三酔人の独り言

ルポライター・星徹のブログです。歴史認識と国内政治に関わる問題を中心に。他のテーマについても。

教科書を政府の「宣伝物」に 安倍内閣

2013-11-14 10:35:06 | 教科書・教育
「文部科学省は、現行の小中高校の社会科教科書の検定基準を見直し、歴史や領土問題について、政府の統一見解を踏まえた記述にするよう求める規定を盛り込むことを決めた。(中略)来春申請が始まる中学校教科書検定に間に合うよう、近く教科用図書検定調査審議会に諮り、早ければ来年一月の改定を目指す」

 「東京新聞」2013.11.14(朝刊)「教科書 検定に「政府見解」規定」のリード文より。

 安倍内閣は、南京事件(1937-38年)や従軍慰安婦問題など日本の「戦争加害」に関する教科書記述に対し、介入の度を強めようとしている。「日本は悪くなかった」と“教育”し、従順な国民を育成していく腹づもりなのだろう。領土問題についても、生徒自らに考えさせるのではなく、政府見解を押し付ける、といった姿勢を感じる。

 自民党の教育再生実行本部・教科書検定の在り方特別部会(主査:萩生田光一衆議院議員)は今年6月25日、「中間まとめ」を安倍晋三自民党総裁(首相)に提出した。同部会は、安倍総裁の指示で今年4月に設置されたものだ。

 今回の文部科学省の「方針」は、この特別部会「中間まとめ」にかなり近いものだ。この「中間まとめ」の中の「今後の課題」には、<教科書の定義、検定、採択を包括する「教科書法(仮称)の制定」>とも記述されている。

 「週刊金曜日」2013.9.20号の拙稿ルポ(星徹)「実教出版を排除! 選ぶ権利は誰にあるのか」の中で、同特別部会の萩生田主査は、この「教科書法(仮称)の制定」について次のように語っている[*筆者が取材]。

「この秋から議論していく。現行法の下で、大臣告示や省令改正で行なえることもある。新しい法律が必要なのはどこかを整理し、提案していきたい」

 当ブログ2013.9.19「地域と国で並進する教科書統制」でも、この関連の問題について論じている。ご参照を。

 安倍内閣は、アベノミクスの「追い風」と高支持率に気を良くして、日本のデモクラシーを瓦解させる方向に一気に舵を切っている。「いま日本で何が進みつつあるのか?」 私たちは、広い視野で物事の展開を見ていく必要がある。

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