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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

重松 清著「なぎさの媚薬2 」 

2008-05-06 | 重松清
『週刊ポスト』連載に加筆して単行本化第2弾。
多彩な中著者お得意の官能小説です。
渋谷界隈にたたずむの「なぎさ」という名の伝説の娼婦。
客のほうがその子に選んでもらう「天使」「妖精」と呼んでもいいような・・・
でも二度とは会えないらしい孤独な男たちに夢を見せる。
それは、青春時代の忘れ物を取り戻す、せつなく甘い夢を・・・
彼女は、かつて愛した女性を不幸な運命から救いたいと心から願う男の前にだけ現れる。
なぎさは情事の後、男に青春時代に戻る夢を見せる。
現実には抱けなかった女性を抱き、その運命を変えることができるという。
2005年 小学館刊

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重松 清著『ブランケット・キャッツ』

2008-04-22 | 重松清
ブランケットキャットとは、レンタル猫のこと。
お気に入りの毛布といっしょに
レンタルされる猫たち7匹の連作短編集。
レンタル期間は2泊3日 、レンタル中は好きな名前をつけられる。
賢い猫たちなので、自分の名前をすぐに覚えるらしい
借りられる猫と猫を借りる人間たちの物語にほろりとさせられる。
訪れる客は、何かしらの問題を抱えている。
子供を授かれない夫婦、会社の金を横領した女、リストラでマイホームを
手放す家族など、事情はそれぞれ。
数日だけ、今すぐに猫を必要としている人たちである。
使い慣れた毛布に包まれてレンタルされてきたブランケットキャットは、
飼い主の事情をすべてわかったようにふるまい、
彼らの生活に小さな変化をもたらす…。
『花粉症のブランケット・キャット』子供がいない夫婦に・・・
『助手席に座るブランケット・キャット』黒猫は縁起が悪い?
『尻尾のないブランケット・キャット』ノアの箱舟の最後に乗り込んだ猫
『身代わりのブランケット・キャット』痴呆が出てきた母親に・・・
『嫌われ者のブランケット・キャット』嫌われ者でふてぶてしい猫
『旅で出たブランケット・キャット』さすらいのアメリカンショトヘアー
『我家の夢のブランケット・キャット』ではマイホームを手放す家族の
思い出つくりに借りられたのだがその猫にとって大事な毛布が大変な事
になってしまうのだけど…
さらりと書かれた短編なんだけど結構内容深いかも。
2008年2月朝日新聞社刊 1575円
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重松 清著 「永遠を旅する者 ロストオデッセイ千年の夢 」

2008-03-07 | 重松清
連作短編
主人公はカイム。永遠の生を生きる、すなわち死ねない男。
あるときは傭兵としてあるときは暗殺者、荷役人として人類の歴史を見てきた
他人の人生に大きな影響を与えないように、静かに存在しきた時の旅人・・・
物語の舞台はすべて、1000年の旅をしてきたカイムが訪れた、
「いつか、どこか」の町。
「ひとが老いて死んでいく宿命は、思いだけではどうにもならない。
だからこそ・・・ひとが生きている時間はかけがいなく尊いものなのだ」
(本文より)
著者の命の賛歌。
死ねない奴の孤独感は漂っていたが、
残念ながら感情移入しにくく短編の寄せ集め感が否めず
楽しむ事が出来ずに消化不良の読後感です。



2007年11月 講談社刊1,680

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重松清著「小学五年生」

2008-01-28 | 重松清
主人公は全て 十歳もしくは十一歳の男子。意外とおとなで、
やっぱり子ども。
それは急に女子を意識しはじめる頃、人生で大事なものは、
みんな、この季節にあったのでは。
父親を、祖父を、友人を亡くした、また、親の離婚や転校で行き場
のない寂しさをまとった少年たち。
人の死や生き別れで、否応なく孤独を感じることになった少年が、
どう暮らし、何を考え、感じているのかを、
幼心に宿った喪失感に、彼らのひたむきな心がどんな反応をしたのかを
折々の四季を通じて描れています。
心に寂しさを抱えながらも健気に生きる少年たちの笑顔と涙に
暖かい眼差しを投げかける重松ワールド少年物語。
短編全17編。著者の愛情を感じるショートショートです。


文芸春秋2007年3月刊 1,470円

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重松 清 著「その日のまえに 」

2007-12-27 | 重松清
作者のいう「その日」とは家族や友人の亡くなる日のこと。
まだ意識があった3日前死んだら3ヶ月後に夫に渡してと書かれた手紙・・・
「その日のあとで」。「その日のまえに」「その日」の3編が中心になり
「ひこうき雲」「潮騒」「ヒア・カムズ・ザ・サン」の登場人物が
何らかに関係して再登場してくる仕掛けが施されていて面白い。
別冊「文藝春秋」に発表された7編が収められている。
それぞれ病気が発見され 医者から 余命何日と言い渡された本人や
夫婦、家族、友人達との悲しい別れと過去の思い出、死への悔しさが、
多くの人が経験したであろう「その日」が読む人の共感と哀愁を情感
たっぷりに描かれて読者は「生」を考えさせることに。

文藝春秋社2005年8月刊   値段1500円
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重松清著「青い鳥」

2007-11-25 | 重松清
非常勤講師の 村内先生を中心に中学生のいじめ、自殺、学級崩壊、
児童虐待を扱った短編連作。
先生は国語教師なのに吃音を持つ為うまくしゃべれない先生で、
“ひとりぼっち”の子に寄り添う為に各校を廻る非常勤の先生。
一番大切な仕事は、ただ「そばにいること」。
「ひとりぼっちじゃない」と伝えること。

表題の「青い鳥」では、イジメ相談ポスト「「青い鳥BOX」がある
学校での村内先生の話しが
「進路は北」で日本の学校は全て西に向かって
生徒が座るようにできているのは「なぜ」の答えが・・・
『たいせつなでないけど、正しいこと。しょうがなくても正しいこと。
本当は間違ってるのに正しいこと。
それに正しくなくても大切なことだってある。
しかし大切でない大切なことは絶対ない。
大切なことはどんなときでも大切なんだよ大人でも子供でも』(文中より)
「カッコウの卵」は、22歳のてっちゃんが7年前村内先生の
世話になった時の思い出と今が語られる・・・
『嘘をつくのは、その人が一人ぼっちになりたくないから、
嘘をつかないと一人ぼっちになっちゃうから嘘をつくんです
嘘はわるいことではなくて寂しいことなんです。』
(文中の村内先生の言葉)
今の教育を取り囲む環境は 決して良くはないと言うことを
改めて思わされました・・・そして・・・
やっぱり著者に泣かされました。
子供がいる父母や現役の学校の先生や生徒、いじめられてる人も
いじめてる人も読んでほしい作品です。

新潮社2007年7月刊1680円
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重松清著「いとしのヒナゴン」

2007-11-03 | 重松清
都会から田舎に戻ってきた25歳の年頃の女の子信子が主人公の感動物語。
黒い影、獣のにおい、夜の闇に光る二つの目。
“ヒナゴン”とは、30年前、
舞台となった広島県の架空の町、比奈町に現れた謎の類人猿のことで、
町興しにも利用されるほど地元民に愛されている伝説の珍獣。
そのヒナゴンが30年ぶりに現れたという目撃証言で、元ヤンキー出身の町長
イッちゃんこと五十嵐が、「類人猿課」を設置。
役場のその類人猿課に臨時採用された信子は、やがてその存在を次第に信じるように・・・。
平成の大合併、市町村合併問題、賛成派反対派入り乱れ町長リコール署名や、
その後の町長選は泥沼化、ヒナゴン騒動は益々ヒートアップするが・・・。
笑いあり、涙あり、そして人情ありと、田舎町を舞台に合併問題、
若者の故里離れの問題等考えさせる話題ともに
テーマの「信じる心とは何か?」が・・・。

ラスト近くのヒナゴンが出現場面では思わず涙してしまいました。
楽しく読める感動の物語です。

『信じるって、人のためすることじゃない。自分が信じたいから信じる。
理解とか納得とかじゃなくてとにかく信じたいから信じる。
信じているのが気持ちよくて、それを信じるのを止めちゃったら寂しくて、
悲しくて、悔しくてそんなの嫌だなという気持ち。
信じるのって楽しいことなのだ。信じる楽しさを味わおう』


2004年10月 文藝春秋刊 1750円 
2007年9月 上・下 文庫版化
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重松清著「カシオペアの丘で」(上)(下)

2007-09-29 | 重松清
1600枚の長編小説です。
小学4年生のシュンとトシとユウとミッチョこと美智子は、
流星を見ようと北海道の炭鉱都市北都のカシオペアの丘に集まり、
大人になったらこの丘に遊園地を作ろうと約束する。
あれから数十年・・・故郷を出て行ったシュンこと俊介は40歳を目前
にして悪性のガン宣告を受ける。
宣告を受けたその日に、今は遊園地になったカシオペアの丘を
偶然テレビで見て、ある運命を感じる。
各人の小学生時代-学生時代-40歳の今と心の動きを丁寧に描き、
この物語のテーマ、「許し」についてエピソードを重ねていく。
人間は生きていく過程での過去の行いに対する罪悪感
「許されざること」や、「許すこと」といった多くの色々なものを背負い、
そして死んで行かなくてはならない・・・
死を宣告されて自分は妻と子供に何を残すことが出来るのか
そして何が必要か・・・
くどくどとしつこい描写や、著者との感性の違いには不満が残るが、
視界が涙で滲じんで中断すること随所あって困った。
とても重い重いテーマの小説でした。
「自分は許されないことしてしまったのだとわかるひとが、
本当はいちばん許されたいと思っている」
「許す方にも、苦しみとか悲しみがある」(本文より)

講談社2007年7月刊1575円・1575円
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重松 清著「きみの友だち」

2007-09-16 | 重松清
私の 琴線にグサッとふれられて泣かせられました。
「友だち」って何?とヒントをくれる本です。
子供達だけでなく大人が読んでもいい本です。
小学5年生から中学3年生の子供たちが主人公の連作短編集。
中心となるのは、 交通事故で足に障害を負った和泉恵美と、
8つ年下の文彦の姉弟が主人公。足に障害を負った小5の恵美が、
体の弱い由香と出会うことによって本当の友だちとは何かに
気付き始めるところから・・・。
時間軸もさまざまで、行きつ戻りつで展開されますが最終章で
ぼくが「きみの・・・」と呼ぶこの本の視点になっている人物が
登場してその恵美文彦との関係が明らかになる仕掛け。
恵美と由香をとりまく人間模様が素敵に描かれています。
こんな物語を書ける重松氏は官能小説からいろいろ書けて
凄いおっさんです。

2005年 新潮社刊
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