読書備忘録

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独映画・DVD「善き人のためのソナタ」

2010-11-04 | 映画
2006年ドイツ映画原題は「Das Leben der Anderen、(あちら側の人々の生活)」
英題「The Lives of Others」。 監督・脚本:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
東ドイツの強固な共産主義体制の中枢を担っていたシュタージ<東ドイツの秘密警察>の監視官を主人公にしたドラマで、当時の東ドイツが置かれていた監視社会の実像と怖さ克明に描いた作品。
2006年第79回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した。
ベルリンの壁崩壊の5年前1984年の東ベルリン。
主人公の国家保安省(シュタージ)の局員ヴィースラー大尉(ウルリッヒ・ミューエ)は国家に忠誠を誓っていた。
ある日彼は、反体制の疑いのある劇作家ドライマン(セバスチャン・コッホ)とその同棲相手の舞台女優クリスタ(マルティナ・ゲデック)を監視するよう命じられる。
さっそくドライマンのアパートには盗聴器が仕掛けられ、ヴィースラーは昼夜の徹底した監視を開始する。
しかし、聴こえてくる彼らの世界にヴィースラーは次第に共鳴していく、自由な思想を持つ彼らに次第に魅せられて人間性に目覚めていく。
そして、ドライマンが弾いたピアノソナタ(ドライマンの誕生日に後に自殺した演出家イエルスカから「善き人のためのソナタ」という楽譜を贈られて、「この曲を本気で聴いたものは悪人になれない」という音楽)を耳にした時、ヴィースラーの心は激しく揺さぶられるのだった。
実直で堅物でアパートの住民からは陰口叩かれながらの住まい、一人での味気ない食事、手近の娼婦と惨めなセックス、組織の中での孤立・・・人との繋がり、人の温もりがない生活から人間らしい感情を取り戻しす過程いい。
クリスタの悲劇は残念だったが、映画の最後に何年か後にドライマンが彼の為に書いた本にヴィースラーだけに解る記号で感謝の意を見つけるシーンは感激した。
東独を扱った映画「グッパイ・レーニン」やベルリンの壁の下にトンネルを掘りを描いた映画「トンネル」 とは違う面からの視点で一番感動した。
主人公を演じたウルリッヒ・ミューエ(2007年没54歳)自らも東独時代シュタージの監視下にあったとかどんな気持ちで演じたのだろうかと聞いてみたかった。
公開時マイナー映画扱いで見れなくて、DVD発売時近くのレンタルショップでも置いてなかった作品が
昨晩BSで放送されやっと思いがかなった映画でした。

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