ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

嘘の木

2017-12-01 | 読書日記
12月になりました
街はクリスマス仕様です

面白いと聞いた
「嘘の木」(ハーディング 2017年10月刊)を読みました




舞台はダーウィンが「種の起源」を発表した直後の英国キリスト教界
主人公の少女フェイスの父は
牧師でもあり
高名な博物学者でもある

父の発表した翼のある人類の化石が偽物だという噂が広がって
一家は逃れるようにはヴェイン島に来る
表向きは
島で行われている発掘の助言者として招かれたことになっている

すぐに島でも噂は広がり一家は爪弾きにされる
島にだって新聞は来るのだ
(噂を広めたのは誰なのか?)

そんな中で頼りの父が死ぬ
事故死か
自殺か
はたまた殺されたのか
(自殺ならば墓地に埋葬してもらえない)
フェイスは父が殺されたのだと確信した
でもその主張はなかなか受け入れられない
証明するためには嘘の木の助けが必要だ

父が死ぬ数日前
フェイスは父の手助けをして嘘の木を洞窟に隠したのだ
嘘を養分にして大きくなる木
食べた者に不思議な画像を見せる木

フェイスは嘘の木に嘘を与えるために
嘘の発信者になっていく
・・・・

「少女」の生きにくい時代
幼い弟と一緒に子供部屋で暮らし
大人の集まりでは
科学の「か」の字を口にしただけでも顔をしかめられ
(硬い会話が始まったら、女たちは慎み深く席を外すのがマナー)
結婚して夫に養ってもらうか
家に留まるならば弟に養ってもらうしかない将来
・・・・
沁みるような孤独の中で
果敢に真実を探ろうとするフェイスを
「好きな主人公」リストに加えました








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