ユズリハは福島県が北限とされる常緑広葉樹ですが、昨年の3月に石巻市雄勝町の
半島部の林内で、自生木を確認しています。
尤もこれは自生といえるのかどうか・・・何しろ、その近くの道路沿いに、何十本もの
ユズリハが街路樹として植えられていたのですから。
それらの木に生った実をヒヨドリなどの野鳥が食べ、フンと一緒に種を撒き散らした
結果、あちこちの林内に生えてきたものと推測されます。
松島町手樽地区の山中で、ミヤマシキミを探して雑木林内を歩き回っていたら、
期せずしてユズリハの小高木に出合いました。
そこは標高50mほどの丘陵の尾根筋で、周辺を歩き回ると、同じような小高木から
幼木までが、尾根筋や南向きの斜面にたくさん生えていました。
二枚とも2016.2.4撮影
ユズリハは縁起の良い木として、好んで庭に植えられます。
常緑広葉樹ですから葉を付けて冬を越し、春になると新葉が開いた後に、前年の葉が
ポツリポツリと落葉していきます。新葉と古葉が譲り合うかのように交替するさまを、
親が子の成長を見届けてから跡を譲る、ひいては永続的な家系の継承に例えられて、
縁起の良い木として好まれています。
樹高が4~10mになりますが、成長が遅いため、庭木に向くとされたのでしょう。
葉柄が赤く、深緑の葉と鮮やかな対比をなすのが好まれるのかも知れませんね。
今は雑木林に自生していますが、これらも庭木に生った実が野鳥に食べられ、フンに
混じって散布された結果なのかも知れません。
高木が見当たりませんでしたから、温暖化とともに実生苗が生き延び、丘陵から
低山で野生化していったものと考えています。
2016.2.4撮影
ユズリハ科ユズリハ属の常緑広葉樹で、高さ10mになる高木。
福島県以南の本州~沖縄に分布し、山地の林内に自生する。
樹皮は灰褐色で滑らか、縦に細かい筋が入り、小さなイボ状の皮目がある。
若い枝や葉柄は紅色を帯びる。
葉は互生し、葉身は長楕円形で長さ8~20cm、幅3~7cmで、枝先に集まって付く。
質は皮質で、葉表にはやや光沢があり、縁に鋸歯はない。
雌雄異株で、5~6月にそれぞれが前年枝の葉腋に総状花序を出す。
雄花は紫褐色の雄しべがあるのみで、花弁も萼片もない。
雌花は子房と紫褐色の柱頭のみで、目立たない。
果実は核果で直径8~9mmの楕円体、11~12月に黒紫色に熟す。
果実はヒヨドリなどの野鳥が好んで食べ、その糞に混じって種子が散布される。
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