平成二十七年六月一日付、auの「朝刊ピックアップ」で記事
「『日焼け』で皮膚がん、シミ、シワ、白内障リスク」
を企画、取材、執筆しました。
けさの読売新聞にイラスト付きで「『日焼け』警報 発令中」という記事がある。
冒頭、「これからの季節は、日焼けの原因となる紫外線量が急増する。日常的に紫外線を浴び続けていると、肌が黒くなるだけではなく、シミやシワ、白内障、皮膚がんの原因にもなると考えられている。梅雨に入る6月は、曇りの日であっても相当量の紫外線が降り注ぐ。帽子や日傘、日焼け止めなどを上手に活用しながら健康的な肌を維持したい」と注意を促している。
紫外線量は、晴れの日を100%とした場合、薄曇り80%、曇り60%、そして雨の日でさえ30%に達するという。また、日陰でも50%浴びたり、雪の反射で80%、水面や砂浜、アスファルトの反射では10~25%浴びるという。
ちなみに、紫外線の悪影響が科学的に明らかになるにつれ、世界では、「日焼けサロン」を禁ずる国が増えている。
ニュースサイト「SankeiBiz」の今年1月7日付の記事「豪州も『日サロ』禁止、世界的潮流に 『皮膚がんの原因』と判断」によると、オーストラリア(豪州)の大半の地域で、人工的に紫外線を当て肌を小麦色にする「日焼けマシン」の商業利用が1月1日から禁止されたという。理由は、豪州は皮膚がんの発症率が世界最悪の水準にあり、日焼けマシンもその原因と判断したためという。
具体的には、日焼けサロンは「豪州では1990~2000年代に若者の間でブームになったが、その結果、発症リスクも高まった」「ニューサウスウェールズ州がん評議会の調査では、35歳までに日焼けマシンを使った人は、使わなかった人より発症率が59%も高くなった。州内では毎年、少なくとも10人が日焼けマシンで皮膚がんになり、死亡している」という。
豪州だけではない。「すでにブラジルが全面商用禁止に踏み切っているほか、米国の約30州と欧州のイギリス、フランス、スペインなど11カ国が禁止もしくは年齢制限を導入」している。
一方、日本は、いまも日本各地に日サロは存在する。
皮膚がんは、白人には多いが、日本人がかかるがんのうち、上位10位にも入らない希少がんである。(国立がん研究センターHPより)そのため、欧米ほど問題視されていない面もあるのかもしれない。
だが、周知のように日本人のなかには、色白な人も多い。特にそういう人は日焼けをすると被害が出るのではないか。
実際、日サロによる被害事例は、日本でも明確に発生している。日本皮膚科学会HPによると、皮膚科医を対象にしたアンケート調査で、日サロによる火ぶくれ症状やシミ、眼の障害など150例を超す健康障害例が見出されているのである。そのため同学会は、こう訴えている。
「紫外線の害はすぐには出ませんが、何十年もたってから皮膚のしみ、しわ、時には皮膚癌として出てきます。若いときの見かけだけのために日焼けサロンを利用することは皮膚科医としてはお勧めできません」
日焼けをしたい人は、是非、こうした事実を知った上で判断してほしい。(佐々木奎一)