素振りブログ。

一般でスピーチできる話の素振りのはずなのに、無理な話がほとんどのブログ。

イフリート

2021年03月23日 19時02分21秒 | 日記
昔、週刊少年サンデーで連載していた「必殺仕置人」を意識した作品。
かなり正統派でした。

お金を貰って、弱者の恨みを晴らす。
仕置の方法は、主人公の青年が「人体を焼き尽くすほどの異常高温」に体温を高められる特異体質を駆使し、マトを生きたまま消し炭にする。
そしてヒロインが、そんな昂った主人公の体温を下げるため、異常低温に体温を下げられる特異体質。
炎と冷気で、外道どもの一円の値打ちも無い命を狩っていく。そんな作品。

すごく面白かったんですよ。
依頼人の涙を強調するために、依頼人の悔しさ、辛さを丁寧に描写する。

例えばこんな話がありました。

結婚を約束している彼氏が、仕事中に自動車事故を起こして、賠償金が必要になった。
そのため、彼女さんが必死でお金を稼いでいる。

でも、自動車事故を起こして重体だった彼氏さんが意識を取り戻して、こう言うんです。
「何で僕が自動車事故を起こしたことになってんの!? 運転してたの先輩だぞ!?」

その後、急に容体が悪くなり、死亡してしまう彼氏さん。

彼氏さんの死に絶望し、彼女さん、お腹に痛みを覚え、倒れてしまう。

……どうやら、彼氏さんの赤ちゃんを妊娠してたみたいだったんですが、流産してしまった。
原因は精神的ショックと「働きすぎ」

愛する彼氏さんの赤ちゃんが死んでしまった。
彼も死んだから、もう彼の赤ちゃんは授けてもらえない。
そう、意識はあるが動けない身体で絶望していると。

問題の先輩がやってきて

「余計な事を言う前に、アイツを始末出来て良かったぜ」

「残ったアイツの女は、テキトーに遊ばさせてもらって、飽きたら捨てるか」

と、動けない彼女さんが寝ていると思い込んで、胸を触って去っていく。

……許せない。

このときの彼女さんの涙がもうね。
こういうのは、依頼人の涙の濃さをどう表現するか。
それだから。

悪事ってのはデータじゃ無いのよ。
実体験なのよ。

響くのは。

こいつは昔爆弾で無差別に200人ほどぶっ殺しましたーって言われるより。
クズ少年に遊び半分で大事な子供を誘拐されて、バラバラにされてしまいました、と母親本人に回想込みで言われる方が響くのよ。
無論、その子供の生まれたときから殺されるに至るまでの歴史をうかがわせる回想ね。

話が重くなる?
そりゃそうだけど、そこがいいのよ。

……でも。
ウケなかったんでしょうな。面白かったのに。

最終的には打ち切りですわ。
残念無念。