読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

志摩 峻著「ザ・リコール」

2008-03-05 | さ行
2006年第3回ダイヤモンド経済小説大賞受賞作
名門自動車メーカーのリコール隠し事件と、それを巡る保険会社の
対応を内側から描いたフィクション経済小説。この小説、三菱自動車の
リコール隠し事件をベースにしているのだろう。
名門自動車メーカー五稜自動車工業の看板車イーグルで、
不可解なトラブルが発生、メーカーと損保会社・中央火災の幹部同士が
リコール隠しのため結託するが、その動きを暴力団が嗅ぎつけ割り込んでくる
。巨大メーカー、大手損保、暴力団の三者に挟まれて、事故に遭った
ユーザーや被害者たちは無残にも潰されていく。
中央火災のPL保険担当課長、黒岩は自社の自動車保険支払い記録を洗い、
イーグルに欠陥があることを確信、自社がリコール隠しに
加担する動きを止めようとするが、会社は逆に彼を海外に飛ばそうとする。
内部告発を決意した黒岩は…
企業が生き残るための非情な道理が、法令順守の精神や倫理観を
のみ込んでいく様、官民癒着の腐敗ぶりが見事に描かれていて後半の
会社内の内通者スパイ探しや意外な結末に展開のスピード感、
ミステリーの面白さや黒岩の恋の行方も絡ませて楽しませてくれる。

2006年 ダイアモンド社 刊☆☆☆ ☆☆ ☆☆☆ ☆ ☆

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