し、若しくは署名を求め、又は物を販売若しくは交付すること」などとある。

 では、書類送検されたアイドルたちは許可を出せばよかったのかといえば、そういうことでもない。路上ライブをするので許可を下さい、と警察に言っても、原則、許可がおりないのだ。(参考: 京都の「服部行政法律事務所」HP「ストリートライブって違法なの?」)裏を返せば、駅前でよくみかけるライブは、無許可で行っているということになる。警察が指導をすれば、即演奏を止めざるをえない状況なので、演奏者は、人だかりができて通行の妨げになって迷惑をかけないよう、気を使っているはずである。

 路上ライブからプロの目にとまり大成する場合も稀にあるが、その足場は警察の裁量次第という、吹けば飛ぶようなもろい作りなのである。

 そうした中、町おこしも兼ねて、路上ライブを許可する自治体も出てきている。千葉県柏市では全国で初めて、05年1月からJR柏駅周辺での路上ライブ演奏を認定制にした。「柏駅周辺イメージアップ推進協議会」が定めた「大音量機材や販売行為の排除、活動時間厳守や清掃」といったルールを守ると誓約した演奏者に、柏市の認定証を発行するというもの。(05年04月14日付日本経済新聞朝刊より)

 神奈川県川崎市の京急川崎駅近くの川崎銀座街商店街では、08年3月から「かわさきバスカー」と銘打ち、演奏場所を若手ミュージシャンに無償で提供する事業を始めている。「バスカー」とはロンドンの地下鉄駅構内などでよくみかける路上ミュージシャンを指す。その日本版を目指すという。ほかにも川崎市ではミューザ川崎、川崎ルフロンなどの商業施設で路上演奏の場を提供しているという。(09年4月7日付同紙朝刊より)

 大阪市福島区でも駅前の商店街の集客を増やす狙いで13年3月から、柏市の取り組みを見習い、区が使用許可を取った広場を野外ステージとして提供している。(14年6月16日付同紙夕刊より)

 これらの自治体の方策は、地域経済にとってもミュージシャンたちにとってもプラスといえよう。クリエイターを育む気風のある国は、活気がみなぎり栄えるのではないだろうか。(佐々木奎一)

 


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