goo blog サービス終了のお知らせ 

読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

中村 航 著「あなたがここにいて欲しい 」

2008-03-27 | な行
個別の3つの短編集
表題の「あなたがここにいて欲しい 」は、
主人公吉田君の、小田原動物園の象と守谷のあんぱん、小学校の同級生で
ヤンキーだった又野君や松本さんとの思い出をからめ、今は
同じ大学の研究室の舞子さんへの恋心を語る青春恋愛小説。
読了後感は爽涼感と温かい気持ちなれる物語です。
「ハミングライフ」は野良猫へのエサやりと木の窪みの洞を仲介しての
見知らぬ相手との手紙のやり取りを通じて恋愛物。
他に著者の青春時代の思い出「男子五編」。
どれも独特の感性を持ちながら、自分のペースでゆっくりと
とっても不器用に生きる主人公たちに向ける著者の優しい眼差しが
感じる物語です。
2007年09月祥伝社刊 1470円
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏樹静子著「四文字の殺意」

2008-03-22 | な行
ひらがな4文字の言葉をタイトルに
殺人事件を描いた心を揺さぶられるミステリー6篇の短編集
「ひめごと」
教材メーカーの会社社員・みづきの母・由加子が絞殺体で発見された。
やがて驚くことに、母が設計技師の志方と不倫関係にあったことが露呈する。
みづきは、事件当日に2人が会う約束をしていたことを知り志方を疑うが・・・
傷心の娘が母死体の爪に隠されたの謎に驚きの事実が判明する。
「ほころび」
夫の靴下のほころびは妻のいたずら心からだったが・・・
「ぬれぎぬ」
嘘発見器のポリグラフでもDNA鑑定でも疑いが解けたはずなのに
「うらぐち」
裏口入学をめぐるトラブルか?消えた3百万の札束はどこ・・・
「やぶへび」
容疑者の獣医のアリバイは完璧だったはずが・・・
「あやまち」
バイオリニストの天河がレッスン室で殺された。疑われたのは
直前にレッスンを受けた里花だったが
・・・最後の携帯メールは短い4文字で終わりにした〈さようなら〉。
事件の裏に隠された本当の真実と女心に
複雑な読後感でした。
2007年2月 文藝春秋  1600円
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

楡井 亜木子 著「世界が終わる夜に奏でられる音楽」

2008-02-27 | な行
気が強く恋人と長続きしない19歳の大学生・倉田莉絵の前に現れたのは、
捨子同様な学校にも行ってない背が高く綺麗な目をした無口な男の子訳在り
のタニコウタ、14歳の中学生だった。
やがて行掛りで耕太を引き取り二人だけでマンションに住むことに:・・・。
耕太を「いい男」に育てると決意する莉絵。
遠い親戚の家で虐げられ、賢い犬のようにしてなきゃいけない、
自分は不幸の種だと言う耕太と気の強い莉絵の生活…登場人物の多くは
善人ぽい。コウタに教えつつ莉絵も学び、コウタを守っているのに、
コウタに守られてもいる。
これは一人の少年の成長物語であり、やがて近い将来いつのまにかの
ファンタジーぽい恋愛小説なのだろう。
莉絵が大学を辞めて勤める会社の店長や、二人のコック岩ちゃんと黒ちゃん、
コウタと莉絵の続編があると面白いのにと思った。
ジャイブ社2007年12月 刊 1,680円
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新津きよみ 著「スパイラル・エイジ 」

2007-12-26 | な行
アンチエイジング(抗加齢医学)老化を少しでも遅らせようとする予防医学。
スパイラルポイント=女性にとっての3つのポイント・・・
そこを境に身体の変化が顕著になる曲がり角。
①16~18歳②24~26歳③37~43歳(出産の有無や出産年齢により変る)
特に第3番目のポイントは 女性ホルモンが減少し、体重の変化と
肌が弾力性を失いみずみずしさの喪失といった変化が起きるプレ更年期。
スパイラル・エイジは著者の二つの言葉の造語か?
奇妙な縁で高校時代の友人を匿うようになった、
三十代女性の“心の変容”を描いた作品です。
しかもその女は殺人者で妊娠していた。
疎ましく思い追い出そうとしたがきっかけを失った女思い
「殺人者と自分とはどこが違うのだろう。」心を共振させながら、
新たな生命を育んでいく・・・。
不倫する女、不倫された女、殺した女が絡み合って・・・

2005 年 講談社刊 1542円  
☆☆ ☆ ☆☆ ☆ ☆

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏樹静子 著「見えない貌」

2007-11-27 | な行
表題からして今流行の 出会い系サイトを利用したのメル友殺人事件
のミステリーかと読み始めましたが・・・
前半は惨殺された娘を追う母親・日野朔子が嫁ぎ先の箪笥
の引き出しの下に隠されていたピンクの二つめの 携帯をもとに犯人
を誘い出し犯人を追い詰めることに費やされる。続いて起きる第二の殺人。
中盤から以後は犯人が逮捕され、起訴されて犯人の弁護
を引き受ける若い女性弁護士が中心で物語が展開される。
後半意外な真実と犯行の内容が明らかになる筋で2転3転する
展開で楽しめる。
事件に隠された意外な事実と人間模様。
途中中盤に早々と犯人逮捕、もしかしたらと推理
出来るところもあったが、裁判物が得意な著者らしく
女性弁護士が丹念に証拠を集めて事件の跡をたどるうちに
また裁判を通じて 携帯電話やネット社会の人間関係や縮図を
暴いていき真実を追求する面白い作品です。
2006年  光文社刊

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

沼田まほかる 著「彼女がその名を知らない鳥たち 」

2007-09-18 | な行
主人公は7年前付き合っていた恋人黒崎俊一に裏切られた
過去を持つ30代の 女「十和子」。
前半は、これでもかと15歳年上の現在の同棲相手「陣治」
の悪口が「手足の短さ、節操のなさ、シャべり方、食べ方、
水虫、色の黒さ、陰毛の白髪、咳、痰、脂っぽい垢」
と続き男性読者としては話しの遅い展開とともに読むのにうんざりするが
・・・後半は・・・5年前から行方不明の黒崎のことや、
新しい不倫相手水島の登場でおたふく風邪の後遺症で
無精子症のどぜうの陣治との心理描写がいきてきて面白くなる。
サスペンス小説。結末は意外な真実と展開で、○○が哀れ!

著者は、1948年大阪生まれ。
2006年幻冬舎 刊 ☆☆☆ ☆ ☆


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中村文則著「最後の命」

2007-09-17 | な行
同じ愛知県出身のよしみで読み始める。
芥川賞受賞後、はじめての長篇小説らしい。
小学生のころ浮浪者たちに輪姦されている
精神薄弱の女・やっちりを目撃した俺と友人の・冴木は、
以後夜の工場跡地で体験したあの暴力の光景と
(後日、やっちりは死体となって発見される)
もう一つ同じ場所で少年時代に体験した知り合いの浮浪者の死。
この体験がトラウマとなり人間の命について悩み
心に大きな重石となり二人の生き方は、
成長するにつれだんだんと社会から逸れていってしまう。
ある日、大人になった俺のもとに冴木から電話がかかり、
二人は7年ぶりに再会する。
数日後、自宅に帰宅すると自分の部屋の中で、よく指名する
デリヘルのエリコが死んでいた。・・・・

心にひそむ闇、人間の欲望、暴力とセックス、そして人間の命とは何か。
主人公の俺と冴木の二人の延々と続く後悔と自己分析の果てには、
何も見えてこないし、
読んでいても何も共感する感じは湧いてこない。
著者の「悪」にたいする考え方にも、結末にも納得は出来ない。
解ったことは「人間の命が厄介だって」こと???


2007年 講談社刊 1577円
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする