2011年5月2日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
「朝刊ピックアップ」で記事
「『風力で原発40基分の発電』環境省試算と日本の電力事情」
を企画、取材、執筆しました。
キーワードは「電力事情」。
「原発は電力の約3割をまかなっているので、原発を止めたら人々が生活できなくなる」とよくいわれるが、「原発は電力の約3割をまかなっている」というのは、色々な発電所があって電力がありあまっている中で、原発の稼働率を高くしている、という意味でしかない。
経産省資源エネルギー庁の電力調査統計によると、空前の“猛暑”だった昨年8月の電力10社の火力、水力、原子力、風力など全て合わせた「発電所認可出力」(電力供給量)は2億640万8千kW(キロワット)。そのうち原子力の認可出力は計4,623万kW(全体の22%)。
そして昨年8月の電力10社の「月間最大電力」(最大出力)は1億8,023万3千kW(キロワット)。つまり、最大に使っても余った電力は2,617万5千kW分(電力10社の全原発の57%分)に上っていたことになる。
ピークの8月以外の月はもっと電力は余っている。たとえば昨年5月をみると、最も電力を使ったときでも、余った電力は7,776万4千kW(電力10社の全原発の1.68倍分)に上っていた。
こんな記事もある。
「風力発電で原発40基分の発電可能 環境省試算」(朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0421/TKY201104210510.html
記事によれば、普及が見込める風力発電のうち46%が北海道、28%が東北となるが、「電力会社間の送電能力には現状では限界がある。試算どおりに導入するのは短期的には難しい」とある。
これは電気の周波数が東日本60ヘルツ、西日本50ヘルツのため、現状では変換装置がなければ西から東に供給できないことを示唆したものだが、実はこれの克服には「そんなに時間はかからない」という専門家の指摘もある。(週刊ポスト2011年4月22日号「真夏の東京大停電危機 なぜ関西電力から電気を引けないのか? 」より)。