■『のらねこ。震災を越えて』(エンターブレイン)
中川こうじ/著
『のらねこ。ちいさな命の物語』につづく第3冊目。
仕事の依頼もあって、著者は、以前も取材したことがある田代島に震災後訪ねて愕然とする。
“まさに地獄絵図。戦地の経験はいやというほどあり、地獄絵図などには冷酷なほど慣れていると思っていた。
けれど、ここはちがった。容赦ない。この言葉だけが頭にこびりつく。”
CHAPTER1 島で生きる
震災前の穏やかな日々の写真。ここでは漁師と猫が寄り添って生きていた。
“居心地のよさってみかけの華やかさや、物の豊かさではない。”
CHAPTER2 震災の疵痕
震災後、がれきが積まれ、すっかり様変わりしてしまった風景の中でも
必死にその日を生きようとする人々と猫たちの姿が撮られている。
“恐ろしい時から少しずつ時間が動き始めた。恐怖がつのった。死ぬという恐怖よりも、生きているという恐怖。”
“小さな命。母とともに寄り添い、支える。さぁ、ここから歩こう。ここから新たに生みだそう。”
CHAPTER3 再生の息吹き
震災を知らない新たに生まれた子猫の姿、みんなで支え合って復興に向けて前を向く姿が撮られている。
“ここに集う。生きていることを確かめ合い、明日を生きることを誓いあう。”
“ここはぼくの楽園。そんなにいろいろなものはなくとも、そんなに豊かじゃなくとも、
そんなものよりたいせつなものがたくさんたくさんある。”
【著者あとがきメモ】
命ははたして食べものだけで生きていけるのか。答えはNOな気がする。
ある2つの難民キャンプがあり、1つにはありあまる物資があったが、そこのスタッフは多忙で、なかなかほかに手が回らない。
もう1つは、あまり物資がなかったが、みなで分け合い、子どもたちと密にコミュニケーションをとった。
この2つのキャンプで、物資が豊かなほうの子どもの死亡率が高かったという。
震災の復旧作業をする人たちなどにより、取り残された動物たちの食事が運びこまれた。
しかし、命を落とす動物があとをたたなかった。それは今なお続いている。
田代島の猫たちは生きた。物資が届かない中で耐え抜き、新しい命も生まれたのだ。
ここでは優しさで支えあったのだ。
お金でもない。物資でもない。いい訳もなく、高望みもない。
ここに住む人たち、生き物たちすべての、純粋で力強い、生きる力がそこにあった。
中川こうじ/著
『のらねこ。ちいさな命の物語』につづく第3冊目。
仕事の依頼もあって、著者は、以前も取材したことがある田代島に震災後訪ねて愕然とする。
“まさに地獄絵図。戦地の経験はいやというほどあり、地獄絵図などには冷酷なほど慣れていると思っていた。
けれど、ここはちがった。容赦ない。この言葉だけが頭にこびりつく。”
CHAPTER1 島で生きる
震災前の穏やかな日々の写真。ここでは漁師と猫が寄り添って生きていた。
“居心地のよさってみかけの華やかさや、物の豊かさではない。”
CHAPTER2 震災の疵痕
震災後、がれきが積まれ、すっかり様変わりしてしまった風景の中でも
必死にその日を生きようとする人々と猫たちの姿が撮られている。
“恐ろしい時から少しずつ時間が動き始めた。恐怖がつのった。死ぬという恐怖よりも、生きているという恐怖。”
“小さな命。母とともに寄り添い、支える。さぁ、ここから歩こう。ここから新たに生みだそう。”
CHAPTER3 再生の息吹き
震災を知らない新たに生まれた子猫の姿、みんなで支え合って復興に向けて前を向く姿が撮られている。
“ここに集う。生きていることを確かめ合い、明日を生きることを誓いあう。”
“ここはぼくの楽園。そんなにいろいろなものはなくとも、そんなに豊かじゃなくとも、
そんなものよりたいせつなものがたくさんたくさんある。”
【著者あとがきメモ】
命ははたして食べものだけで生きていけるのか。答えはNOな気がする。
ある2つの難民キャンプがあり、1つにはありあまる物資があったが、そこのスタッフは多忙で、なかなかほかに手が回らない。
もう1つは、あまり物資がなかったが、みなで分け合い、子どもたちと密にコミュニケーションをとった。
この2つのキャンプで、物資が豊かなほうの子どもの死亡率が高かったという。
震災の復旧作業をする人たちなどにより、取り残された動物たちの食事が運びこまれた。
しかし、命を落とす動物があとをたたなかった。それは今なお続いている。
田代島の猫たちは生きた。物資が届かない中で耐え抜き、新しい命も生まれたのだ。
ここでは優しさで支えあったのだ。
お金でもない。物資でもない。いい訳もなく、高望みもない。
ここに住む人たち、生き物たちすべての、純粋で力強い、生きる力がそこにあった。