素振りブログ。

一般でスピーチできる話の素振りのはずなのに、無理な話がほとんどのブログ。

シナリオフック

2020年02月02日 04時42分29秒 | 日記
洋介犬さんの単行本「ジゴサタ~地獄の沙汰もお前しだい~」を買った。

わりと肌に合う作家さんだから、多分大丈夫だろうと期待を込めて。

内容は「地獄というものが実在する世界で、生前の罪悪で地獄に堕ちて来た魂を地獄の刑吏たちが罰する」ってもの。

その罪悪ってのが単純な殺人やら盗みの他にも

「子供を過保護で虐待した罪」とか「裏口入学で、そいつの代わりに本来入学するはずだった優秀な学生を一人浪人させ、彼が現世で成す予定の仕事の達成を遅らせた罪」とか
変化球がある。

他にも

地獄に堕ちず天国に行った連中も登場し(天国に行くと地獄の自由見学ができるという設定)彼らが拷問されない立場で拷問されている地獄の罪人たちを嘲笑うシーン。
やっぱ生前散々不愉快な目に遭わされた連中が泣き喚いて苦しんでる姿は楽しいか。気持ちは分かるけど、それでもやっぱりあまり褒められたもんじゃないよなぁ。
こんな変化球も。

ですけど。

ちょっと説教臭過ぎて、あまり面白くなかったです。
申し訳ないが。

まぁ、そういう傾向が強い作家さんだとは思ったんですが。

「じゃあ日記でそういうもん紹介すんなよ。批評家気どりか?」

いやいやいや。
読む価値無いとは言ってないでしょ。

私、たまにTRPGでGMやるんですけどさ。
オリジナルのシナリオをよくやるんですわ。

そーゆーのを作る際、こういう作風の作品って役に立つのよね。
断片的に説教臭いエピソードを読むことで、その背後にある物語を妄想し、そこからシナリオを膨らますの。
所謂シナリオフックっていうやつです。

例えば「生前散々悪事を働いてきた悪党が地獄にやってきて、拷問の一環で、悪党が現世に残してきた我が子が『こんな男は父では無い。恥だと思っている』と言っていると刑吏が教えてやると何故かその悪党は嬉し泣き。何故かと問いただすと『俺を見習わないでくれて嬉しい。ガキの頃、あいつは俺を慕っていた。俺はそれがどうしても嫌だったんだ』と返した」

こんなエピソードあったんですが。
これをシナリオフックにして、山賊が孤児を大量に引き取って育てていたが、このままじゃこいつら行く末は獄門台だと思い、山賊のボスが孤児が自分たちに絶望して出ていくように仕向けるため、わざと捕まり、思い切り見苦しく処刑される話とか。
父親に下衆なことをされそうになり、そのせいで男性不信になっていた少女が、実は父親は娘が自分を躊躇いなく見捨てられるようにあえてそうしたんだと知る話とか。
色々出てきますやね。

説教臭い話って便利なのよ。TRPG的に。