
■『Alaska風のような物語』星野道夫/著(小学館)
1989年の「週刊朝日」に1年間連載されたものをまとめ、後に加筆修正した1冊。
1冊4800円もするけど/驚、それに値する写真と文章
そんな素晴らしい本も図書館で手軽に借りて読めることに感謝/礼
p.41
ひとつの生命を終わらせ、自分の手で触れ、子どもながらに何かを知っただろうか。我々を含めたすべての生命が、ほかの生命に依存しているということを。その肉を口に含んだとき、そのカリブーの生命を自分自身が生きてゆくのだということを。
p.53
そしてケニスのように、今も原野の暮らしを続ける白人の友人たち。新しいアラスカの土地分割の中で、彼らの家は、気がつくと国立公園の境界線の中に入っていた。まだアラスカがフロンティアであった時代、この土地に自由を求め、原野に入った多くの人々が、ある日不法侵入の通告を受けることになる。
「ラウンド・ミッドナイト」
1977年。道夫さんがアラスカへ発つ前に思い出を作ろうと思って、
シアトルに来たデクスター・ゴードンのジャズライブを見に行く。
「For Mother's Day」と言って演奏が始まる。
この映画を観ると、その夜のことが鮮明に思い出される。
アラスカの秋の恵み、クランベリー、ブルーベリー、サーモンベリー、クロウベリーetc..
さまざまなカラフルな実の写真は可愛くて生気にあふれている
クマの好きなソープベリーは、人の口には合わないらしいw
「サテライトムース」
繁殖時期になると角の大きい雄が雌の集団を率いる。力ではかなわない雄がその周りをいつまでもとりまいている。
ある時、雄同士の闘いの最中に、サテライトムースの1頭がこっそり雌に近づいて交尾をしてしまった
発情期の雌は、近くにいる雄ならだれでも構わないのだ。
強い者だけが子孫を残すという通説のルールだけじゃない番狂わせ。
そんな自然の偶然性と包容力の話も面白かった。
p.202
人は、なぜ自然に目を向けるのだろう。アラスカの原野を歩く1頭のグリズリーから、マイナス50度の寒気の中でさえずる1羽のシジュウカラから、どうして僕たちは目を離せないのだろうか。それはきっと、そのクマや小鳥を見つめながら、無意識のうちに、彼らの生命を通して自分の生命を見ているからなのかもしれない。自然に対する興味の行きつく果ては、自分自身の生命、生きていることの不思議さに他ならないからだ。
道夫さんの本のあとがきの最後はいつも、周囲の自然の様子が現在形で締めくくられている。
1991年発行、文章が書かれたのはもっと前だろうけれども、読む人にとっては、
今ここで道夫さんが長い長い物語りを話し終えたかのような親しみを感じることができる
大型本いっぱいに広がる大自然の写真の合間に挟まれた文章の背景には、
これまで撮った写真の反転だろうか?モノクロの動物たちが点在している。
私たちがビルの合間

で齷齪と暮らしているこの瞬間にも、
きっと彼らは想像をはるかに超える広大な地で同じ時間を生きているんだな

道夫さんは1952年生まれ。存命なら今年でちょうど60歳なのか。
今ならどんな写真を撮って見せてくれたかな?
ボタンを押すだけで屋内が快適に暖まるエアコンでなく、角材を燃やした熱
ってどんな感じなんだろう?
蛇口をひねれば出てくる水じゃなくて、外から汲んでくる水の味は?
極寒のアラスカの冬は到底ムリでも、道夫さんの文を読んでいると、そんなシンプルな自然の暮らしに憧れてしまう。
「白いベールに包まれた未来へ向かって、カリブーの旅は続く」
1989年の「週刊朝日」に1年間連載されたものをまとめ、後に加筆修正した1冊。
1冊4800円もするけど/驚、それに値する写真と文章

そんな素晴らしい本も図書館で手軽に借りて読めることに感謝/礼
p.41
ひとつの生命を終わらせ、自分の手で触れ、子どもながらに何かを知っただろうか。我々を含めたすべての生命が、ほかの生命に依存しているということを。その肉を口に含んだとき、そのカリブーの生命を自分自身が生きてゆくのだということを。
p.53
そしてケニスのように、今も原野の暮らしを続ける白人の友人たち。新しいアラスカの土地分割の中で、彼らの家は、気がつくと国立公園の境界線の中に入っていた。まだアラスカがフロンティアであった時代、この土地に自由を求め、原野に入った多くの人々が、ある日不法侵入の通告を受けることになる。
「ラウンド・ミッドナイト」
1977年。道夫さんがアラスカへ発つ前に思い出を作ろうと思って、
シアトルに来たデクスター・ゴードンのジャズライブを見に行く。
「For Mother's Day」と言って演奏が始まる。
この映画を観ると、その夜のことが鮮明に思い出される。
アラスカの秋の恵み、クランベリー、ブルーベリー、サーモンベリー、クロウベリーetc..
さまざまなカラフルな実の写真は可愛くて生気にあふれている

クマの好きなソープベリーは、人の口には合わないらしいw
「サテライトムース」
繁殖時期になると角の大きい雄が雌の集団を率いる。力ではかなわない雄がその周りをいつまでもとりまいている。
ある時、雄同士の闘いの最中に、サテライトムースの1頭がこっそり雌に近づいて交尾をしてしまった

発情期の雌は、近くにいる雄ならだれでも構わないのだ。
強い者だけが子孫を残すという通説のルールだけじゃない番狂わせ。
そんな自然の偶然性と包容力の話も面白かった。
p.202
人は、なぜ自然に目を向けるのだろう。アラスカの原野を歩く1頭のグリズリーから、マイナス50度の寒気の中でさえずる1羽のシジュウカラから、どうして僕たちは目を離せないのだろうか。それはきっと、そのクマや小鳥を見つめながら、無意識のうちに、彼らの生命を通して自分の生命を見ているからなのかもしれない。自然に対する興味の行きつく果ては、自分自身の生命、生きていることの不思議さに他ならないからだ。
道夫さんの本のあとがきの最後はいつも、周囲の自然の様子が現在形で締めくくられている。
1991年発行、文章が書かれたのはもっと前だろうけれども、読む人にとっては、
今ここで道夫さんが長い長い物語りを話し終えたかのような親しみを感じることができる

大型本いっぱいに広がる大自然の写真の合間に挟まれた文章の背景には、
これまで撮った写真の反転だろうか?モノクロの動物たちが点在している。
私たちがビルの合間



きっと彼らは想像をはるかに超える広大な地で同じ時間を生きているんだな


道夫さんは1952年生まれ。存命なら今年でちょうど60歳なのか。
今ならどんな写真を撮って見せてくれたかな?
ボタンを押すだけで屋内が快適に暖まるエアコンでなく、角材を燃やした熱

蛇口をひねれば出てくる水じゃなくて、外から汲んでくる水の味は?
極寒のアラスカの冬は到底ムリでも、道夫さんの文を読んでいると、そんなシンプルな自然の暮らしに憧れてしまう。
「白いベールに包まれた未来へ向かって、カリブーの旅は続く」