読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

香納 諒一 著「虚国 」

2010-04-10 | 香納 諒一
廃墟の撮影に訪れた元探偵のカメラマン辰巳翔一は、廃墟のホテルで絞殺された女性の死体を発見する。
それは、「ちっぽけな田舎町の、ちっぽけな事件」のはずだった。
この国の様々な場所で、長い間ずっと繰り返されてきた公共事業という名の箱物行政。
この忘れ去られた海辺の地方都市町にもちあがった空港建設計画。公共事業は悪なのか。
賛成派反対派で街が二分化される中、殺されたのが反対派女性であり、辰巳が死体を発見したことから、
最愛の女性を殺された地元紙記者安昼らに依頼されて事件の犯人捜しに巻き込まれていく。
登場人物達は、狭い田舎町のしがらみの人間関係の中で生きる知り合い同士、
真相を究明するうちに、元妻、愛人、家族、親子などの関係が炙り出されて来て疲弊する共同体の中で、軽んじられる命と欲得に溺れる人間の性を描き出す。
雑誌連載時の「蒼ざめた眠り」を改題改稿。
題名の虚国の意味とこのミステリーのテーマが明らかになる。
決定的瞬間を待つカメラマンの心情は、同じ写すことが趣味の私にもよく理解できた。
第3弾、シリーズ化の期待大。
2010年3月小学館刊


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