メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『ツレがうつになりまして。』(幻冬舎)

2013-03-08 10:06:26 | マンガ&アニメ
『ツレがうつになりまして。』(幻冬舎)
細川貂々/著

映画を先に観て、原作も読んだ気になっていたけど、まだだった。
ネットで実際のご夫婦画像を見たら、とっても明るい笑顔で、こんな修羅場をくぐってきたとは思えないほど/驚
まだまだ続編があるから、この初刊のその後2人がどうなったのか、まだ分からないけど、
とりあえず、本作のラストは回復期で終わってホッとしたv

てんてんさんのイラストがとってもゆるくてほのぼのしているし、
考え方の転換がマンガ的な面白い発想なため、相当辛い体験談なのに、ちゃんとマンガとして成立しているのもスゴイし、
マンガで面白く読ませながらも、うつ患者さんと、それを支える家族の大変さの実情、
周りの理解をもっと深めたい意向もちゃんと伝わってくる。
これを読めば、現代のストレス社会の根の深さを改めて認識できる。
みんなも一度はこんな気分になったことがあるのでは?
まったく他人事じゃないし、もっと意識されるべき問題なんだ。

【内容抜粋メモ】
それは、もしかしたら現代という時代に特有の小さなつまずきによって導かれた、誰にでも起こり得る病気のせいかもしれません。
例:人間関係、孤独、過労、都市生活、生真面目な性格、プレッシャー



ハードウェアメーカーのサポート係でバリバリ働いていたツレ。
その後大規模なリストラがあって、「勝ち組」に残ってヤル気まんまんになったはいいが、
仕事量が格段に増え、英語が出来ないのに外国本社との交渉などが半年ほど続いて・・・
ある朝突然、真顔で「死にたい・・・」と漏らした。

疲れすぎて仕事がイヤになる→失敗ばかりするようになる→眠れなくなる・食欲がなくなる(好物も食べない

元々、仕事は好きだったが、病気と分かって辞職願を出したら、「手書きで書き直せ」て言う上司も問題大だ
クスリが効いて、人間らしい感覚を取り戻すゆり戻しがある勝手にクスリを止めて元に戻る(危険。また効くまで2週間かかる

振り子が揺れるように良くなったり、悪くなったりしながら回復してゆく病気



セロトニンの減少が原因と言われる。その原料となるアミノ酸のトリプトファンを摂るといいらしい。
○:卵の白身、大豆製品、ハチミツ、バナナ、牛乳(全部好きだなv
×:コーヒー(これは悲しい

○:家事は良い作業療法:部屋の片付け・掃除は精神衛生的にもよい。
「この部屋の乱れ方は、自分の心の中を反映してるようだな」p91

×:辛い話、愚痴、暗い事件・事故のニュース、好きな音楽も聴けなくなり、本や新聞にも集中できない
  テレビ番組もバラエティ・ワイドショーなどは辛い。NHK系は喋り方が一定していてへーき(なんか似てる・・・
  趣味のクラシックも、レビュー投稿が義務のようになって撤退した(生真面目
テレビはわざと暗いニュースを流すし、人々も暗いニュースのほうを見たがるからなぁ・・・

×:雨・台風の日は調子が悪化する。うつ病は太陽光と関係しているという説もある。
太陽を浴びるとセロトニンが出やすくなる。日照時間が減る季節に悪化する症状もある

×:床屋さんが怖い

元々は、貂々さんのほうがネガティブ性格で、ツレが励ましていたのが、
今では、貂々さんのネガティブさがツレに伝染して悪化する
ツレのフシギな症状を「宇宙カゼ」と呼ぶ貂々さん

回復期のテーマの1つ「自分は何かの役に立っているのだろうか?」
イグアナの「イグ」、ヌマガメ3匹、ギリシャリクガメの「松井」くんが可愛い

 
「オレはエライ」と首を振って体を大きく見せて威張るから、
「そーかエライのか」と言ってアゴの下をなでると「いやーん」て顔をするんだって

バリの民族音楽、ガムラン、お香で心が落ち着く(これも分かる
ツレは帰国子女だったため、子どもの頃にイジメられたことで“自分が周りと違うということに神経質なところがある”
回復してくると、時々「躁状態」になる必要ないカードを作ってしまう後悔でまた落ち込む

地震に遭ってから電車に乗れなくなる。「歩いて家に帰れる範囲しか出かけたくない/怖」→家にこもる

ありのままを受け入れる
「今までは、なんでもカンペキでなくちゃダメだって思って、病気もカンペキに治そうと思ってたけど、
 でも自分はちょっと調子が悪いくらいがちょうどいいんだ」
「病気をしてツレは生まれ変わった。そう感じている私です」



【あとがき ツレ 抜粋メモ】
病みは闇なり。
焦って動けば障害物にぶつかり、足元の起伏で転んでと、痛みが増すばかりであった。
心ある知人が箴言をくれた「夜は必ず明ける」と。
絶望の最中にいる時は、空しい気休めにしか聞こえなかった。でも、いまは敢えて言おう。
「夜は、必ず、明ける」

この病気の不思議で怖いことは、なぜだか本当に死にたくなってしまうところだ。
そうした気分から脱した今は、もはやその焦燥のような、むずがゆい不快感を思い起こすことは難しい。
自身ですらそうなのだから、周囲の人たちが、その気持ちを理解したり、想像するのは、とても困難だろう。
しかし、病人にとってはそれだけがリアルな現実で、薬で焦りや不安を抑え、ただ時間が流れるのを耐えて待つしかない。


【あとがき 貂々 抜粋メモ】
2年目になると、前半は1年目と似たような感じだったが、夏を過ぎてから落ち込みも少なくなり、
秋には薬を減らし、冬にはほぼ完治に近い状態になった。
以前のツレは頑固で、自分の決めたことは絶対に譲らず、神経質で人の言うことは聞かないような人でした。
今思うとうつ病になったことは、ツレの人生の中で避けて通れなかったことのように思います。
ツレは病気になって初めて自分の弱さに気づくことができたので、決して無駄にはなっていないと思います。

同様に、私はツレが病気になるまで何もかもツレを頼って生きてきたことに気づきました。
私はそれまでは暗い後ろ向きな考え方をするのが楽ちんで好きだったのですが、それは頼れる人がいるからやってしまうこと。
自分がしっかりと生きていくためには明るい考え方をして前向きに生きていかなきゃいけない、と気づきました。

たとえ病気になっても「人生の夏休みなんだ」と思ってゆっくり休養してください。
その時間は自分と向き合える貴重な時間でもあるのです。


コメント    この記事についてブログを書く
« NHK「探検バクモン」 | トップ | マインドフルネス »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。