メランコリア

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『その後のツレがうつになりまして。』(幻冬舎)

2013-03-27 13:30:18 | 
『その後のツレがうつになりまして。』(幻冬舎)
細川貂々/著

先日読んだ『ツレがうつになりまして。』のその後。


 

【内容抜粋メモ】
『ツレうつ』が出て、2005年にまた大きな浮き沈みがあった。
その話は『イグアナの嫁』にあるけど、それはまた後日(ただ今貸し出し中

『ツレうつ』を出版する前から日記をつけてもらっていたけど、
実際、うつ病の本を書くことは思ったよりとってもとっても苦しい作業だった。
(そんな陰鬱感は本には出てなかったから、逆にすごい!

しかも直前になって「やっぱり出版するのヤメテ~」とツレが泣いてしまう。
それでも出版してみたら「自分と同じ症状で、他にもいるんだと安心しました」というメールが殺到。
それを読んだツレも「ボクと同じ人がいたんだ・・・」とまた泣く


その反面、当時は知らなかった事実も多数判明。
●うつ病の時は、退職などの大きな決断はしないこと。「休職制度」を利用する。
“無理して働き続けるより、まず休職。会社を辞めるのは最後の手段”

「障害者自立支援法」を利用すれば、薬代・医療費の負担が少なくなる

●日記をつけるのは「認知療法」
・白か黒かの極端な考え、言葉で自分を追い込む、悪い予想をたてて自分でハマる、自分はふつうじゃないと特別扱いする。
ここでも大野裕さんの『こころが晴れるノート』が紹介されてる!驚



パニ障とまったく同じ症状が出てるのにも驚いた/驚
●長時間乗り物に乗るのがツライ。例:新幹線、電車、自動車、飛行機は言語道断
●人混みがツライ
●求職活動がツライ→どっちが家計を支えるかの役割分担は状況によって変えようと専業主夫になったツレ
●電話恐怖症


うつ病の家族の対応が書いてあるマニュアル本がなかったため、貂々さんは「じゃあ、自分が書こう」と思った、という。

ダメなパターン
・わざと後ろ向き発言を繰り返していると思ってムカつく。「病は気からって言うでしょ!
→やる気がない感じは「チャージしている」と思って安心する。
・もっとやる気を出すように言う。「そんな気持ちに負けちゃダメ」

・理屈を言ってもムリ。「世の中にはもっと大変な人もいるよ」
・共感してしまう。「ほんと、この先どうなるか、私も不安」→家族もうつ状態になる可能性がある。
・同じうつ病の人と比べる。「Aさんは6ヶ月で復職したんだって」

・安易で無責任な発言をする第三者を巻き込む。「バリ島はスピリチュアルだからすぐに治るわよ
・本の内容を鵜呑みにする。→ケースバイケース
・無神経に相手に触れようとしたりイヤがることをする。例:うつに効果のあるオイルを塗る

・症状が回復しないと医者や薬にあたる。→セカンドオピニオンも大切だが
・アルコール、カフェイン、簡易な薬に頼ろうとする
・相手、または自分の変化に気づかない。例「私は遊びに行ってくるから~
・我慢を重ねて爆発し、縁を切るような発言をする


その後、「2人に体験談の講演をして欲しい」と依頼がくる。
人前で喋るのが大の苦手な貂々さんは始終固まっていたけど、ツレは1時間半の講演をすべて一人でやり遂げた

そして、なんとツレは会社を作って、貂々さんが苦手な事務作業を自宅でこなしている!
会社法の制定で1円から起業できる(そーなの


病気をして、いろんな経験をして、より自然に楽に生きられるようになったと思います。




【ツレのつぶやき抜粋メモ】
断ることができない「弱点」
自分にとって過大な負担でも、他の人の心情を考えると、断れない。
断るエネルギーを考えると、引き受けたほうが断るより楽と判断してしまう

会社を辞めてはいけないのはどうしてか
うつ病独特の逃避心理からのことも多いから。離婚、親子の離縁、最後には自殺企図までエスカレートしてしまう

「あ」「と」「で」
「あ」焦らない・焦らせない
「と」特別扱いしない。
例:「人よりも仕事ができる」「寝なくても大丈夫」「人一倍ダメな奴」「自分は早く治るだろう」になってしまう。
「自分は普通の能力の人だから無理をしてうつ病になった」「平均的な経過で治る」
「で」できること・できないことを見分けよう。こうゆうアビリティの判断がおかしくなるのがうつ病ならではのだが。

あとで、と、常に判断を保留する癖をつけると楽になる。これはすべての病気に役立つモットーだと思う。

誰もが恵まれていることに気づけない
どんな人も恵まれている。それに気づけないのがうつ病。
自分は孤立無援でこの世で一番不幸だと思い込んでしまうのは、病気が思わせる妄想的な誤解

宮沢賢治の「どんぐりと山猫」に感動したらしいv

「なまけ病」疑惑
「もしや自分はうつ病じゃなく怠けているだけなのでは?」と思ってしまう。
本当は怠けるのもちっとも悪いことじゃない。


なまけ道
初段:なんでも他の人にやってもらう
1級:赤の他人がいても気にしない
2級:働いていないことでクヨクヨしない
3級:お昼寝ができる
4級:テレビをだらだら見る


自分は必要とされている
「お金のために働かなくちゃいけない」という焦りが薄れると、
「自分を必要としてくれるところで働けばいい」という考えに変わった。
よく考えると、会社で働いていた時も「自分が必要とされている」ことが心の支えだった


【ツレのあとがき抜粋メモ】
相棒が僕の病気を隠さず周囲に全て話していたこと。
人の生きている姿の1つの形なのだと、僕に胸を張って生活するように態度で示してくれた。
結果的にそれが僕にとってはとてもありがたかった。
僕には自分の過失で病気になってしまったのではないかという負い目があったので、病気のことを語るのはとても恥ずかしかった。

人間は誰でも病気になるんだ。
だから病気のつらさを言葉にして他の人と共有することは恥ずかしいことでもなんでもないのだ。
人はどんな時でも、自分の「生きざま」を誇れるのだとわかった。
「私は私のことを誇りに思います」


【貂々さんのあとがき抜粋メモ】
『ツレうつ』が出たあと「続編を出して欲しい」とみんながゆってくれたが気がすすまなかった。
第2弾、第3弾と続いて、ツレの病気が永遠に治らない気がしたから。
でも、ツレなりの社会復帰の姿を見て「うつ病はちゃんと治るんだ。だったらそのことを書かなくてはいけないな」と思うようになった。

「疲れたら休む」「無理はしない」これだけはツレには守っていって欲しい。



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