プロコフィエフの日本滞在日記

1918年、ロシアの若き天才作曲家が、大正期のニッポンで過ごした日々

京都散策

1918-06-14 | 日本滞在記
1918年6月14日(旧暦6月1日)

 もう五日間も何も仕事をしていない。物足りない気分なので、今日はどこにも出かける必要がなくてよかった。メローヴィチと一緒に、無数の寺や珍しい水路(トンネルを抜ける運河)を備えた、素晴らしい景色の京都近郊を散策した。これこそ本物の日本だ。メローヴィチはアメリカへ行く途中、ホノルルでコンサートをすることを薦めてくれる。素晴らしいアイデアだ。ホノルル行きは私の夢なのだから。宿の部屋は素晴らしい。和洋折衷で、彫物を施した左右に開く壁とタタミがある。ただとにかくバカ高くて、円はあっというまに羽根がはえて消え、ルーブルはさらに下落してしまった。残りの何枚かの五ルーブル札をどう替えていいかわからない。以前はもっと価値があったのに!