ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

未来職安

2018-10-11 | 読書日記
もうシャツブラウス一枚では寒い
ので
仕舞っておいたトレーナーを出しました。

「未来職安」(柞刈湯葉・いすかりゆば 2018年7月刊)を読みました。




子供のころ読んだSFでは
未来はすっかり機械化(?)されているはずだったけれど
未来になった今
自動掃除機(ルンバとか)は存在していても
私などはいまだに這いつくばって雑巾掛けをしているし
材料を入れるだけの自動調理器というものもあるらしいけれど
いまだに包丁とまな板と鍋を使っている。
古いものと新しいものが混在しているのが
本物の未来なのかもしれない。
本作は、そのあたりのころあいが上手い。
(メイクはボックスに顔を入れると自動でできる
のに
髪は自分でブローしなくてはならない
とか)

生活基本金(今、話題のベーシックインカム)が支給されるようになって
99%の人は働かない暮らしを選び(消費者と呼ばれている)
残りの1%が働いている(生産者と呼ばれている)近未来。
生活基本金はつましい暮らしができるぶんしか支給されないので
いきおい
人々は家族を増やすようになる。

そんな中で主人公の目黒奈津は
家に居たくない
という一心で生産者になることを選ぶ。

奈津の仕事は民間の職安の事務員。
所長は生きた猫(ロボット猫全盛なのに)で
上司はアセクシャルでベジタリアンでキリスト教徒で機械音痴の大塚だ。

大塚が客に紹介する仕事は
インドの日本食レストランで
本当に日本人がやっているんですよ
という証明のために「居る」こと
とか
防犯カメラに写るために歩くこと
とか
・・・・



この作品
濃すぎなくて
ちょうどいいです。


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