読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

湊かなえ著 『贖 罪』

2009-06-15 | ま行
「告白」で本屋大賞受賞作家が受賞後第一作とある。
悲劇の連鎖の中で「罪」と「贖罪」の意味を問う。「コンプレックスを持った子どもが、そのコンプレックスに命を救われたら、その後どのような人生を送るのだろう。外見の小さなコンプレックスなど、年をかさねるにつれて、忘れたり、どうでもよくなっていくことのはずなのに、逆に重くのしかかってくることになるかもしれない。 その子どもが「償い」をしなければならない状況に置かれたら、どんな手段を選ぶだろう」(著者談)。
空気の奇麗な小さな田舎町を舞台に起きた惨たらしい美少女殺害事件。犯行時一緒に居たにもかかわらず犯人と目される男の顔をどうしても思い出せない4人の10歳の少女たちに投げつけられた被害者の母親からの激情の言葉が、彼女たちの運命を大きく狂わせることになる。
一つの陰惨な事件が少女達に落とした影は、深く暗い。感情にまかせて放った一言は他人の人生を狂わせるだけの鋭い心のナイフ。
人の心を抉る言葉の重さと恐ろしさを5人の異なった側面から書くことで、その中心の事象を表現する手法を今回も用いている。
絶妙に加減された伏線と、共感できない展開にいつもながら切なくなる。少しずつズレてブレていく心の動きを丁寧に書いてるいるのはやっぱりうまい。
2009年6月 東京創元社刊

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1 コメント

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かなえさんの作品について (MARIA)
2012-02-20 17:07:33
 

 かなえさんの大ファンです。
 応援してます。
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