読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

山本甲士著「ひなた弁当」

2010-02-21 | 山本甲士・恩田陸
中堅の住宅販売会社の人員整理でリストラにあい50歳直前で弁当販売をはじめた主人公、
芦溝良郎のつくる弁当は「ほのぼのとしていて、それでいて生きる力を感じさせてくれる「ひなた弁当」だった。
芦溝良郎は、社内野球大会で常務の頭部へ投球を当ててしまった翌日、27年間勤めた
「王崎ホーム」からリストラを宣告されてしまう。
そして出向先として斡旋された人材派遣会社では、仕事をするどころか自分が派遣社員として登録される始末。
妻からは、隣近所や娘の手前出勤しているふりをするように命じられる。そんなある日、絶望する49歳無職の男に、一つのアイディアが、「どんぐりって食べられるんだよな」。
「食べるものがただで手に入れば、生きていくのにそれほど金は必要ではないかも」と。
それから次々に勉強し、野草、川でとれる魚、うなぎなど、その辺にあるものを収穫し、おいしく食べられる工夫をしていく。
あげくは、それらをお弁当にして売り出すことに。 気まずかった妻や予備校に通う娘とも距離が縮まり、いろいろな人との出会いで、
彼自身他か周りの人たちにも変化をもたらしていきます。
人との絆、人に必要とされること、仕事、楽しむこと、シンプルな生活、自然との共存。
人生で大切なことってなにかを教えてくれます。
巻き込まれ小説で有名な著者が書いた「あたりー魚心」の姉妹編とも呼べるリストラにあったお父さん達にエールを贈る痛快作。

2009年11月中央公論新社刊

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