■子供の科学★サイエンスブックス『目で見る元素の世界 身のまわりの元素を調べよう』(誠文堂新光社)
齊藤幸一/編
自然界がつくったものの、完璧な美しさ、まったくムダのないあり方には本当に溜め息が出る
ヒトは、石器時代、鉄の時代、それぞれに合わせて、道具などに利用して発展してきた。
道具を手に入れてから、まるで自然界の王者のごとく君臨して、いまや恩を仇で返しているかのようだ。
原子番号が後ろになるにつれて「人工放射性元素」ばかりなのも気になる
顕微鏡の進化、製造工程の進歩によって、まだまだいろんな元素が発見され、用途の幅が広がるだろう。
でも、これからは、自然にも、生物にも、すべてに無害で、ムダのない使い方を、
ヒトの脳っていう道具で考え出さなきゃならないと思うんだ。
【内容抜粋メモ】
物質=ものの材料
元素=物質を構成する基本的な成分。元素の実体は原子。
原子=いくつか結びつくと分子、粒子、イオンにもなる。
周期表=元素を分類整理した表。ロシアのメンデレーエフが発表。
「毒と薬は量によって区別される」(16C医師パラケルスス
元素の周期表
元素、高まるぅ~!
◆1 H 水素(すいそ) Hydrogen
宇宙で生まれた最初の原子。宇宙にもっとも多く存在する。宇宙の質量の約70%は水素元素。
◆2 He ヘリウム Helium
宇宙で2番目に多く存在する。
◆3 Li リチウム Lithium
リチウム電池は、マンガン乾電池などに比べ、低温でも高い性能を示す。
◆4 Be ベリリウム Beryllium
宝石のエメラルド、アクアマリン、猫目石は緑柱石の一種。
◆5 B ホウ素 Boron
ホウ素を混ぜたガラスは耐熱性ガラスになる。
◆6 C 炭素(たんそ) Carbon
ヒトの活動と強い関わりがある元素。1000万種以上の化合物が存在する。
◆7 N 窒素(ちっそ) Nitrogen
生命体になくてはならない元素。植物を生長させる作用があり、肥料の大切な要素のひとつ。
◆8 O 酸素(さんそ) Oxygen
気体の酸素を-183℃以下に冷やすと、淡い青色の液体に変化する/驚
◆9 F フッ素 Fluorine
フッ素樹脂は熱に強く、水や油をはじく。デュポン社の「テフロン」が有名。
虫歯予防にフッ化ナトリウムを含む歯磨き粉が利用されている。
◆10 Ne ネオン Neon
ネオンにアルゴンなどを加えるといろんな色が出せる。
レーザー光線の発生源としても重要。
高価なガスの1つなので、特殊なガスボンベに入れて保管、運搬される。
◆11 Na ナトリウム Sodium
トンネルのナトリウムランプ
◆12 Mg マグネシウム Magnesium
植物の葉緑素を構成している重要な成分。植物の緑色はマグネシウムを含む葉緑素による。
マグネシウム合金は軽量、振動を吸収しやすいため、ノートパソコンなどに使われる。
豆腐を固める「にがり」の主成分は塩化マグネシウム。
マグネシウムを多く含むアーモンド。
◆13 Al アルミニウム Aluminium
原料となる鉱石はボーキサイト。オーストラリアが約35%を生産。
地表近くでもとれるから「露天掘り」で行われる。
1円硬貨はアルミニウムだけで作られている。
アルミニウム製の車体を利用して、軽量化、電気節約、高速運転が可能になったN700系新幹線。
◆14 Si ケイ素 Silicon
地表を形作る元素として酸素の次に多い。岩石や砂などの主成分。
半導体、コンピュータの集積回路、太陽電池に利用される。
セラミックス
「かたい」「さびない」「燃えない」という性質がある。
シリコンとシリコーン
「シリコン」ケイ石を電気炉で反応させたケイ素。
「シリコーン」シリコンに化学反応を加えたプラスチック。
◆15 P リン Phosphorus
体内でカルシウムの次に多い栄養素。DNAにも含まれる。
植物が必要とする3元素(窒素、リン、カリウム)の1つ。
◆16 S 硫黄( いおう ) Sulfur
火山の噴気孔で見られる。
タマネギなどの辛み成分に含まれているため、切ると涙が出る
クルマのタイヤ、皮膚病の薬にも含まれる。
◆17 Cl 塩素(えんそ) Chlorine
塩素ガスは黄緑色をして有毒。
食品用ラップフィルム:ポリ塩化ビニリデンでつくられる。
ビニールハウスの再利用でつくられたポリ塩化ビニールの字消し
◆18 Ar アルゴン Argon
空気中に窒素、酸素につづいて3番目に多く存在する。
シールドガス:金属や半導体が酸素などと反応しないよう気体を吹き付ける。
◆19 K カリウム Potassium
植物に必要なものの1つ。カリウムを多く含むのはパセリ、きな粉、焼き海苔など。
マッチや花火にも含まれる。
◆20 Ca カルシウム Calcium
骨や歯の主成分。カルシウムが形成しているものの代表はサンゴや真珠。
吸湿剤に使われる塩化カルシウム、たばこの巻紙には炭酸カルシウムが混ぜてある。
◆21 Sc スカンジウム Scandium
存在量が少なく、高価なため用途開発があまり進んでいない。
「メタルハライドランプ」高輝度、省電力、長寿命のため、野球場などの夜間照明に使われる。
◆22 Ti チタン Titanium
軽くて強い金属。ガラス、鏡の水滴を消す機能がある。
◆23 V バナジウム Vanadium
多くが鉄への添加剤として使われている。
バナジウムを含むミネラルウォーターは健康によいと考えられている。
アメフラシ、ウミウシには、バナジウムが蓄えられており、体の色と関係していると考えられている。
◆24 Cr クロム Chromium
「レアメタル」と呼ばれる希少な金属の一種。
塗料、絵の具に利用されたり、水道の蛇口にクロムめっきが施され、サビにくく光沢を出す。
「ステンレス」ニッケルとの合金。
◆25 Mn マンガン Manganese
鉄に加えた合金は非常に硬い金属になるので、瀬戸大橋などに使われている。
◆26 Fe 鉄(てつ) Iron
「ステンレス」鉄の欠点「ステン」がない「レス」という意味。
携帯カイロは、鉄が錆びる時の熱を利用している。
「たたら製鉄」古来日本では刀などをつくるために砂鉄からつくった。
◆27 Co コバルト Cobalt
コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトイエローなどの顔料に含まれる。
ビタミンB12にもコバルトが含まれていて目薬に利用されている。
◆28 Ni ニッケル Nickel
鉄と同様、磁石につく金属。50円玉、100円硬貨は銅+ニッケルの合金(白銅)。
「形状記憶合金」チタン+ニッケル=1:1の合金。
ニッケルで「金属アレルギー」を起こす人もいる
◆29 Cu 銅(どう) Copper
「展性」(うすく広がる性質)、延性(長く伸びる性質)に富む。
10円玉は青銅、5円玉は黄銅、50円、100円玉は白銅。
「真鍮」は金管楽器などに使われる。
銅が不足すると、鉄の利用が妨げられ、血中のヘモグロビン合成が低下して貧血になる。
「緑青」サビ。最近、有毒ではないと厚生労働省が認めた。
「足尾銅山」急激な開発のため、酸性雨、河川汚染などで被害が起こった。
◆30 Zn 亜鉛(あえん) Zinc
ヒトが昔から利用した金属の1つ。
人体になくなてはならないミネラルの1つで、不足すると味の感覚が鈍くなると言われる/驚
亜鉛を多く含む食品は牡蠣、豚レバーなど。
◆31 Ga ガリウム Gallium
お湯で融かすことができ、液体の状態が30~2400℃まで続くため、高温用の温度計に使われる。
「発光ダイオード」の原料として利用される。
◆32 Ge ゲルマニウム Germanium
金属ではないが、条件により電気を流す性質をもつため、
半導体として「ダイオード」や「トランジスタ」として利用された。
「エサキダイオード」江崎玲於奈博士が研究した。
◆33 As ヒ素 Arsenic
ギリシャ時代から毒薬として知られていて、ナポレオンの頭髪からもヒ素が検出された。
◆34 Se セレン Selenium
日本が世界屈指の生産国。家畜飼料に添加物として入れられる。
特性を利用してコピー機が発明され、発展してきた。
◆35 Br 臭素(しゅうそ) Bromine
元素の中で、臭素と水銀だけが液体で存在する。
海水の中にわずかに含まれているものを原料にして製造される。
「ブロマイド」白黒の写真フィルムに臭素は重要なため語源となった。
◆36 Kr クリプトン Krypton
暖房に使うエネルギーを節約する観点から大切。
「クリプトン球」白熱電球のフィラメントが切れるのを防ぐ。
◆37 Rb ルビジウム Rubidium
ルビジウム原子時計
◆38 Sr ストロンチウム Strontium
花火、発炎筒などに混ぜてある。
◆39 Y イットリウム Yttrium
自動車のヘッドライトにも利用される。
◆40 Zr ジルコニウム Zirconium
金属より強い「セラミックス」として、歯の治療材料、人工関節など、
またその輝きから模造ダイヤモンドの原料など幅広く使われる。
◆41 Nb ニオブ Niobium
ニオブを含む金属は、超電導磁石としてリニアモーターカーにも利用される。
◆42 Mo モリブデン Molybdenum
トイレの温水洗浄便座などに使われる。
◆43 Tc テクネチウム Technetium
人類が最初につくった「人工放射性元素」。
血管の詰まっている部分を見つけるのに使う放射線の検査画像
「人工放射性元素」
原子核を壊して人工的に作った元素。
不安定で、放射線を出しながら、他の安定な原子に変化する。
◆44 Ru ルテニウム Ruthenium
コンピュータのハードディスクの記憶容量を高めるためなどに使われる
◆45 Rh ロジウム Rhodium
世界で年間16tしか産出されない貴重な金属。
クルマやバイクの排気ガスに含まれる窒素酸化物を除去する触媒に利用される。
◆46 Pd パラジウム Palladium
金や銀と合金にして歯科治療のかぶせものとして利用されている。
◆47 Ag 銀(ぎん) Silver
メキシコ、ペルー、アメリカが主な生産国。
あらゆる金属の中でもっとも光を反射しやすく、鏡の素材として最適。
◆48 Cd カドミウム Cadmium
人体に有毒なので、最近はカドミウムを含まないニッケル水素電池などが主流。
◆49 In インジウム Indium
インジウムの合金は低い温度で融けるため、スプリンクラーの内部に使われる。
◆50 Sn スズ Tin
「青銅」スズ+銅。「ブロンズ」ともいう。
「ブリキ」鉄板が錆びないよう表面をスズでメッキしたもの。
低い温度で融解する性質を利用して、ハンダづけに使われる。
◆51 Sb アンチモン Antimony
クレオパトラが愛用したアイシャドウには、アンチモン+硫黄が含まれていた。
アンチモンを含む活字合金
◆52 Te テルル Tellurium
テルルを成分とする合金はDVD-RAMなどに使われている。
◆53 I ヨウ素 Iodine
日本は世界でも有数のヨウ素の産出国。
大陸内部では、ヨード欠乏症による甲状腺異常が多く発生した。
うがい薬、ヨードチンキにも使われる。
◆54 Xe キセノン Xenon
小惑星探査機「はやぶさ」などにはキセノンを推進剤とした「イオンエンジン」を搭載していた。
◆55 Cs セシウム Caesium
日本の標準時を決める、東京小金井市にある原子時計
◆56 Ba バリウム Barium
炎色反応を利用して花火に使われる。
バリウムの造影剤を飲んで撮った胃のX線写真
◆57 La ランタン Lanthanum
天体望遠鏡の接眼レンズにランタン系ガラスを用いると、視野が鮮明になる
◆58 Ce セリウム Cerium
ライターの発火合金。
◆59 Pr プラセオジム Praseodymium
酸化物は、陶磁器、ガラスなどの顔料の成分として使われ「プラセオジム黄」と呼ばれる。水彩絵の具にも使われる。
◆60 Nd ネオジム Neodymium
鉄などとの化合物は大変強力な永久磁石の材料になる。
コンピュータのハードディスクドライブ、CDプレイヤー、超伝導体材料などさまざまな用途に使われている。
◆61 Pm プロメチウム Promethium
放射線を出して暗闇で青白く光る性質がある人工放射性元素。
◆62 Sm サマリウム Samarium
コバルト金属との化合物は、強力な永久磁石をつくる。
腕時計用のモーターなどに使われていた。
◆63 Eu ユウロピウム Europium
蛍光体として広く応用される。最近、発光する印刷物の赤色顔料にも使われている。
◆64 Gd ガドリニウム Gadolinium
MRIという強力な磁石を利用し、身体内の画像をつくる造影剤としてよく使われる。
◆65 Tb テルビウム Terbium
プラズマテレビなどのカラーテレビで、緑にはテルビウム、ランタン、セリウムが含まれている。
太陽光に近づけるため、照明用の蛍光灯にも使われる。
酸化テルビウムを加えると、磁石にくっつく「磁性ガラス」になる。
◆66 Dy ジスプロシウム Dysprosium
電気を使わなくても、昼間光が夜光塗料に当たって蓄えられるため、非常口の標識に利用される。
◆67 Ho ホルミウム Holmium
「白内障」の治療、「腎臓結石」の破壊に使われる。
「ホルミウムレーザー」は外科手術に使われている。「前立腺肥大症」の治療に有効。
◆68 Er エルビウム Erbium
「光ファイバー」
情報を光によって送る電線のようなもの。細いガラス繊維+プラスチックでできている。
エルビウムを加えて、長距離通信の光が弱まるのを防ぐ。
◆69 Tm ツリウム Thulium
「光ファイバーアンプ」光ファイバーの光の信号を強める装置に使われる。
◆70 Yb イッテルビウム Ytterbium
発見されたスウェーデンの町イッテルビーが語源。
スウェーデンは元素発見に関係する国として重要。ノーベル賞発祥の国。
◆71 Lu ルテチウム Lutetium
古い火成岩、隕石、月の石などの年代測定をすることができる。
天然に産出する金属の中でもっとも高価なため、工業的にはほとんど使用されない。
◆72 Hf ハフニウム Hafnium
原子力発電の原子炉の中では、中性子が多くなり過ぎると危険なので、
中性子を適度に吸収する制御棒の材料に使われている。
◆73 Ta タンタル Tantalum
電気を蓄える装置コンデンサの原料に適している。
◆74 W タングステン Tungsten
金属の中でもっとも融点が高く、白熱電球のフィラメントなどに使われる。
金属に穴を開けるドリルの刃など、工具材料にも用いられる。
◆75 Re レニウム Rhenium
レアメタルの中でもっとも少ない希少な金属元素のため、用途は特殊なものに限られる。
◆76 Os オスミウム Osmium
あらゆる物の中でもっとも密度が大きい。
錆びにくく、すり減りにくいので、万年筆のペン先に使われる。
◆77 Ir イリジウム Iridium
あらゆる金属の中でもっとも腐食しにくい金属。加工が難しい。
1kgの質量の基準として「国際キログラム原器」が用いられている。
日本には「日本国キログラム原器」がある。
◆78 Pt 白金( はっきん ) Platinum
クルマの排ガス浄化装置用の触媒、マリッジリングなどの宝飾品に使われる。
「くも膜下出血」の治療のため、動脈瘤の中に詰めて破裂を予防する。
◆79 Au 金 Gold
ヒトがもっとも古くから扱ってきた純粋な金属。
◆80 Hg 水銀( すいぎん ) Mercury
常温で液体である唯一の金属。
蛍光灯など幅広い用途があるが、毒性があるため、水銀に代わるものの開発が進んでいる。
◆81 Tl タリウム Thallium
脱毛クリームなどに使われたことがあるが、極めて高い毒性がある。
塩化タリウムは、腫瘍診断薬として利用される。
◆82 Pb 鉛( なまり ) Lead
毒性が問題になり、最近は鉛を含まないハンダが使われる傾向にある。
「クリスタルガラス」鉛の透明度と屈折率の高さを利用した。
放射線を遮蔽する働きがあるため、放射線診断施設のガラスなどに利用されている。
◆83 Bi ビスマス Bismuth
鉛の代替えとしての用途がある。下痢症の薬に利用される。
◆84 Po ポロニウム Polonium
キュリー夫妻がウラン鉱石から発見した放射性元素。
◆85 At アスタチン Astatine 【研究用の人工放射性元素】
アスタチンの中には強い放射線を出す同位体があり、がん治療への利用などが期待されている。
◆86 Rn ラドン Radon
「ラドン温泉」ラドンがある濃度以上溶けたもの。「ラジウム温泉」とも言う
◆87 Fr フランシウム Francium 【研究用】
天然に存在する放射性元素。不安定なのでなかなか見つからなかった。
◆88 Ra ラジウム Radium
キュリー夫妻がウラン鉱石からポロニウムとともに発見した。
放射性元素を最初に見つけたことで、夫婦でノーベル物理学賞を受賞した。
◆89 Ac アクチニウム Actinium 【研究用】
3番目に発見された天然放射性元素。
◆90 Th トリウム Thorium 【放射性元素】
自然界に豊富にあり、廃棄物がウランより少ないことから、原子力発電の核燃料として、ウランに代わる可能性もある。
◆91 Pa プロトアクチニウム Protactinium
海底沈積層の年代測定に利用される
◆92 U ウラン Uranium
原子力発電の核燃料の材料などに使われている。
かつてはガラスの着色剤として用いられていた。
◆93 Np ネプツニウム Neptunium
人工的に作られたウランより重い「超ウラン元素」。
◆94 Pu プルトニウム Plutonium
原子力電池、核燃料などに利用されている。
◆95 Am アメリシウム Americium【人工放射性元素 など】
プルトニウムに中性子をぶつけてつくった放射性元素。
「イオン化式煙感知器」に使われている。
◆96 Cm キュリウム Curium【研究用の人工放射性元素】
キュリー夫妻の名をとった。
◆97 Bk バークリウム Berkelium【研究用の人工放射性元素】
発見されたバークレー校にちなんで名付けた。
◆98 Cf カリホルニウム Californium【研究用の人工放射性元素】
発見されたバークレー校のあるカリフォルニア州にちなんで名付けた。
◆99 Es アインスタイニウム Einsteinium【研究用の人工放射性元素】
1952年、マーシャル諸島での世界初の水素爆弾実験を行った時の放射性降下物(塵)から発見された。
理論物理学者アインシュタインにちなんで名付けた。
◆100 Fm フェルミウム Fermium【研究用の人工放射性元素】
1952年、マーシャル諸島での世界初の水素爆弾実験を行った時の放射性降下物(塵)から発見された。
イタリアの物理学者フェルミにちなんで名付けた。彼は世界で初めて原子炉を完成させた。
◆101 Md メンデレビウム Mendelevium【研究用の人工放射性元素】
周期表を考案したメンデレーエフにちなんで名付けた。
◆102 No ノーベリウム Nobelium【研究用の人工放射性元素】
スウェーデンの発明家ノーベルにちなんで名付けた。
◆103 Lr ローレンシウム Lawrencium【研究用の人工放射性元素】
アメリカの実験物理学者ローレンスにちなんで名付けた。
◆104 Rf ラザフォージウム Rutherfordium【研究用の人工放射性元素】
イギリスの実験物理学者ラザフォードにちなんで名付けた。
◆105 Db ドブニウム Dubnium【研究用の人工放射性元素】
アメリカのギルオソに発見された。
◆106 Sg シーボーギウム Seaborgium【研究用の人工放射性元素】
アメリカの物理化学者シーボーグにちなんで名付けた。
◆107 Bh ボーリウム Bohrium【研究用の人工放射性元素】
ドイツ重イオン科学研究所で合成された。
◆108 Hs ハッシウム Hassium【研究用の人工放射性元素】
ドイツ重イオン科学研究所で合成された。
◆109 Mt マイトネリウム Zirconium【研究用の人工放射性元素】
オーストラリアの女性物理学者マイトナーにちなんで名付けた。
◆110 Ds ダームスタチウム Darmstadtium【研究用の人工放射性元素】
ドイツ重イオン科学研究所で合成された。
◆111 Rg レントゲニウム Roentgenium【研究用の人工放射性元素】
ドイツの物理学者レントゲンにちなんで名付けた。
◆112 Cn コペルニシウム Copernicium【研究用の人工放射性元素】
ドイツ重イオン科学研究所で合成された。
原子番号113~118(117は除く)は、まだ国際的に認められていない。
認められると、発見者が名前をつけることができ、それをもとに元素記号が決まる。
日本でも独立行政法人理化学研究所が、原子番号113の発見に成功し、将来、命名権が与えられる可能性がある。
**************************日本の化学者
杉田玄白、前野良沢:日本に西洋文明が入ったのは、この2人が、オランダの医学書を翻訳し「解体新書」が刊行された頃と言われる。
宇田川榕菴:榕菴著『舎密開宗』(せいみかいそう)は、日本最初の化学書。
川本幸民:「化学」という言葉を最初に使った。
上野彦馬:フィルムの写真の普及に貢献した
**************************日本人のノーベル化学賞受賞者
福井謙一:フロンティア電子理論の研究で、1981年、日本人初のノーベル化学賞を受賞した。
白川秀樹:ポリアセチレンの性質を調べて、今では銀行のATM、駅の券売機のタッチパネルなどに利用されている。
野依良治:2つの物質のつくり分けを人工的に可能にした。2001年受賞。
田中耕一:タンパク質分子の集まりにレーザー光をあてても壊さずに質量分析ができる方法を開発した。2002年受賞。乳がんの早期診断などに応用されている。
霜村脩:オワンクラゲの発光に関わる2つのたんぱく質、緑色蛍光タンパク質(GFP)とイクオリンを発見。2008年受賞。
齊藤幸一/編
自然界がつくったものの、完璧な美しさ、まったくムダのないあり方には本当に溜め息が出る
ヒトは、石器時代、鉄の時代、それぞれに合わせて、道具などに利用して発展してきた。
道具を手に入れてから、まるで自然界の王者のごとく君臨して、いまや恩を仇で返しているかのようだ。
原子番号が後ろになるにつれて「人工放射性元素」ばかりなのも気になる
顕微鏡の進化、製造工程の進歩によって、まだまだいろんな元素が発見され、用途の幅が広がるだろう。
でも、これからは、自然にも、生物にも、すべてに無害で、ムダのない使い方を、
ヒトの脳っていう道具で考え出さなきゃならないと思うんだ。
【内容抜粋メモ】
物質=ものの材料
元素=物質を構成する基本的な成分。元素の実体は原子。
原子=いくつか結びつくと分子、粒子、イオンにもなる。
周期表=元素を分類整理した表。ロシアのメンデレーエフが発表。
「毒と薬は量によって区別される」(16C医師パラケルスス
元素の周期表
元素、高まるぅ~!
◆1 H 水素(すいそ) Hydrogen
宇宙で生まれた最初の原子。宇宙にもっとも多く存在する。宇宙の質量の約70%は水素元素。
◆2 He ヘリウム Helium
宇宙で2番目に多く存在する。
◆3 Li リチウム Lithium
リチウム電池は、マンガン乾電池などに比べ、低温でも高い性能を示す。
◆4 Be ベリリウム Beryllium
宝石のエメラルド、アクアマリン、猫目石は緑柱石の一種。
◆5 B ホウ素 Boron
ホウ素を混ぜたガラスは耐熱性ガラスになる。
◆6 C 炭素(たんそ) Carbon
ヒトの活動と強い関わりがある元素。1000万種以上の化合物が存在する。
◆7 N 窒素(ちっそ) Nitrogen
生命体になくてはならない元素。植物を生長させる作用があり、肥料の大切な要素のひとつ。
◆8 O 酸素(さんそ) Oxygen
気体の酸素を-183℃以下に冷やすと、淡い青色の液体に変化する/驚
◆9 F フッ素 Fluorine
フッ素樹脂は熱に強く、水や油をはじく。デュポン社の「テフロン」が有名。
虫歯予防にフッ化ナトリウムを含む歯磨き粉が利用されている。
◆10 Ne ネオン Neon
ネオンにアルゴンなどを加えるといろんな色が出せる。
レーザー光線の発生源としても重要。
高価なガスの1つなので、特殊なガスボンベに入れて保管、運搬される。
◆11 Na ナトリウム Sodium
トンネルのナトリウムランプ
◆12 Mg マグネシウム Magnesium
植物の葉緑素を構成している重要な成分。植物の緑色はマグネシウムを含む葉緑素による。
マグネシウム合金は軽量、振動を吸収しやすいため、ノートパソコンなどに使われる。
豆腐を固める「にがり」の主成分は塩化マグネシウム。
マグネシウムを多く含むアーモンド。
◆13 Al アルミニウム Aluminium
原料となる鉱石はボーキサイト。オーストラリアが約35%を生産。
地表近くでもとれるから「露天掘り」で行われる。
1円硬貨はアルミニウムだけで作られている。
アルミニウム製の車体を利用して、軽量化、電気節約、高速運転が可能になったN700系新幹線。
◆14 Si ケイ素 Silicon
地表を形作る元素として酸素の次に多い。岩石や砂などの主成分。
半導体、コンピュータの集積回路、太陽電池に利用される。
セラミックス
「かたい」「さびない」「燃えない」という性質がある。
シリコンとシリコーン
「シリコン」ケイ石を電気炉で反応させたケイ素。
「シリコーン」シリコンに化学反応を加えたプラスチック。
◆15 P リン Phosphorus
体内でカルシウムの次に多い栄養素。DNAにも含まれる。
植物が必要とする3元素(窒素、リン、カリウム)の1つ。
◆16 S 硫黄( いおう ) Sulfur
火山の噴気孔で見られる。
タマネギなどの辛み成分に含まれているため、切ると涙が出る
クルマのタイヤ、皮膚病の薬にも含まれる。
◆17 Cl 塩素(えんそ) Chlorine
塩素ガスは黄緑色をして有毒。
食品用ラップフィルム:ポリ塩化ビニリデンでつくられる。
ビニールハウスの再利用でつくられたポリ塩化ビニールの字消し
◆18 Ar アルゴン Argon
空気中に窒素、酸素につづいて3番目に多く存在する。
シールドガス:金属や半導体が酸素などと反応しないよう気体を吹き付ける。
◆19 K カリウム Potassium
植物に必要なものの1つ。カリウムを多く含むのはパセリ、きな粉、焼き海苔など。
マッチや花火にも含まれる。
◆20 Ca カルシウム Calcium
骨や歯の主成分。カルシウムが形成しているものの代表はサンゴや真珠。
吸湿剤に使われる塩化カルシウム、たばこの巻紙には炭酸カルシウムが混ぜてある。
◆21 Sc スカンジウム Scandium
存在量が少なく、高価なため用途開発があまり進んでいない。
「メタルハライドランプ」高輝度、省電力、長寿命のため、野球場などの夜間照明に使われる。
◆22 Ti チタン Titanium
軽くて強い金属。ガラス、鏡の水滴を消す機能がある。
◆23 V バナジウム Vanadium
多くが鉄への添加剤として使われている。
バナジウムを含むミネラルウォーターは健康によいと考えられている。
アメフラシ、ウミウシには、バナジウムが蓄えられており、体の色と関係していると考えられている。
◆24 Cr クロム Chromium
「レアメタル」と呼ばれる希少な金属の一種。
塗料、絵の具に利用されたり、水道の蛇口にクロムめっきが施され、サビにくく光沢を出す。
「ステンレス」ニッケルとの合金。
◆25 Mn マンガン Manganese
鉄に加えた合金は非常に硬い金属になるので、瀬戸大橋などに使われている。
◆26 Fe 鉄(てつ) Iron
「ステンレス」鉄の欠点「ステン」がない「レス」という意味。
携帯カイロは、鉄が錆びる時の熱を利用している。
「たたら製鉄」古来日本では刀などをつくるために砂鉄からつくった。
◆27 Co コバルト Cobalt
コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトイエローなどの顔料に含まれる。
ビタミンB12にもコバルトが含まれていて目薬に利用されている。
◆28 Ni ニッケル Nickel
鉄と同様、磁石につく金属。50円玉、100円硬貨は銅+ニッケルの合金(白銅)。
「形状記憶合金」チタン+ニッケル=1:1の合金。
ニッケルで「金属アレルギー」を起こす人もいる
◆29 Cu 銅(どう) Copper
「展性」(うすく広がる性質)、延性(長く伸びる性質)に富む。
10円玉は青銅、5円玉は黄銅、50円、100円玉は白銅。
「真鍮」は金管楽器などに使われる。
銅が不足すると、鉄の利用が妨げられ、血中のヘモグロビン合成が低下して貧血になる。
「緑青」サビ。最近、有毒ではないと厚生労働省が認めた。
「足尾銅山」急激な開発のため、酸性雨、河川汚染などで被害が起こった。
◆30 Zn 亜鉛(あえん) Zinc
ヒトが昔から利用した金属の1つ。
人体になくなてはならないミネラルの1つで、不足すると味の感覚が鈍くなると言われる/驚
亜鉛を多く含む食品は牡蠣、豚レバーなど。
◆31 Ga ガリウム Gallium
お湯で融かすことができ、液体の状態が30~2400℃まで続くため、高温用の温度計に使われる。
「発光ダイオード」の原料として利用される。
◆32 Ge ゲルマニウム Germanium
金属ではないが、条件により電気を流す性質をもつため、
半導体として「ダイオード」や「トランジスタ」として利用された。
「エサキダイオード」江崎玲於奈博士が研究した。
◆33 As ヒ素 Arsenic
ギリシャ時代から毒薬として知られていて、ナポレオンの頭髪からもヒ素が検出された。
◆34 Se セレン Selenium
日本が世界屈指の生産国。家畜飼料に添加物として入れられる。
特性を利用してコピー機が発明され、発展してきた。
◆35 Br 臭素(しゅうそ) Bromine
元素の中で、臭素と水銀だけが液体で存在する。
海水の中にわずかに含まれているものを原料にして製造される。
「ブロマイド」白黒の写真フィルムに臭素は重要なため語源となった。
◆36 Kr クリプトン Krypton
暖房に使うエネルギーを節約する観点から大切。
「クリプトン球」白熱電球のフィラメントが切れるのを防ぐ。
◆37 Rb ルビジウム Rubidium
ルビジウム原子時計
◆38 Sr ストロンチウム Strontium
花火、発炎筒などに混ぜてある。
◆39 Y イットリウム Yttrium
自動車のヘッドライトにも利用される。
◆40 Zr ジルコニウム Zirconium
金属より強い「セラミックス」として、歯の治療材料、人工関節など、
またその輝きから模造ダイヤモンドの原料など幅広く使われる。
◆41 Nb ニオブ Niobium
ニオブを含む金属は、超電導磁石としてリニアモーターカーにも利用される。
◆42 Mo モリブデン Molybdenum
トイレの温水洗浄便座などに使われる。
◆43 Tc テクネチウム Technetium
人類が最初につくった「人工放射性元素」。
血管の詰まっている部分を見つけるのに使う放射線の検査画像
「人工放射性元素」
原子核を壊して人工的に作った元素。
不安定で、放射線を出しながら、他の安定な原子に変化する。
◆44 Ru ルテニウム Ruthenium
コンピュータのハードディスクの記憶容量を高めるためなどに使われる
◆45 Rh ロジウム Rhodium
世界で年間16tしか産出されない貴重な金属。
クルマやバイクの排気ガスに含まれる窒素酸化物を除去する触媒に利用される。
◆46 Pd パラジウム Palladium
金や銀と合金にして歯科治療のかぶせものとして利用されている。
◆47 Ag 銀(ぎん) Silver
メキシコ、ペルー、アメリカが主な生産国。
あらゆる金属の中でもっとも光を反射しやすく、鏡の素材として最適。
◆48 Cd カドミウム Cadmium
人体に有毒なので、最近はカドミウムを含まないニッケル水素電池などが主流。
◆49 In インジウム Indium
インジウムの合金は低い温度で融けるため、スプリンクラーの内部に使われる。
◆50 Sn スズ Tin
「青銅」スズ+銅。「ブロンズ」ともいう。
「ブリキ」鉄板が錆びないよう表面をスズでメッキしたもの。
低い温度で融解する性質を利用して、ハンダづけに使われる。
◆51 Sb アンチモン Antimony
クレオパトラが愛用したアイシャドウには、アンチモン+硫黄が含まれていた。
アンチモンを含む活字合金
◆52 Te テルル Tellurium
テルルを成分とする合金はDVD-RAMなどに使われている。
◆53 I ヨウ素 Iodine
日本は世界でも有数のヨウ素の産出国。
大陸内部では、ヨード欠乏症による甲状腺異常が多く発生した。
うがい薬、ヨードチンキにも使われる。
◆54 Xe キセノン Xenon
小惑星探査機「はやぶさ」などにはキセノンを推進剤とした「イオンエンジン」を搭載していた。
◆55 Cs セシウム Caesium
日本の標準時を決める、東京小金井市にある原子時計
◆56 Ba バリウム Barium
炎色反応を利用して花火に使われる。
バリウムの造影剤を飲んで撮った胃のX線写真
◆57 La ランタン Lanthanum
天体望遠鏡の接眼レンズにランタン系ガラスを用いると、視野が鮮明になる
◆58 Ce セリウム Cerium
ライターの発火合金。
◆59 Pr プラセオジム Praseodymium
酸化物は、陶磁器、ガラスなどの顔料の成分として使われ「プラセオジム黄」と呼ばれる。水彩絵の具にも使われる。
◆60 Nd ネオジム Neodymium
鉄などとの化合物は大変強力な永久磁石の材料になる。
コンピュータのハードディスクドライブ、CDプレイヤー、超伝導体材料などさまざまな用途に使われている。
◆61 Pm プロメチウム Promethium
放射線を出して暗闇で青白く光る性質がある人工放射性元素。
◆62 Sm サマリウム Samarium
コバルト金属との化合物は、強力な永久磁石をつくる。
腕時計用のモーターなどに使われていた。
◆63 Eu ユウロピウム Europium
蛍光体として広く応用される。最近、発光する印刷物の赤色顔料にも使われている。
◆64 Gd ガドリニウム Gadolinium
MRIという強力な磁石を利用し、身体内の画像をつくる造影剤としてよく使われる。
◆65 Tb テルビウム Terbium
プラズマテレビなどのカラーテレビで、緑にはテルビウム、ランタン、セリウムが含まれている。
太陽光に近づけるため、照明用の蛍光灯にも使われる。
酸化テルビウムを加えると、磁石にくっつく「磁性ガラス」になる。
◆66 Dy ジスプロシウム Dysprosium
電気を使わなくても、昼間光が夜光塗料に当たって蓄えられるため、非常口の標識に利用される。
◆67 Ho ホルミウム Holmium
「白内障」の治療、「腎臓結石」の破壊に使われる。
「ホルミウムレーザー」は外科手術に使われている。「前立腺肥大症」の治療に有効。
◆68 Er エルビウム Erbium
「光ファイバー」
情報を光によって送る電線のようなもの。細いガラス繊維+プラスチックでできている。
エルビウムを加えて、長距離通信の光が弱まるのを防ぐ。
◆69 Tm ツリウム Thulium
「光ファイバーアンプ」光ファイバーの光の信号を強める装置に使われる。
◆70 Yb イッテルビウム Ytterbium
発見されたスウェーデンの町イッテルビーが語源。
スウェーデンは元素発見に関係する国として重要。ノーベル賞発祥の国。
◆71 Lu ルテチウム Lutetium
古い火成岩、隕石、月の石などの年代測定をすることができる。
天然に産出する金属の中でもっとも高価なため、工業的にはほとんど使用されない。
◆72 Hf ハフニウム Hafnium
原子力発電の原子炉の中では、中性子が多くなり過ぎると危険なので、
中性子を適度に吸収する制御棒の材料に使われている。
◆73 Ta タンタル Tantalum
電気を蓄える装置コンデンサの原料に適している。
◆74 W タングステン Tungsten
金属の中でもっとも融点が高く、白熱電球のフィラメントなどに使われる。
金属に穴を開けるドリルの刃など、工具材料にも用いられる。
◆75 Re レニウム Rhenium
レアメタルの中でもっとも少ない希少な金属元素のため、用途は特殊なものに限られる。
◆76 Os オスミウム Osmium
あらゆる物の中でもっとも密度が大きい。
錆びにくく、すり減りにくいので、万年筆のペン先に使われる。
◆77 Ir イリジウム Iridium
あらゆる金属の中でもっとも腐食しにくい金属。加工が難しい。
1kgの質量の基準として「国際キログラム原器」が用いられている。
日本には「日本国キログラム原器」がある。
◆78 Pt 白金( はっきん ) Platinum
クルマの排ガス浄化装置用の触媒、マリッジリングなどの宝飾品に使われる。
「くも膜下出血」の治療のため、動脈瘤の中に詰めて破裂を予防する。
◆79 Au 金 Gold
ヒトがもっとも古くから扱ってきた純粋な金属。
◆80 Hg 水銀( すいぎん ) Mercury
常温で液体である唯一の金属。
蛍光灯など幅広い用途があるが、毒性があるため、水銀に代わるものの開発が進んでいる。
◆81 Tl タリウム Thallium
脱毛クリームなどに使われたことがあるが、極めて高い毒性がある。
塩化タリウムは、腫瘍診断薬として利用される。
◆82 Pb 鉛( なまり ) Lead
毒性が問題になり、最近は鉛を含まないハンダが使われる傾向にある。
「クリスタルガラス」鉛の透明度と屈折率の高さを利用した。
放射線を遮蔽する働きがあるため、放射線診断施設のガラスなどに利用されている。
◆83 Bi ビスマス Bismuth
鉛の代替えとしての用途がある。下痢症の薬に利用される。
◆84 Po ポロニウム Polonium
キュリー夫妻がウラン鉱石から発見した放射性元素。
◆85 At アスタチン Astatine 【研究用の人工放射性元素】
アスタチンの中には強い放射線を出す同位体があり、がん治療への利用などが期待されている。
◆86 Rn ラドン Radon
「ラドン温泉」ラドンがある濃度以上溶けたもの。「ラジウム温泉」とも言う
◆87 Fr フランシウム Francium 【研究用】
天然に存在する放射性元素。不安定なのでなかなか見つからなかった。
◆88 Ra ラジウム Radium
キュリー夫妻がウラン鉱石からポロニウムとともに発見した。
放射性元素を最初に見つけたことで、夫婦でノーベル物理学賞を受賞した。
◆89 Ac アクチニウム Actinium 【研究用】
3番目に発見された天然放射性元素。
◆90 Th トリウム Thorium 【放射性元素】
自然界に豊富にあり、廃棄物がウランより少ないことから、原子力発電の核燃料として、ウランに代わる可能性もある。
◆91 Pa プロトアクチニウム Protactinium
海底沈積層の年代測定に利用される
◆92 U ウラン Uranium
原子力発電の核燃料の材料などに使われている。
かつてはガラスの着色剤として用いられていた。
◆93 Np ネプツニウム Neptunium
人工的に作られたウランより重い「超ウラン元素」。
◆94 Pu プルトニウム Plutonium
原子力電池、核燃料などに利用されている。
◆95 Am アメリシウム Americium【人工放射性元素 など】
プルトニウムに中性子をぶつけてつくった放射性元素。
「イオン化式煙感知器」に使われている。
◆96 Cm キュリウム Curium【研究用の人工放射性元素】
キュリー夫妻の名をとった。
◆97 Bk バークリウム Berkelium【研究用の人工放射性元素】
発見されたバークレー校にちなんで名付けた。
◆98 Cf カリホルニウム Californium【研究用の人工放射性元素】
発見されたバークレー校のあるカリフォルニア州にちなんで名付けた。
◆99 Es アインスタイニウム Einsteinium【研究用の人工放射性元素】
1952年、マーシャル諸島での世界初の水素爆弾実験を行った時の放射性降下物(塵)から発見された。
理論物理学者アインシュタインにちなんで名付けた。
◆100 Fm フェルミウム Fermium【研究用の人工放射性元素】
1952年、マーシャル諸島での世界初の水素爆弾実験を行った時の放射性降下物(塵)から発見された。
イタリアの物理学者フェルミにちなんで名付けた。彼は世界で初めて原子炉を完成させた。
◆101 Md メンデレビウム Mendelevium【研究用の人工放射性元素】
周期表を考案したメンデレーエフにちなんで名付けた。
◆102 No ノーベリウム Nobelium【研究用の人工放射性元素】
スウェーデンの発明家ノーベルにちなんで名付けた。
◆103 Lr ローレンシウム Lawrencium【研究用の人工放射性元素】
アメリカの実験物理学者ローレンスにちなんで名付けた。
◆104 Rf ラザフォージウム Rutherfordium【研究用の人工放射性元素】
イギリスの実験物理学者ラザフォードにちなんで名付けた。
◆105 Db ドブニウム Dubnium【研究用の人工放射性元素】
アメリカのギルオソに発見された。
◆106 Sg シーボーギウム Seaborgium【研究用の人工放射性元素】
アメリカの物理化学者シーボーグにちなんで名付けた。
◆107 Bh ボーリウム Bohrium【研究用の人工放射性元素】
ドイツ重イオン科学研究所で合成された。
◆108 Hs ハッシウム Hassium【研究用の人工放射性元素】
ドイツ重イオン科学研究所で合成された。
◆109 Mt マイトネリウム Zirconium【研究用の人工放射性元素】
オーストラリアの女性物理学者マイトナーにちなんで名付けた。
◆110 Ds ダームスタチウム Darmstadtium【研究用の人工放射性元素】
ドイツ重イオン科学研究所で合成された。
◆111 Rg レントゲニウム Roentgenium【研究用の人工放射性元素】
ドイツの物理学者レントゲンにちなんで名付けた。
◆112 Cn コペルニシウム Copernicium【研究用の人工放射性元素】
ドイツ重イオン科学研究所で合成された。
原子番号113~118(117は除く)は、まだ国際的に認められていない。
認められると、発見者が名前をつけることができ、それをもとに元素記号が決まる。
日本でも独立行政法人理化学研究所が、原子番号113の発見に成功し、将来、命名権が与えられる可能性がある。
**************************日本の化学者
杉田玄白、前野良沢:日本に西洋文明が入ったのは、この2人が、オランダの医学書を翻訳し「解体新書」が刊行された頃と言われる。
宇田川榕菴:榕菴著『舎密開宗』(せいみかいそう)は、日本最初の化学書。
川本幸民:「化学」という言葉を最初に使った。
上野彦馬:フィルムの写真の普及に貢献した
**************************日本人のノーベル化学賞受賞者
福井謙一:フロンティア電子理論の研究で、1981年、日本人初のノーベル化学賞を受賞した。
白川秀樹:ポリアセチレンの性質を調べて、今では銀行のATM、駅の券売機のタッチパネルなどに利用されている。
野依良治:2つの物質のつくり分けを人工的に可能にした。2001年受賞。
田中耕一:タンパク質分子の集まりにレーザー光をあてても壊さずに質量分析ができる方法を開発した。2002年受賞。乳がんの早期診断などに応用されている。
霜村脩:オワンクラゲの発光に関わる2つのたんぱく質、緑色蛍光タンパク質(GFP)とイクオリンを発見。2008年受賞。