日タイアーティストの交流約70年の過去・現在・未来を~みてみ☆タイ~
さて、昨夜は内覧会とオープニングセレモニーに参加してきました。
東京都現代美術館「タイ王国・現代美術展 Show Me Thai ~みてみ☆タイ~」Official Sight
16時から、アピナン・ポーサヤーナン氏(タイ王国文化省 現代芸術文化委員会総合ディレクター / 現代美術展「Show Me Thai」実行委員長)の解説つきで、プレスツアーが行われました。
まず入り口から向かって右側の部屋に入ると、日本とタイでアーティスト同士の交流が始まった第2次世界大戦頃からの作品を見ることが出来ます。左側から入ると、現代の若手アーティスト達の遊び心溢れる作品を見ることができます。アピナン先生は、“どっちから入っても自由です、ただ今回の展示は日タイ芸術交流を時間軸にそって展示しています。”ということで、右側の部屋から進みました。ちなみに展示の合間に年表も貼ってあります。
解説によると、第2次世界大戦ごろから、日本とタイのアーティストの師弟関係が生まれたり、また日本の文部省の奨学金を得た留学生も多数、しかも東京だけではなく、いろいろな県に滞在していました。今回のオープニングに合わせて、何人かのアーティストが作品の前におり、流暢な日本語で、作品の背景を説明してました。(オープニングの日だけ)
初期の頃の作品は、タイの人間国宝の方の作品多数。これだけの数が集まると、圧巻です。また、日本の展覧会にタイのアーティストが多数参加していること、個展を開いている方がいることも、よく分かりました。また、今回の展示には、東京都現代美術館はもちろん、
福岡アジア美術館が収蔵しているタイのアーティストの作品も多数展示されています。日本は、こんなにもたくさんのタイのアーティストの作品を持っていたんですね!知りませんでした。
つまり今回は、日本での活動経歴のあるタイのアーティストの一挙展示ということで、点が線になり、大きな面になった感覚です。展示室の面積は、1,860平方メートルもあるとのこと。
最後のひとつ手前の部屋は、若手のアーティストの作品で、観客の参加型の展示が多く、楽しいです。みんなで空気を入れて、象のオブジェに命を吹き込んだり、タイの伝統的なラーメンを売る船(クイッティアオルア)(会場ではインスタントラーメンを配布。毎日は、やってないかもしれません)があったり、オブジェの下をくぐると、それぞれのゾーンで違う香りのタイのハーブの香りがしたり。
車のナンバープレート(使用済み)を多数くっつけた作品は、バンコクの空気感がリアルに伝わって来ます。また、チェンマイと福岡在住、インド系タイ人のナウィン・ラワンチャイクンさんの作品は、テントの中で本人主演のBollywood映画を上映していて、楽しそう。アーティストトークに参加されたナウィンさん自身も、とっても陽気な方でした。
また、タイでアート制作を行ったり、タイ人と共同制作を行った日本人アーティストの作品も。奈良美智+graf では、昨年2月にバンコクで開かれた『束の間美術館ソイサバーイ』に参加した時のビデオ映像と、奈良さんの作品があります。タイの伝統的な祠で眠る、かわいい犬(おなじみの○○犬)の作品を、何の囲いもなく身近で見ることができます。
アピナン先生の解説によると、森村 泰昌さんのポートレートは、タイの美術界に衝撃と興奮をもたらしたそうです。写真家の荒木経惟さんの展示は、タイトルが「トムヤム君」。レセプションにも、フラっとした感じでいらしてました。
最後の部屋は、未来を予感させる雰囲気。Soi Projectの作品です。我らがタム君の作品も、ここに。アーティストトークで、Moderndogのコンサートも手がける、ウィット・ピムカンチャナポンさんと、遠藤 治郎さんが登板。『今までの両国のアーティストの出会いは、公的な機関が作ってきたことが多いけれど、これからは個と個が出会う時代。現にSoi Projectの日本人とタイ人のメンバーも、今回の企画展より前に出会って活動してきた。時代の流れは速く、出会いも早いので、今後はもっと面白い展開になるかもしれない。』とのこと。
タイと日本のアートの未来を明るく予言という、いい締めくくりでした。