読書の記録

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毎週かあさん ―サイバラくろにくる2004-2008

2008年11月05日 | コミック
毎週かあさん-サイバラくろにくる2004-2008----西原理恵子

 西原理恵子、もといサイバラの仕事の中でも今もっとも大看板になっているのは、毎日新聞日曜版に連載される「毎日かあさん」だ。ただ、この「毎日かあさん」は本人によれば「善良MAX」でふりきっている作品というわけで、サイバラ作品のサンプラーとして適切かどうかはわからない。以前は、黒サイバラ・白サイバラとか無頼派・叙情派なんて言い方をしていたが(本人曰く「品ぞろえの豊富さがじまんな定食屋」)、「毎日かあさん」は言わば白サイバラ最右翼といったところだろう。

 僕は「できるかな」や「鳥頭紀行」あたりの白黒中間地帯あたりがもっともツボっているが(とはいえ「ものがたりゆんぼくん」は不覚にも落涙した)、初期の狂犬マンガ「恨ミシュラン」や「まあじゃんほうろうき」あたりが一番よかったと言う友人もいる。

 ところで、本書は「毎週かあさん」。「毎日かあさん」ではない。出版元も違って、こちらは小学館である。だが、表紙のデザインのレギュレーションがそっくりにつくってある。
 20年来サイバラ作品を追っかけてきた自分にとっては、いくら表紙のデザインが似ていても、タイトルが「毎週かあさん」で出版元が小学館、と気付いただけで、これは確信犯的なセルフパチモンだと思ったが、「毎日かあさん」でサイバラを知る人は、スピンアウト作品だと思って買ってしまう人がいるかもしれない(コミックとして扱われると書店によってはビニール封をしてしまって中身が確認できないだろうし)。

 ただサイバラという人、単行本化に仕立てる際の商品化には非常に気を使い、なんとかお代に見合う作り(サイバラクオリティとでも言おうか)をするので、たとえ「毎日かあさん」からのスピンアウト作品と思って買った人がいたとしても、ブログみたいな感覚で読めて、それなりの発見と面白さはあるのではないか。今回の場合、クロニクルを解説するようなコメントが随所で書き下ろされており、この文章がまた味がある。
 4年分を通して見ることで、最初のあたりは手探り感があるが、だんだん調子が出てきて、マンガがどんどんこなれてくるあたりも興味深い。

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