ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

奇跡の本屋をつくりたい

2018-10-28 | 読書日記
ハナイチゴの葉が赤くなってきて
いよいよ秋も深まって来ました。

「奇跡の本屋をつくりたい くすみ書房のオヤジが残したもの」(久住邦晴 2018年8月刊)を読みました。




表紙の絵はミロコマチコ
装丁は矢萩多聞
ミシマ社の本です。

札幌にあった「くすみ書房」は2015年に倒産した。
店主の久住邦晴さんは
その2年後
ガンで亡くなる。

くすみ書房では
「なぜだ?売れない文庫フェア」
(次郎物語が本屋にないのはなぜ?
尾崎翠が売れないのはなぜ?
売れてないから本屋に置かない。
本屋にないから目に触れない。
……そして絶版になり、消えていく。
でも、本当に売れないの?確かめてみよう)
を開いて
新潮文庫売れ行き1501位〜最下位までの文庫と
ちくま 文庫800点を店頭に置いた。

それから
夕方5時になると
岩波文庫を店内で朗読する企画もやった。

さらに
「中学生はこれを読め」
(中学生に読ませたい500冊)
「高校生はこれを読め」
「小学生はこれを読め」
というフェアをやり
買ってすぐ読みたい人ために
「ソクラテスのカフェ」というカフェも開く。

でも
ついには倒産してしまう………
という哀しい話ではなくて
久住さんは
新しい店を開こうとしていたのだという。
「借金のない経営
きちんと休みのとれる
知的好奇心が満たされる
文化を発信できる
置きたい本だけ置いている
何ものにも束縛されない」
そんな本屋を。


思えば「次郎物語」は
小学生時代のバイブルだったなぁ


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