読書の記録

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地球温暖化で伸びるビジネス

2008年01月25日 | 環境・公益
地球温暖化で伸びるビジネス---日本総合研究所---単行本

地球温暖化がCO2の排出量増加のせいなのかどうか? あるいは京都議定書にどれだけの抑制効果があるのか? はたまた排出権取引やカーボンニュートラルにどことなく感じる「胡散臭さ」をどう思うか? あるいは、「地球温暖化」よりももっと早急に解決すべき国際課題があるのではないか? という、いわば「地球温暖化とCO2排出抑制」課題に対するネガティブな意見や態度は多いにある。これらの投げかけに対して満足できる回答があるわけでもない。

だが、これが重要だと思うのだけれど、「深刻なまたは回復不可能な損害のおそれがある場合には、十分な科学的確実性が存在しないことを理由として、予防措置を延期すべきではない」という予防原則の考えだ。そして「はっきりしないうちは何もしなかった」連中が過去、災害においても戦争においても会社経営においても不祥事においても一番痛い目にあっているのはそれこそ歴史が証明している。ハルマゲドンを信じて、あるいはY2K問題でインフラがストップすると信じて念入りに対処して「バカを見た」人は何人かいたかもしれないが、これだって「バカを見た」具体的な損害は所詮たかが知れている。

そして、もっと重要なことは、ぐちぐち言っているのは日本とブッシュ政権くらいなのであって、EUはもちろん、合衆国も各州の自治レベルでは、そして中国でさえも、もうCO2排出制約下の国際社会での覇権をかけて突き進んでいるのである。彼らの原動力は「私たちのかけがえのない地球を愛そう!」なんて生ぬるいものではなく、「このままでは人類は終わりだ!」という焦燥感でもなく、地球温暖化は次世代の覇権を勝ち取るための最大のチャンス!、という、恐るべきしたたかさなのである。

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