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ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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秋田書店は少年チャンピンではくブラック企業のチャンピオン、告発会見に潜入!

2013年10月04日 | Weblog

 平成二十五年九月二十二日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「潜入! ウワサの現場」で記事
 
「秋田書店は少年チャンピンではくブラック企業のチャンピオン、告発会見に潜入!」
 
を企画、取材、執筆しました。
 
 


 少年コミック誌『週刊少年チャンピオン』や少女漫画誌『プリンセス』などを発行する「秋田書店」に対し8月20日、消費者庁は景品表示法違反(有利誤認)で措置命令を出した。長年にわたりこの景品水増しをやめるように社内で訴えて昨年3月に懲戒解雇された女性社員は、9月11日、秋田書店と担当していた雑誌の編集長を相手取り、地位確認や慰謝料など求め東京地裁に提訴。同日、厚労省内で記者会見を開いた。主催は首都圏青年ユニオン。実態を知るため、現地へ向かった。

 会見場には、新聞、テレビの記者クラブメディアやフリーランスなど約40人が参加し、会見者側には、原告のA氏のほか、首都圏青年ユニオンの顧問弁護団や幹部が出席した。室内は満席で気温上昇するほど飽和状態だった。

 訴状によると、A氏(28歳)は大学卒業後の07年4月に秋田書店に正社員として入社。その後、月刊少女漫画誌『ボニーダ』編集部に配属となり、編集業務に従事していたが、同年7月4日、先輩の編集部員と一緒に懸賞用の読者プレゼントの買い出しに出かけた際、その先輩から賞品を各一つか買わないよう指示されたことを不審に思った。そこで、編集長の長沢順司氏に対し、「一つの賞品しかないのに、当選人数を10名にしたりするのは、おかしいのではないでしょうか」とたずねた。すると、会議室に連れていかれ、こう怒鳴られた。

 「新入社員のくせに、仕事を選ぶのか!この会社にいたかったら上から言われたことを聞いて、文句を言わずに黙って仕事をしろ!」

 A氏は、不審に思ったが従わざるを得なかった。同年7月17日、副編集長のM氏にそのことを尋ねると、「オレの時代も一つずつしかしないで水増ししてた」「長沢編集長の言うことが、この編集部では絶対。逆らうな。オレもそうやってずっとやってきた」「罪悪感を持っていたら、仕事はできない。そのうち慣れる」と言った。

 A氏は「おかしいと思うので、この詐欺のような行為をやめるように一緒に長沢編集長にかけあって下さい」と頼むと、強い口調で「ムリ。言ってかえられることじゃない。上の指示に従え」と怒られた。

 同年12月26日には、長沢編集長にこう脅された。「プレゼントページのことなどをベラベラ話ているんじゃないだろうな。あれは編集部外者には他言するな」「もし話をしたとなれば、オレはお前を潰す」「編集者ではいられなくしてやるからな」

 また、隔月刊誌『プチプリンセス』でも、A氏は08年5月に前任の編集部員から引き継いだ際、「『プチプリンセス』でも『ボニータ』と同じようにプレゼントは一つの賞品につき一つしか購入しないでね。雑誌の当選人数は嘘で、本当は各賞品につき一人にしか当選させないから」と指示された。

 このときも、A氏は長沢編集長に指摘した。すると、「仕事として当たり前のことだろうが。バレたら大変なことになる。他人には口外しないようにな」と口止めされた。

 そこでA氏は副編集長M氏に指摘すると、「会社の人がみな若いうちに経験しなくてはいけない業務。通過儀礼だ」と言われた。

 その後も、長沢編集長のA氏に対する暴言は続いた。「お前がいるだけでみんなが迷惑している。今後はお前は電話を取るな」「俺の言うことを聞けない奴は、編集部からも会社からも飛ばされるんだ、覚えておけ」

 さらに「本当に給料泥棒だな。そんな人間はいなくていい。辞めてもらう。早く帰れ」(08年10月17日)、「オレの下で働けない奴は、消えてもらう」「女は仕事を辞めて家庭に入るのが一番だ」(09年11月13日)、「俺は目障りだと思う奴をすべて排除してきた。意味わかるよな」(10年4月22日)、「部下の管理はオレが行う。言うことを聞けないなら辞めろ』(11年3月2日)などと退職を迫った。

 なかでも激しいパワーハラスメントは11年3月28日だった。同日午後5時ごろ、会議室に呼び出されて、正面に長沢編集長がドカっと座り、副編集長2名が横に座って、3人に囲まれた状態で、「どんだけお前のせいで、俺が迷惑していると思っているのか」「俺が責任者だから、俺の言うことが聞けないなら、出て行ってもらう」「俺の下で働けないなら、どの会社に行っても働けない。秋田でも無理」「は?パワハラなわけない。編集部の責任者は俺なんだから、全て俺が決めるのは当たり前。従わない奴はいらない」などと1時間半以上にわたって暴言を吐き続け、最後には「もう仕事をしなくていい、信用できないから」といって、雑誌編集の担当業務から外された。

 A氏は08年ごろから、不眠や、全身の倦怠感、不安、抑うつに悩まされ、食欲減退、体重減少、胃の不快感、嘔吐といった症状が現れ、前記の激しいパワハラの翌29日に、初めて心療内科に受診して「適応障害」と診断され、通院し現在に至る。そして11年9月20日から有休を取得し、翌12年1月5日から休職扱いとなり、同月12日付で会社から、A氏のロッカーを調査する、と連絡があり、その後、会社は、調査によりA氏が読者プレゼント賞品を多数の読者に発送せず、自己の親族宛に不法に送付し窃取した、として同年3月30日に懲戒解雇してきた。A氏はそのような事実はないと否定している。

 会見では、首都圏青年ユニオンの非正規労働センター事務局長の河添誠氏が、秋田書店のA氏に対する仕打ちについて「ブラック企業の中のブラック企業で、あり得ない企業。この会社はご承知の通り、手塚治さんの『ブラックジャック」とか、水島新司さんの『ドカベン』などの有名漫画を多く出版している会社ですが、ブラックジャックではなくてブラック企業だ、少年チャンピオンではなくてブラック企業のチャンピオンだ、と私は本当に思いました」と語った。

 次にA氏が「会社は私に4年半以上、ひどいパワハラとともに不正業務を強要し続けてきたにもかかわらず、一切、謝罪はありません。不正を指示した編集長は、今も編集長のままです。労災の申請にも、会社は誠実に対応してくれませんでした。私の病気は、会社の不正業務と、ひどいパワハラが原因であったことは、明らかだと思います。このような態度を取る会社の体質は、このままでは変わっていくとは思いません」と語った。

 さらに、涙を流し、声を詰まらせながら、こう語った。「解雇されて生活のすべてが一変しました。小さい頃から、憧れていた漫画編集者の夢を失いました。心と身体の健康も、失いました。毎日普通の人だったら当たり前に感じる、うれしいとか、楽しいとか、美しいとか、そういう感情も破壊されました。片耳の聴力もストレスで一時的に失いました。摂食障害によって、食べることも、安らかに眠ることもできなくなった、そういう地獄の日々でした。経済的な理由で、住居も変えなければいけませんでした。私は多くのものをこの解雇で失いました。

でも、編集者でなくなっても、私は私です。それは会社にいた頃から、ずっと変わりません。おかしいことには、おかしいと声を上げます。不正を隠ぺいし、会社ぐるみで読者をだます体質の秋田書店を許すことはできません。会社には、だれのための会社なのか、考えてほしいと思います。当然、読者のための会社であるべきです。でも、今は、一部の上司や上層部の保身のための会社になっているように思います。これは社会的にあり得ないことです。全力で裁判で戦っていく決意です」

 なお、秋田書店に、A氏の訴えに対する見解を聞いたところ「まだ訴状を見ていないので、コメントできません」とのことだった。

 一体、読者プレゼントを巡る不正の闇はいつから始まったのか? 実像を知るべく裁判の行方に注目していきたい。(佐々木奎一)

 

 写真は秋田書店本社(〒102-8101 東京都千代田区飯田橋2-10-8)。
   


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