読書の記録

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原色 日本島図鑑 日本の島443

2016年02月06日 | 地理・地勢

原色 日本島図鑑 日本の島443

加藤庸二
新星出版社

 以前、日本の「一般人は上陸できない島」を集めた「秘島図鑑」を紹介したけど、こちらは「有人島全収録」である。その島の数443島。そのなかには佐渡島や淡路島のようなメジャー級から、相島や奥武島といったどこの島それ、といったものまで含む。人というのはどんな島にも住むものなんだなあ。(もっとも、聞いた話だが日本には島が6000島以上あるそうで、ということは有人島は十分の一にはるかに満たないということか)

 たとえば皆既日食観測で一躍有名になった吐噶喇列島の島々。いちばん遠い宝島へは鹿児島から船で13時間20分。週2便。

 時間距離で言えば東京は竹芝桟橋から25時間30分かけていく小笠原諸島の父島のほうが遠いけれども、観光地小笠原諸島の中心として知られる父島の人口は2000人強。かたや、この宝島は人口117人である。吐噶喇列島の島々はみんな人口100人前後ばかりで、そんな島にはあたかもベトナムやインドネシアで見たような祭事や習俗が残っている。

 とはいえ、吐噶喇列島はそのスジには知られた島である。地図をみると日本にはこんなところに島があって人が住んでいるのか、と思うところがいっぱある。

 北海道の日本海側をみると、最北に利尻島と礼文島がある。このふたつの島はそこそこおおきく、観光地にもなっている。
そこからしばらく南に下がると焼尻島と天売島という2つの島がある。利尻や礼文に比べるとかなり小さい。地図でみている限りでは日本海の荒波に沈みそうな心もとなさを感じる小ささだが、ちゃんと人の営みがある。焼尻は人口254人。天売は人口362人。海鳥が多く集うそうで、鳥マニアには知られた島らしい。この島へのアクセスは北海道側の羽幌港という港から船にのるのだが、この羽幌というところが札幌からも旭川からも遠い陸の孤島のようなところだ。地図を眺めていると旅情をかきたてられて、会社も家庭の些事も投げ出して行ってしまいたいたくなる。

 東京都にある島といえば、伊豆諸島と小笠原諸島かと思いきやほかにもあることが記されている。なんと佃島。

 キョトンとしてしまうが、地図をみれば確かに島だ。人口2654人というのが笑ってしまう。何度もいったことのある界隈だが、今度行くときは島のつもりで訪れよう。いつもとちがった感慨を味わえるかもしれない。

 ほかにも瀬戸内海や長崎県の細かすぎる島々の徹底収録は作者の意地と偏執ぶりを物語る。かなり分厚い本だが、なんと北海道を含む東日本で全体の厚みの7分の1に満たないというのが最大の目ウロコ。日本の島のほとんどは西日本に集中しているのである。

 


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