ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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妊婦・障害者排除、自主規制…急拡大する不寛容社会

2015年07月07日 | Weblog

 平成二十七年六月二十三日付、auの「朝刊ピックアップ」で記事 

 「妊婦・障害者排除、自主規制…急拡大する不寛容社会

  を企画、取材、執筆しました。

 

 けさの毎日新聞に「議論と距離置く『中立性』に違和感[取材班が見た現場] 萎縮する社会 不寛容の時代に 第2部 番外編」という記事がある。

 

 これは毎日新聞の今月の連載「萎縮する社会 不寛容の時代に」の取材班が、取材後の感想を記した記事。

 

 なお、この連載の第1部「わかりあえたら 不寛容時代に」は今年1月に掲載していた。その中身は、川崎市北部の住宅街に移転計画した精神障害者のグループホームに対し、近隣在住の女性医師が経営する医院のブログに「精神障害者にも幸せに暮らしてほしいが、まともに働いて税金を納めている人の生活を阻害してはいけない」と書き込み、医院の受付に反対の署名用紙を置き、共感が近隣住民から地区内の子供を持つ親へ広がり、1か月で1000人以上も署名が集まり、「精神障害者 大量入居 絶対反対」という10本近いのぼりと横断幕が掲げられた、という話や、在日に対するヘイトスピーチ、同性愛者の女性が母親に告白して勘当された話など。

 

 さらに、かばんに「マタニティーマーク」を付けた妊婦が、地下鉄で前に座っていた中年男性に「どけっ」と言われて、みぞおちを右肘で突かれたり、ネットサイトwebR25の記事「マタニティーマークは危険?」によると、「電車なんかのんなよ! と暴言を吐かれた」「足をかけられてこけた」といった事例もあり、この記事のコメントには「満員電車乗るなら流産する覚悟は出来てるだろうけど」「だって蹴って下さいマークだろ?」といった妊婦へのバッシングが拡散したという話もあった。

 

 連載第2部「萎縮する社会 不寛容時代に」では、都道府県と政令市、東京23区、人口10万人以上の市の計337自治体に対し、同紙が調査したところ、10~14年度に「憲法」「平和・戦争」「原発」「特定秘密保護法」の四つをテーマとするイベントの申請を断った自治体は65自治体に達したという。

 

 理由は、「この内容では市が政治的中立性を保てないため後援できません」というものだが、本音は、安倍政権を批判しているイベントに手を貸すことで政権に睨まれることを恐れた「自主規制」とみられるという。

 

 テレビでも、過激派組織イスラム国が湯川遥菜さんと後藤健二さんの2人を人質にして殺害した時、フリーのジャーナリスト常岡浩介氏が番組担当者に「『助けられたはず』はやめてください」「政権批判はやめてください」と言われたので、常岡氏は番組を降りたり、構わず政権批判をするとその部分はすべてカットされたりしたという。

 

 政治風刺のコント集団「ザ・ニュースペーパー」は、安倍政権が出てきた頃から、テレビ局に営業活動に行くと「今は使いにくいね」と言われるようになり、テレビからほとんど姿を消した。

 

 このように安倍政権が出て来た頃から急速に不寛容な世の中になってきていることを浮き彫りにしている。

 取材班の感想には「こうした動きが今後も広がっていくのか、注視していく必要がある」とあるが、私たち国民がこの「自分とは異なる他者の存在を認めない」不寛容な空気、時流に立ち向かっていかない限り、この流れが拡大することは必至といえよう。(佐々木奎一)

 


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