
平成二十六年七月十一日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
「朝刊ピックアップ」で記事
「鳥取籠城ゆるキャラ「かつ江さん」排除の背景」
を企画、取材、執筆しました。
けさの毎日新聞に「『かつ江さん』ネット公開やめる」という記事がある。これは鳥取市教育委員会が今月7日に公開した「ゆるキャラ」の「かつ江(渇え)さん」を指す。かつ江さんは、ボロボロの着物を着た、やせこけて餓死寸前の女性が、右手にカエルをもっているキャラだ。
これは戦国時代、「鳥取の渇え殺し」という史実に基づいている。1580年、豊臣秀吉と軍師・黒田官兵衛は、鳥取城攻略のため、領民を襲い、鳥取城に逃げ込ませた。これにより、冬までもちこたえれば秀吉軍は撤退していくとみて籠城戦を戦っていた城将吉川経家の目論見が外れ、城内の植物や牛馬は食い尽され、餓死者が続出し、信長公記によれば、豊臣軍の兵士によって撃たれた人間が、まだ息があるのにも関わらず、人々が群がり集まって肉を削いで食べた、首の取り合いになった、といった凄惨な記述もある。(参考: 雑誌「歴史人」HP、出版社「七花舎」HP)
この史実をモチーフにしたかつ江さんは、市民が応募して選ばれた作品。だが、かつ江さんは鳥取市教委のHPに公開直後、「飢餓をちゃかしており、不謹慎ではないか」「不適切だ」「不快だ」といった批判を浴びた。そして昨日、鳥取市教委は今後一切、かつ江さんをHP上で公開しないことに決めたというのが、けさの記事である。
ちなみに、昨日付のTBSラジオ「荒川強啓デイ・キャッチ!」の高齢者を対象とした街頭アンケートでも、かつ江さんは、「可愛くない」「怖い」「市民に愛されるキャラクターではない」「イメージが下がる」「ゆるキャラで笑顔になれない」「昔の貧困を思い出す」など全否定されていたという。
しかし、評論家の山田五郎氏は、「僕はいいと思いますよ。こういうお城とかのキャラクターはみんな武将だが、その裏で、苦しんでいた民衆がいるわけですよ。民衆がお城のキャラクターになったというのは珍しい例だと思いますよ。民衆の側からの歴史を学ぶ上で、非常に大事だと思いますし、キャラクターとしても、右手にもっているカエルが効いています。子どもにも、カエルは食べられる、意外にご馳走だということもわかりますし、これをグッズにすると、逆にちょっと不気味キャラ、自虐キャラになる。かつえさんTシャツがあれば欲しいです。かつえさんの方が歴史を学べますよ」と述べている。
さらに山田氏は、かつ江さん排除の現象の背景について、こう述べている。「2000年代のコンプライアンスブームや、教育現場での『ほめて伸ばす』ブームなど、日本のあらゆるところで、ネガティブなことは一切言っちゃいけない、教えていけない、ポジティブなことだけを表に出していこう、というポジティブ原理主義が背景にある。否定されることなく育った子どもたちは、自分を客観視できなくなる、誰も、『お前ダメだ』って言ってくれないから、自分で問うしかなくなる。だから不安な子どもが増えている。だけど、『ネガティブになるのはよくない』といわれているから、一生懸命、これでいいのだ、と自分を肯定している」と指摘している。
ちなみに、いま放送しているNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」は、あからさまに「鳥取の渇え殺し」は取り除き、美談に仕立て上げていた。
、かつ江さん現象の背景は根深いが、歴史に学び、ネガティブな現実も直視して、自分のことを客観視できるようにする、という意味でも、かつ江さんは世に出す価値があったのではないか?(佐々木奎一)
写真は喝江さん。
某大手の子会社で働いている者ですが、
私も現在パワハラや退職勧奨を受けています。この場合、会社に相談窓口はあるものの 余程の場合を除き身内(パワハラしている人)
を庇うのだろうと思います。何かいい方法は
ありますか?精神的にかなり追い詰められています。宜しくお願いします。
連絡先wwwsskアットnifty.com
佐々木奎一