文部科学省の教科用図書検定調査審議会が昨日2013.12.20に開かれ、先に同省が示した「教科書改革実行プラン」に基づく教科書検定基準の改定案が了承された。2回の会合で「プラン」の検討を終えたことになる。
*この問題については、当ブログ2013.11.14「教科書を政府の「宣伝物」に 安倍内閣」と同2013.11.
16「文科省「教科書改革実行プラン」の意味」で取り上げた。
基準の改定案は、小中高校の社会科(高校は「歴史」「地理」「公民」)について、▽近現代史で通説がない事項はそれを明示 ▽政府見解や確定判例がある事項はそれに基づく記述 ▽未確定の時事的事項は特定の事柄を強調しすぎない──の3点を加える。
文科省は、来年1月末までに現行の検定基準を改定し、同年(2014年)春に申請が始まる中学校教科書検定から適用する方針だ。
「朝日新聞」2013.12.21(朝刊)「教科書検定 新基準を了承」参照
「共同通信」web 2013.12.20「検定基準改正を了承、反対意見も 教科書審議会」参照
上記「朝日」記事より、2つのコメント関連部分を以下に紹介する(*「コメント部分」以外は微調整した)。
(1)同会合では、上山和雄国学院大学教授が「南京事件などで極端な学説があれば『通説がない』と
なりかねない。記述を政府見解に基づかせる点も強い懸念を覚える」と反対を明言した。
(2)実教出版・高校「日本史」教科書の執筆者の1人である加藤公明東京学芸大学特任教授(歴史教
育学)は、「今回の改定は不合格を事前にちらつかせ、政府に都合の良い内容の教科書記述を執
筆者に押しつけるものだ。明確な定義のない政府見解を盾に、恣意的な運用もされかねない」と警
戒する。
≪「朝日新聞」「共同通信」からの紹介終わり≫
安倍内閣は、「日本が好きになる人づくり」を推し進めようとしているのだろうが、日本の将来にとっては「不幸な選択」だと思う。このまま進めば、今後の日本には次の2つのパターンが予想できる。
①批判精神の欠如した「ぼんくら人間」が増加し、国が創り上げた「美しい日本」イメージは定着してい
く。
→同時に、日本の国力は落ち、国際競争力はさらに低下していく。
②それでも、批判精神を持った優秀な人が多く存在し続ける。
→社会科を中心とする教科書の記述内容が信用されなくなる(*これまでは、日本の「歴史」教科書
への世界的評価はきわめて高かった)。多くの人が「世界に通用する学問」とは思わなくなる。
→国民の国への信用・信頼の失墜
どちらに進むか分からない。①と②が同時並行で進み、2極化して行くのかもしれない。
さらに、当ブログ2013.11.16(上記)でも述べたが、こういった安倍内閣の“教育再生”は、集団的自衛権の行使容認化や憲法改定の動きと連動し、「日米軍事一体化」の動きともつながっている、ということも忘れてはならない。
このように、安倍内閣が進めようとする“教育再生”は、「不幸な日本」に至る道だ。
*この問題については、当ブログ2013.11.14「教科書を政府の「宣伝物」に 安倍内閣」と同2013.11.
16「文科省「教科書改革実行プラン」の意味」で取り上げた。
基準の改定案は、小中高校の社会科(高校は「歴史」「地理」「公民」)について、▽近現代史で通説がない事項はそれを明示 ▽政府見解や確定判例がある事項はそれに基づく記述 ▽未確定の時事的事項は特定の事柄を強調しすぎない──の3点を加える。
文科省は、来年1月末までに現行の検定基準を改定し、同年(2014年)春に申請が始まる中学校教科書検定から適用する方針だ。
「朝日新聞」2013.12.21(朝刊)「教科書検定 新基準を了承」参照
「共同通信」web 2013.12.20「検定基準改正を了承、反対意見も 教科書審議会」参照
上記「朝日」記事より、2つのコメント関連部分を以下に紹介する(*「コメント部分」以外は微調整した)。
(1)同会合では、上山和雄国学院大学教授が「南京事件などで極端な学説があれば『通説がない』と
なりかねない。記述を政府見解に基づかせる点も強い懸念を覚える」と反対を明言した。
(2)実教出版・高校「日本史」教科書の執筆者の1人である加藤公明東京学芸大学特任教授(歴史教
育学)は、「今回の改定は不合格を事前にちらつかせ、政府に都合の良い内容の教科書記述を執
筆者に押しつけるものだ。明確な定義のない政府見解を盾に、恣意的な運用もされかねない」と警
戒する。
≪「朝日新聞」「共同通信」からの紹介終わり≫
安倍内閣は、「日本が好きになる人づくり」を推し進めようとしているのだろうが、日本の将来にとっては「不幸な選択」だと思う。このまま進めば、今後の日本には次の2つのパターンが予想できる。
①批判精神の欠如した「ぼんくら人間」が増加し、国が創り上げた「美しい日本」イメージは定着してい
く。
→同時に、日本の国力は落ち、国際競争力はさらに低下していく。
②それでも、批判精神を持った優秀な人が多く存在し続ける。
→社会科を中心とする教科書の記述内容が信用されなくなる(*これまでは、日本の「歴史」教科書
への世界的評価はきわめて高かった)。多くの人が「世界に通用する学問」とは思わなくなる。
→国民の国への信用・信頼の失墜
どちらに進むか分からない。①と②が同時並行で進み、2極化して行くのかもしれない。
さらに、当ブログ2013.11.16(上記)でも述べたが、こういった安倍内閣の“教育再生”は、集団的自衛権の行使容認化や憲法改定の動きと連動し、「日米軍事一体化」の動きともつながっている、ということも忘れてはならない。
このように、安倍内閣が進めようとする“教育再生”は、「不幸な日本」に至る道だ。