ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

「だれでもデザイン」 デザインによって変わる

2022-04-02 | 読書日記
「だれでもデザイン」(山中俊治著 2021年11月 朝日出版刊)を読みました。




著者は
自動改札機、義手、義足、放射線測定機などをデザインしている人。
中高校生に、デザインについての講義をした記録です。
(なので、語りはゆっくり目)

第6章「使いやすいものを作る」では
「ベビースキャン」という放射線測定機をデザインしたことが語られている。
東日本大震災の後
体内の放射性物質がいつもより増えているかを
ホールボディカウンターというもので測定していた。
ところが子どもは
厚い鉄で出来た暗い箱の中で4分間もじっと立っていることができない。
それを解決してほしいと依頼されたのだ。
考えたのは
巻貝のような形の入り口から滑り込んで
(子どもは狭いところにもぐり込むのが好き)
腹ばいになって
持ち込んだiPadで動画を見ながら
測定できる装置。
ブルーとグリーンのさわり心地のよい素材で作られ
曲線的な形をしている。
結果は大成功だ。
(子どもは出てきたがらないほど)

著者は言う。
「大量生産を中心とした近代産業が取り残した
少数者のためのデザイン
そこに
まだあまり多くの人が手をつけていない
未知の
デザインの可能性がある」

「ピンクの義足を作ったら
周りの人が足を失った人の特殊事情ではなくて
個性の一つとして受け入れてくれた。
周りが変わるきっかけを
デザインは作ったんだ」

著者は「大根おろし器」もデザインしているそうです。
大根おろしが大好きだけど
おろすのはいつもちょっとおっくう。
著者デザインのおろし器だったら
おっくうがなくなるでしょうか…




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