鳥取県米子市生まれの作者が同県内にある日南町を舞台にそのすばらしさを描いた地方創生小説ミステリー。「TATARA」(日野町)、「天の蛍」(江府町)と、日野郡を舞台にした小説日野郡三部作最後のシリーズ。東陽新聞米子支局の記者・牟田口(むたぐち)直哉と高校生の娘・春日(はるひ)が主人公。ある日、春日と友人たちは、オオクニヌシゆかりの赤猪岩神社で男性の遺体らしきものを目撃する。しかし直後に遺体は消えさり、翌日、日南町の大石見神社で男性の遺体が発見される。牟田口は報道記者として追いかけるうち、事件に秘められた過去に近づき始める。
遺体のそばに落ちていた紙片に書かれていたオオクニヌシとはいったい誰なのか?親子の周囲で巻き起こる、過去と現在をつなぐ謎。新聞記者と高校生の父娘の複数視点から描かれた謎と伏線が、驚く意外な展開と結末となって収束されます。山陰地方の大国主命伝説と松本清張の出自を絡ませた展開。この地方の訛も心地好く青春ミステリーとしても読め500頁の長編でしたがストーリーに惹き込まれました。「✕」とは誰か何かその意味は・・・。日南町の自然と人のすばらしさを知ることができる小説ですが心に残る言葉、示唆は感じなかった。
2019年9月 日南観光協会刊
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