ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

誰でもない彼の秘密

2017-12-08 | 読書日記
「女子ミステリー マストリード100」(大矢博子 2015年8月刊)




で紹介されていた

「誰でもない彼の秘密」(マッコール 2015年4月刊)を読みました



作者は実在の作家を探偵役にしたミステリを書いているマッコール
(「若草物語」のオルコットとか
「嵐が丘」「ジェイン・エア」のブロンテ姉妹とか)

この作品では有名な(知りませんでした)詩人のエミリー・ディキンソン(1830〜1885)が探偵役をしている

15才のエミリーは
「アメリカのつましい家庭婦人」という本をバイブルとする母の主義で
家事に追われる毎日を送っていた
(病弱な母は始終寝込んでいる)
バターを(買えるのに)手作りし
家中のものを手洗いし
バスやトイレを掃除し
パンやケーキを焼き
(恵まれない赤ん坊のためのベビー服に刺繍をする)お針の集いに参加し
・・・・

といってもエミリーは何をやっても
まだ12才の妹のラヴィニアに敵わない
ラヴィニアは
料理も掃除も手際よくこなし
姉妹のうちの美人の方と言われ
体も丈夫だ

エミリーは家事に関心がないのだ
やりたいのは
スカートの下に隠し持ったノートに
思いついた詩を書きつけること

ある日
エミリーは1人の青年と知り合う
名前を名乗らない青年(ミスター・ノーバディ)は
もう1度会う約束をしたのに
約束の日
池に死体となって浮かんでいた
初めて会った時とは全く違う
丈の合わないズボンと大きすぎるシャツという姿で

エミリーはミスター・ノーバディの秘密を解き明かそうと
教会に安置された死体を調べたり
真夜中に父親の法律事務所に忍び込んだり
必死の行動を始める
・・・

エミリーの捜査の邪魔をするのが
日々の家事
というのがおかしみです

(タイトルが惜しい)




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