シンポジウム「アジア“今”3」~アセアン・エンタテインメントの動向と期待~レポート
ちょっと遅くなりましたがレポートです。結論から言うと、アセアン・エンタテインメントのこれまでの道のりと最近の状況が分かった、つまり現状把握で終わってしまい、これからどうする、って所まで話は発展するまでもなく時間切れでした。
最初に反畑誠一さんという、音楽評論家であり大学の教授でもある先生が、ここ約10年間に、日本やアセアン諸国で行われた、ジョイントコンサートの流れを説明。今後は、ジョイントコンサートではなく、一緒にひとつのもの(音楽)を作っていく新しい流れが必要ですね、と。そのためには、国境を越えて仕切れる優秀なプロデューサーと、スーパースターが必要ですとのことです。ただし、国境を越えるに際し問題になるのが、著作権。いくつかの著作権を示し、アセアンのどの国が、どの著作権条約(結構種類有り)に加盟しているのかを表で見せてくださいました。
NHKの山中宏之プロデューサーは、これまでにNHKで手掛けてきたアジアと日本の歌手の合同コンサートで、どんなものを手掛けてきたかを映像と共に見せてくれました。その中には、90年代にアジア各国からコンサートを生中継するASIA LIVEという非常にバブリーな音楽番組から、アジア2000ミュージックフェスティバルそして、いちばん最近の2003年にはJ-ASEAN POPsコンサートを手掛けられたのです。
J-ASEAN POPS コンサート公式H.P.
シンガポールからは、アーティストであり音楽プロデューサーであるアンドリュー・ラムさんが発言。この方は、国境を越えてアーティストを集めたライブ活動をされており、私がこの方のお話で印象に残ったのは、国境を越えてアルバムを販売する際の、著作権が複雑になって大変という話でした。
タイの最大手音楽プロダクション、GMMグランミー社洋楽部長スラチャイ・センスリ氏は、なんとプレゼン用のパワーポイントの資料をCD-ROMに焼いて、入場者全員の手に渡るように準備していただけあって、かっちりとした発表でした。同社は、タイ国内で約70%以上のシェアを誇っていますが、それだけでなく海外市場の開拓も。
氏の話で初めて知ったのは、タイポップスがメロディーはそのままで、歌詞が韓国語に訳されていることでした。ただし、韓国でも有名な歌手に歌わせているのがポイントなんだとか。数曲タイ語と韓国語のバージョンを流し、聞き比べができました。タイ語でも韓国語でもメロディーに乗れば全く違和感ナシ!最近の楽曲だとkat様ことKatreeyaEnglish嬢の“I Think I”も韓国語バージョンがあります。タイポップスに韓国語の歌詞が何の違和感もなく、のっているのでした。耳を澄まさなければ、原語の違いに気づかないかもしれません。
が、その逆でタイへの韓流の歌手の進出もかなりあるとのこと。ピ(レイン)がコンサートをして、熱狂的にタイ人ファンに迎えられたのは、音楽好きの人ならご存知かと思いますが、それ以外にもミュージックフェスティバルにもどんどん参加しているとか。その際も、韓国からバックバンドを連れて来ないとダメ!なんていうワガママは言わず、身軽に来るのだとか。また韓国政府もK Popの海外進出に力を入れているのだというのです。
司会の方か反畑先生かどちらかのまとめで、こんなことを仰っていました。日本の映画市場は、欧米につぐ大きな市場で、ゆえに日本の音楽があえて積極的に海外進出をしなくても、なんら問題はない。だからあえて外に出ようともしないし、また洋楽を除く音楽もそんなに積極的に受け入れる姿勢もないのだ、と。
ということで、どんな形でアセアンと音楽のコラボレーションをしていくのが理想の形なのか、その際著作権の問題をどうクリアしていくのか、その辺の結論が出なかったのでは?というのが私の感想です。
この日のシンポジウムの模様は、なんと動画で見ることが出来ます。
シンポジウムの動画配信
でも私の感想はまだまだあるので、日をおいてコメント欄に記入します。動画を見たり、日ごろから、アセアンポップスに関してのご感想などあったら、皆様もぜひコメントくださいませ。