ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

和菓子を愛した人たち

2017-12-28 | 読書日記
「和菓子を愛した人たち」(虎屋文庫 2017年5月刊)を読みました。




虎屋のホームページで連載されている
「歴史上の人物と和菓子」の書籍化です。

書いた人が
自ら作ったり職人さんに工夫してもらったり
というお菓子の写真も載っている。

羊羹
については
夏目漱石は
「あの肌合いが滑らかに、緻密に、しかも半透明に光線を受ける具合は
どう見ても一個の美術品だ。
玉と蝋石の雑種のようで、
甚だ見て心持ちがいい」
と言っているし

谷崎潤一郎は
「あれを塗り物の菓子器に入れて、
肌の色が辛うじて見分けられる暗がりへ沈めると、
ひとしお瞑想的になる」
と言っている。

徳川光圀は元禄13年に
京都のある公家が古希を迎えたお祝いに
紅で寿と書いた
1個260gもある饅頭を100個
(虎屋に注文して)
贈っている。

1853年
ハリスは将軍から贈られた菓子について
「日本の菓子が4段に入っていた。
どの段も美しく並べられ
かたち、色合い、飾り付けなどが
すべて非常に綺麗であった
合衆国に送ることができないことを
大いに残念に思う」
と書き残している。
(再現写真つき)

江戸時代
関白・近衛内前(うちさき)が命名した「蓬が嶋」が
(大きな饅頭の中に小さな饅頭が20個入っているもの
一般的には蓬莱山と呼ばれる)
今も商品として残っている。

などなど
お菓子の話が100 題
室町時代から続く老舗らしい
鷹揚な書きぶりに
好感が持てます。





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