タイ映画 & アジアな毎日  Thai Movie & Asia Entertainment Diary

主に最新・最速タイ映画情報の掲載とアジア全般のポップカルチャーを楽しむ日々をのんびりと語る日記です。原稿依頼歓迎!

アジアフォーカス福岡映画祭 ディレクター退任

2006-09-30 10:50:52 | Movie
 アジアフォーカス福岡映画祭のディレクター、佐藤忠男氏の退任の記事を、福岡滞在中の9月23日付けの朝日新聞朝刊で読みました。ちなみに全国版には載ってませんでした。かなりがっかりです。アジア映画ファンのひとりとしては、これはとても大きなニュースなのに、地方版だけの掲載だなんて。

 今年で16回目だった同映画祭。最初の年から関わってこられた同氏ですが、記事によると高齢のため、1年に数回海外へ映画の選考のために行くのはたいへんになってきたとのこと。今後のアジアフォーカスにエールを送りたい、という内容でした。

 佐藤忠男さんと言えば、いつの頃だろう、学生の頃に、NHK教育テレビでアジア映画劇場という枠があり、映画を放映する前に、映画のコメントをしていらしたのです。その頃はお名前を存じ上げず、アジア映画を分かり易い言葉で解説してくれる、“アジア映画のおじさん”という認識でした。やがて大学生になり、神田神保町の古本屋で偶然アジアフォーカス福岡映画祭のパンフレットを発見し、この映画祭にいつか行くんだ!と心に決めていた事を思い出します。そして最近、“アジアにはいい映画がたくさんある”という、少し黄ばんだ約10年前の新聞記事のインタビューを、部屋で見つけました。私がアジア映画を好きになるきっかけになった、大きな影響を受けた方のひとりでした。

 そして個人的には、2000年から参加できた映画祭。今まで見てきたどの映画祭よりも、佐藤忠男さんが司会をするQ & Aは、内容が充実していて、何よりアジアに対する優しさと理解を感じます。そもそもプログラムディレクターが、ご自身が責任を持って選考された作品を自ら紹介される、そのお姿をとてもかっこいいと思っていました。ディレクターは、お客さんの質問を聞く前に、監督や俳優さんに、映画のいい所を引き出すような、簡単な質問をされていたのを見たことがあります。そうすると、会場の雰囲気がいい感じにあったまってきて、その後の福岡の観客の質問も、映画を通して、その国を知りたいという熱意に溢れたものが多いです。私はどこの映画祭よりも、アジアフォーカスのQ & Aが一番好きです。

 タイ映画を多数見てきた私でさえ、ここで上映されたタイ映画数本を見て、また新たに違う視点でタイを見ることになり、慌てて何冊も本を探して読んだこともあります。

 飛行機に乗る直前に今年最後にアジアフォーカスで見た映画は、「胡同の理髪師」でした。中国の北京の胡同(フートン)の街で、馴染み客相手に80年もの間、現役の理髪師を続けている実在の人物を、描いたドキュメンタリータッチの映画でした。過剰な演出は何も無いのだけれど、ひとつの事に信念を持って生きていく主人公は、とてもかっこいい。ただ、移り行く街の風景に、寂しさを覚えたりして、泣き笑いしながら観ました。ああ、最後にアジアフォーカスらしい素敵な映画を見せていいただいたと思いながら、別の意味の涙も混ざっていた気がします。

 記事によれば、アジアフォーカス福岡映画祭は、続くそうなので、一安心です。ただ、ディレクターは退任されても、そのスピリットを引き継いでいただき、今までのような唯一無二の個性を持った映画祭でありますように、とアジアフォーカスファンのひとりとして、心から願っています。

福岡市総合図書館映像ホール シネラ

2006-09-30 10:47:24 | Asia
 9月23日(祝)の午後、福岡市総合図書館映像ホール “シネラ”にチャード・ソンスィー監督特集を見に行きました。

 福岡市総合図書館は、公立の図書館としては、とても珍しいところで、図書館の中に、フィルム・アーカイブがあります。映像ホール “シネラ”と、図書館の中にもうひとつミニシアターもあります。アジアフォーカス福岡映画祭でこれまで
上映された映画の多くのフィルムが、日本語付きのまま、快適な温度と湿度に保たれたフィルムの保存庫に、います。ほぼ永久に、ほぼ新品のような状態で保管されています。その他にも独自に収集した日本映画や、世界各国のアジア映画が数多く保管されています。

 それでしょっちゅう特集上映をしています。珍しい映画が。涎の垂れそうな美味しそうな映画が。

 ホールを見渡すと、この私でも最年少から2人目。つまり観客層の年齢が高かったです。車椅子使用者用のスペースもあり、一人見にいらしていました。上映開始後約20分後に、ある老夫婦が右手から、入って来ました。入ってすぐのところに空席があるのにもかかわらず、ものすごくゆっくりゆっくり歩いて、真ん中の席に
進んでいきました。しかも、映画鑑賞中の方の前を堂々と横切って。その時、ああ、このご夫婦は、あの席を自分達の指定席にしているんだ、と気がついたのでした。

 この日私が鑑賞した“傷あと”ですが、新品かと思うほどのフィルムがきれいなのです。この映画は以前、国際交流基金主催の“タイ映画祭”で見て以来ですが、全く変わらないような気がしました。映画の冒頭が、歌をBGMにクレジットが流れるのですが、その後半部分に、ショッキングピンクのタイ文字でバーんと、

“タイらしさを忘れては、タイ人でいられようか”

といった意味のメッセージが飛び込んできて(BGMだったので、日本語字幕はなし)昔は気づかなかったメッセージだったけど、チャード監督らしいなあ、と感心しながら、最後まで見ました。

 この日は、個人的には追悼!と思って見に行ったのですが、とんでもない、逆になんかすごい背筋が延びるような気合を、このタイ映画から貰いました。監督には、ここに映画を見に来れば、また会えるような気がして、映画の持つ力、この保存力はすごいなあ、と感心。
 たくさんの年配の観客を見ながら、将来は私もここに指定席を見つけるのだろうか、と思いながら帰ったのでした。

日本・ベトナム映画人シンポジウム  東京レポート

2006-09-27 23:46:05 | Movie
 ベトナムづくしのいち日でした。2本のベトナム映画を拝見し、講演、パネルディスカッションを聴きました。

 レ・ホアン監督の基調講演によると、ベトナム映画は大きく分けると2種類、過去(主にベトナム戦争のこと、と私は理解しましたが)と、現代をテーマにした映画。私がこれまで見た数少ないベトナム映画も、全部戦争を扱っていた記憶があります。

 が、今日1本目に上映された同監督の「サイゴンからの旅人」は、今まで見たタイプのベトナム映画とは違いました。決して感傷を押し付けない、淡々としたロードムービー(サイゴン→ハノイ)で、引き込まれました。でも、セリフが少なくても、ベトナムの人々の生活を丁寧に描写し、日常に潜む悲しみが読み取れたのでした。

 ただなあ、ラストが美し過ぎる、とは個人的な感想。このラストについて、監督のコメントがありましたが、ネタバレは嫌なので、ここには書きません。

 監督は、すらっと背が高く、若々しい印象でした。「映画監督になったきっかけは?」という質問に、「人は好きになって結婚する場合と、結婚してから好きになる場合がありますね。(映画監督という職業に対して)私の場合は後者です。」と淡々とお答えになり、会場の笑いを誘っていました。

 ファム・ホアン・ナム撮影監督は、機材は充分ではない、とおっしゃっていましたが、この日上映された2本の映画の映像は、とても美しかったです。

 去年のタイ映画シンポジウムの際も、時間が足りないなあと思いましたが、今日もそう。ただし、ベトナム映画に対する興味がわく、きっかけになりました。 

シンポジウム関連記事

9月29日には、大阪で開催されます。

 日本側司会者、パネリストも変わるので、また違うお話が聞けると思います。 

タイ映画「親友」/プアン・サニット(現題)/Dear Dakanda(英題)

2006-09-26 23:47:54 | タイ映画
 アジアフォーカス福岡映画祭の感想で、また書きたいことは2回分ぐらいあります。ただ、タイ映画の新作情報も続々と入ってきているので、順番は前後するかもしれません。

 タイ映画「親友」も、映画祭で上映されたことですし、DVDのリピーターもかなり多いみたいなので、そろそろネタバレしてもいいかなあ、と思います。原作本との比較など、突っ込んだ話は、アーカイブの意味も込めて、以下のサイトに書き込みます。ファンの方、いらっしゃいませ。

 mixi コミュニティ   プワンサニット~秘密の想い~
 
 また、今回映画祭に来た女優さん達が、本当に魅力的だったので、その後の活動も追跡します。

 mixiコミュ タイの監督俳優女優タレント歌手

 写真は、タイの映画サイトから、壁紙をダウンロード。

 せっかくなので、女優さんの名前を覚えましょう。といっても本名覚えると忘れるので、まずは愛称にしておきましょう。

 ヌン(ダーカンダー役)

 エー(看護婦のヌイ役)
オーポー
 (ヌイの看護婦の先輩、テーン役)

 とりあえずこの3人の女優さんの名前を覚えておけば、タイ人のファンとも、映画の話で盛り上がれるかも!
 
 

福岡で映画を見ている実感

2006-09-23 13:26:26 | Weblog
まだアジアフォーカス福岡映画祭中です。毎日が飛ぶように過ぎてゆき、ついに明日は家に帰る日です。

昨日は、イラクの映画を見ましたが、平日の昼間でも、かなりの客入り。様々な年代の方がいました。

昨日、映画館に向かって、人込みの天神交差点を小走りに渡りながら、今さらながら、好きな街、福岡で、好きなアジア映画を見られる嬉しさが、ググッと込み上げてきました。

今から福岡市総合図書館の映像ホールで、チャード・ソンスィー監督の最高傑作 傷あと を鑑賞します。

明日は、タイ映画 親友 プアンサニット を、また見てから帰ります。西日本新聞のインタビュー記事にあったように、劇中に引用されている 星の王子様 の権利使用料の問題があり、日本での一般公開への可能性は、低いのです。

この映画、リピーターが多く、かくいう私もリピーターのひとりです。

日本一般公開のことは、まだあきらめてはいませんが、(どこかの配給会社様、買い付け検討をお願いいたします!)日本語字幕付きで見られる貴重なチャンスです。

上記以外にも、できるだけたくさんの映画を見て、帰ります。

数十年後、仕事をしなくてよくなったら、福岡でアジア映画ざんまいして、余生をおくりたいです。

カウントダウン!アジアフォーカスまであと2日!!

2006-09-13 01:11:12 | Movie
アジアフォーカス福岡映画祭まで、あと2日 

9月15日(金)~24日(日)

アジアフォーカス福岡映画祭2006公式サイト


 タイ映画『親友』からは、ゲストが6人登場!!!!!!

 映画をさらに楽しむ予習として、今いっしょうけんめい原作本を読んでいます。(写真と同じ表紙です。)といっても、絵葉書形式の本なので、イラストがかなり多いです。しかも、可愛いイラストなので、癒されています。

 mixi コミュニティ   プワンサニット~秘密の想い~

ドキュメンタリー・ドリーム・ショー 山形in東京2006

2006-09-11 23:25:00 | Movie
9.16(土) → 9.29(金) ポレポレ東中野
9.30(土) →10.20(金) アテネ・フランセ文化センター

 山形国際ドキュメンタリー映画祭は、2年に1度開催されている、ドキュメンタリー映画を世界中から山ほど集めて上映する映画祭です。最近は去年10月に開催されました。

 去年始めて参加して、この映画祭では、参加しているみんなが、監督だとか、観客とか、スタッフとか、評論家とか、そんな立場を飛び越えて、たくさん対話している姿が印象的でした。私も、中国の有名な監督に話しかけることが(出来るような雰囲気が、あの場にはあった!)できて、これは一生の思い出になると思います。

 山形で私はアジア千波万波(注:アジアの新進ドキュメンタリー作家を発掘、応援するプログラム)しか見ていないのですが、実際のプログラムはこの何倍もあり、とても全部は見られません。

 それが今度、東京で一挙に観ることが出来るチャンス到来です。

ドキュメンタリー・ドリーム・ショー 山形in東京2006  公式サイト

 ちなみに、山形のレポートは、More!Thai Film の この掲示板!に書いてあります。

 また、9月の下旬には、こんな本も出版されます。

[書籍]ドキュメンタリー映画は語る 発売!!!

チャード・ソンスイー監督回顧イベント

2006-09-08 01:31:23 | Weblog
〔タイ〕ナコンシータマラート国立博物館 2006年9月9日~2007年1月31日

 今年5月に永眠された タイ映画の巨匠、チャード・ソンスィー監督関連のイベントが、監督のご出身地、南タイのナコンシータマラートで開催されます。

 情報を詳しく書いたので、以下のサイトをご参照ください。

  More!Thai Film

フランスで大々的にタイ映画祭/Thai Film Fest.in France

2006-09-08 00:22:00 | タイ映画
パリ  9月20日~10月1日
リヨン 11月8日~11月13日


またまた、Thai Cinema Org.からの情報です。(情報掲載許可済み)フランスで大々的にタイ映画祭が開催されます。

 白黒の映画から、「風の前奏曲」(The Overture/日本DVD発売日 9月22日)など最近の話題作が一気に紹介されます。ラインナップは以下のフランスのサイトをご参照ください。

 フランス語が読めないので分からないのですが、おそらくタイ映画界からゲストも呼ばれるでしょう。フランス在住の方の生情報、鑑賞感想お待ちしています!!!!!!!

 フランスとタイ映画の関係と言えば、リュック・ベンソン監督率いるEuropa Courpという会社とタイのファイブスター(映画会社)の共同出資で、ウイシット・サーサナティアン監督(「快盗ブラックタイガー」「シチズン・ドッグ」)の新作のプロジェクトがあります。

関連記事

 あの時に、フランスでタイ映画祭やります、という誰かの発言を聞いたのが、今頃....。タイの映画人が行くなら、私も行きたいですよ。早く教えてくれれば!


パリでの開催概要(フランス語)

“Seasons Change” GTH 青春三部作

2006-09-07 23:06:12 | タイ映画
  7月にバンコクの映画館で、タイ映画のある予告編が流れていました。3本の映画の映像をちょっとずつ見せる手法です。映像の順番は、

2003年 「フェーンチャン」
2005年 「プアン・サニット」

そして 2006年 「Seasons Change」

 大きな画面に、それぞれの映画の音楽と映像を見た時、かつて前作2本を観た時の、甘酸っぱい気持ちが、ふわ~と甦ってきました。

 そして、 映画と同名のタイトルの名曲 「Seasons Change」
(タイ語タイトル:ルドゥーティーデークダーン)が流れてきた時、うるうるせずにはいられませんでした。正確には覚えていないけれど、この曲は約10年前に流行った曲で、今でもタイのFMラジオでかかります。メロディーも歌詞も美しい曲です。

 初恋をテーマにした「フェーンチャン」、学生時代の友情と恋をテーマにした「プアン・サニット」の次にくるこの新作、ああ!またタイ人の等身大の青春を描いているんだな、と容易に想像でき、映画製作会社の名前のGTHにちなんで、「GTH青春三部作」とすぐ頭に浮かんでしまいました。この予告編の作り方は、人々のノスタルジーをうまく刺激していて、上手いと思いました。

 そんな新作映画が、人々に愛されない訳はなく、ただ今タイでヒット中だそうです。あらすじなどは、サイアム系で行こうに詳しいです。

 在タイの日本人の間でも好評だそうなので、ブログのTBをお待ちしています。

 また、あの予告編を観た時、DVDで見るよりフィルムは、やっぱりいいなと再認識したのが、9月15日から開催のアジアフォーカス福岡映画祭で上映される「プアン・サニット」。フィルムでの再会を、とても楽しみにしています。予告編の音楽と映像の迫力が、改めて魅力的でした。

 mixiのコミュニティでもファンが急増中です。

 mixi プワンサニット~秘密の想い~

 Seasons Changeフォトギャラリー(Thai Cinema Org掲載)