5月21日(月)渋谷・アップリンク・ファクトリー での上映会に行ってきました。理由は、①監督のお人柄のファンだから、ぜひ会いに行きたかった ② まだ見ていない短編作品が上演されたから
そして③監督の長編新作 『世紀の光』の検閲問題のその後の展開を監督の口から、直接聞きたかったから です。あの夜は確かに有意義でした。でも....
上映後の監督のトーク概要
主催者が司会と英語通訳を兼ね、まずは監督の名前の表記について、『巷ではいろんな表記が出回っていますが、今後DVDを発売する際の権利関係で統一するために、アピチャッポン で統一しています。タイの方の名前は難しいですが、一応監督にお名前を発音してもらいましょうか。』
監督が自分の名前を発音してみた。(タイ語の発音は難しいので、よく聞き取れず、観客から笑いが)誰がどんな表記しようと、その人なりの解釈かもしれないが、後から考えたら、こんな事を監督に言わせるのは、失礼ではないかと思いました。
次に、司会の人が、自分が着用している“FREE THAI CINEMA MOVEMENT”という文字が入っているTシャツを指差し、『今日このTシャツをもらったのだけれど、タイでは監督の新作「世紀の光」の検閲問題が起こっています。監督から詳細を説明していただきましょう。』
監督の説明は、このブログの関連記事とほぼ同じ内容でした。監督は5分間ぐらいこの件について説明をしてくださったのですが、通訳は約1分半ぐらい。監督自身も???って顔をしていた、まさにLost in tlanslationの箇所を補足すると、
『タイの公開にあたり、削除を求められたのは、4シーンです。例えば僧侶がギターを弾くシーンがいけないと指摘されたのですが、実はタイでは僧侶のホラー映画もこれまで公開されています。(注:もちろんお咎めなし)映画を切られたくなければ、賄賂を払うようにと要求されました。しかし、「世紀の光」は、海外の出資も入っているので、この要求は受け入れませんでした。そこで私は、タイ国内での上映を断念するので、委員会にフィルムの返却を求めました。ところが、映画を切ってからではないと返却できないと言われました。そこで、“FREE THAI CINEMA MOVEMENT”の活動が始められ、セミナーが開催されました。タイでは映画法令がかなり古く、これを改定する事も(国への)要求に入っています。今回の一連の動きは、もはや「世紀の光」だけでなく、タイ映画全体の問題になりました。私が帰国したら、また新たにセミナーが開催される予定です。』
次に、今回上映した7本の作品について、どんなシチュエーションで制作したのかを、主催者が手早く監督に質問し、監督が短く答えていました。上映プログラムのラインナップには書いてありませんでしたが、実は1本追加されていて、「LUMINOUS PEOPLE 」という、約15分間の短編映画は、今年のカンヌ国際映画祭で、監督週間部門に招待された作品とのこと。監督は、「16ミリ、36ミリ、DV作品と、よくもこれだけ違うフォーマットの作品を集めましたね。」と、感心した様子。しかし、今回の短編映画の上映形式は全てDVDだそうです。
観客との質疑応答(抜粋)
観客「長編と短編を撮る時の、違いは?」
監督「長編は、時間をかけて構想を練りますが、短編は、まるでスケッチを描くような感覚で、いろいろ試しながら撮っています。」
観客「今回上映された作品は、かなり前に撮られた作品も入っていますが、昔の自分の作品を振返って、どんな気持ちですか?」
監督「自分が映画製作を始めた頃に、例えば編集とかいろいろ試して、自分の映画製作のシステムを確立していた過程が見られ、懐かしく思いました。」
(注)ある観客の感想を拝借すると、「監督が映像言語を取得していく過程を、見ることが出来て、面白かった。」、だそうです。
観客「『世紀の光』ですが、“FREE THAI CINEMA MOVEMENT”の運動の結果、フィルムは無傷で返却してもらえそうですか?また、カンヌ国際映画祭に招待されていらっしゃいますが、今、カンヌに行かなくて大丈夫ですか?」
監督「まだ返却されていません。また、国内で上映が禁止された場合、海外で上映する際には、税金を要求すると言ってますが、私は気にしていません。それから、カンヌよりは、ここ(日本)に居た方がいいです。」
(注)監督はカンヌに行くより、日本の上映会に来ることを優先されたようです。
さて、個人的にはこの後はあんまり聞いていませんでした。なぜならば、通訳の全体的なLostぶりに、???????だったから。特に、検閲の話で、「賄賂」や、「税金」という内容を意図的に落としている気がして、終わった後に司会者に意図を質問しましたが、曖昧な返事でした。検閲の話を支援しているのに、監督の話を自ら検閲というか、自粛してしまうのは矛盾していると思ったのです。
「世紀の光」の問題について語る時、監督は実にサバサバしていたし、みんな監督の話を聞きたくて集まって来たのだから、そのままの内容を通訳して構わないのでは?できれば、監督の作品をきちんと見ている英語の通訳者をきちんと用意すれば、今回のトークショーはもっと充実したものになったと思います。こんなに通訳内容を省いていたら、もしも映画祭だったら、即クレームです。2年前の、国際交流基金の特集上映と、トークショーが、素晴らしく充実した内容だった事を思わず思い出してしまいました。
今回アップリンクの1階席は、平日だというのにほぼ満席。(50席ぐらい?)また、質疑応答の際に、監督と直接話したいのか、通訳を介さずに、英語で質問をした人が何人かいました。ほんとうに、楽しみにしていた人が多いと思います。今回のトークショー。なのに...
ただ、監督が本国で大変な目に合っている時期に、リスクを背負って『世紀の光』を上映したり、ファンと監督の交流の場を設けてもらえた事は、素晴らしいと思います。
日本では、まだ特集上映がありますので、これを機会にぜひ見に行かれては、いかがでしょうか?
“電影新潮/ASIAN WAVE 00‘s
せんだいメディアテーク月例上映会 6月23日/24日
最後に、高知、東京と大阪で監督のトークを聞かれて、『世紀の光』問題について賛同された方は、よろしければ以下の署名サイトに一票をお願いします。
署名欄のサイト
署名者一覧
5月29日(火)に、テクノロジープラジョムクラーオトンブリー大学でセミナーが開催されます。詳細は
世紀の光 公式ブログ
タイ語ですが、翻訳は土曜の夜までに掲載します。
そして③監督の長編新作 『世紀の光』の検閲問題のその後の展開を監督の口から、直接聞きたかったから です。あの夜は確かに有意義でした。でも....
上映後の監督のトーク概要
主催者が司会と英語通訳を兼ね、まずは監督の名前の表記について、『巷ではいろんな表記が出回っていますが、今後DVDを発売する際の権利関係で統一するために、アピチャッポン で統一しています。タイの方の名前は難しいですが、一応監督にお名前を発音してもらいましょうか。』
監督が自分の名前を発音してみた。(タイ語の発音は難しいので、よく聞き取れず、観客から笑いが)誰がどんな表記しようと、その人なりの解釈かもしれないが、後から考えたら、こんな事を監督に言わせるのは、失礼ではないかと思いました。
次に、司会の人が、自分が着用している“FREE THAI CINEMA MOVEMENT”という文字が入っているTシャツを指差し、『今日このTシャツをもらったのだけれど、タイでは監督の新作「世紀の光」の検閲問題が起こっています。監督から詳細を説明していただきましょう。』
監督の説明は、このブログの関連記事とほぼ同じ内容でした。監督は5分間ぐらいこの件について説明をしてくださったのですが、通訳は約1分半ぐらい。監督自身も???って顔をしていた、まさにLost in tlanslationの箇所を補足すると、
『タイの公開にあたり、削除を求められたのは、4シーンです。例えば僧侶がギターを弾くシーンがいけないと指摘されたのですが、実はタイでは僧侶のホラー映画もこれまで公開されています。(注:もちろんお咎めなし)映画を切られたくなければ、賄賂を払うようにと要求されました。しかし、「世紀の光」は、海外の出資も入っているので、この要求は受け入れませんでした。そこで私は、タイ国内での上映を断念するので、委員会にフィルムの返却を求めました。ところが、映画を切ってからではないと返却できないと言われました。そこで、“FREE THAI CINEMA MOVEMENT”の活動が始められ、セミナーが開催されました。タイでは映画法令がかなり古く、これを改定する事も(国への)要求に入っています。今回の一連の動きは、もはや「世紀の光」だけでなく、タイ映画全体の問題になりました。私が帰国したら、また新たにセミナーが開催される予定です。』
次に、今回上映した7本の作品について、どんなシチュエーションで制作したのかを、主催者が手早く監督に質問し、監督が短く答えていました。上映プログラムのラインナップには書いてありませんでしたが、実は1本追加されていて、「LUMINOUS PEOPLE 」という、約15分間の短編映画は、今年のカンヌ国際映画祭で、監督週間部門に招待された作品とのこと。監督は、「16ミリ、36ミリ、DV作品と、よくもこれだけ違うフォーマットの作品を集めましたね。」と、感心した様子。しかし、今回の短編映画の上映形式は全てDVDだそうです。
観客との質疑応答(抜粋)
観客「長編と短編を撮る時の、違いは?」
監督「長編は、時間をかけて構想を練りますが、短編は、まるでスケッチを描くような感覚で、いろいろ試しながら撮っています。」
観客「今回上映された作品は、かなり前に撮られた作品も入っていますが、昔の自分の作品を振返って、どんな気持ちですか?」
監督「自分が映画製作を始めた頃に、例えば編集とかいろいろ試して、自分の映画製作のシステムを確立していた過程が見られ、懐かしく思いました。」
(注)ある観客の感想を拝借すると、「監督が映像言語を取得していく過程を、見ることが出来て、面白かった。」、だそうです。
観客「『世紀の光』ですが、“FREE THAI CINEMA MOVEMENT”の運動の結果、フィルムは無傷で返却してもらえそうですか?また、カンヌ国際映画祭に招待されていらっしゃいますが、今、カンヌに行かなくて大丈夫ですか?」
監督「まだ返却されていません。また、国内で上映が禁止された場合、海外で上映する際には、税金を要求すると言ってますが、私は気にしていません。それから、カンヌよりは、ここ(日本)に居た方がいいです。」
(注)監督はカンヌに行くより、日本の上映会に来ることを優先されたようです。
さて、個人的にはこの後はあんまり聞いていませんでした。なぜならば、通訳の全体的なLostぶりに、???????だったから。特に、検閲の話で、「賄賂」や、「税金」という内容を意図的に落としている気がして、終わった後に司会者に意図を質問しましたが、曖昧な返事でした。検閲の話を支援しているのに、監督の話を自ら検閲というか、自粛してしまうのは矛盾していると思ったのです。
「世紀の光」の問題について語る時、監督は実にサバサバしていたし、みんな監督の話を聞きたくて集まって来たのだから、そのままの内容を通訳して構わないのでは?できれば、監督の作品をきちんと見ている英語の通訳者をきちんと用意すれば、今回のトークショーはもっと充実したものになったと思います。こんなに通訳内容を省いていたら、もしも映画祭だったら、即クレームです。2年前の、国際交流基金の特集上映と、トークショーが、素晴らしく充実した内容だった事を思わず思い出してしまいました。
今回アップリンクの1階席は、平日だというのにほぼ満席。(50席ぐらい?)また、質疑応答の際に、監督と直接話したいのか、通訳を介さずに、英語で質問をした人が何人かいました。ほんとうに、楽しみにしていた人が多いと思います。今回のトークショー。なのに...
ただ、監督が本国で大変な目に合っている時期に、リスクを背負って『世紀の光』を上映したり、ファンと監督の交流の場を設けてもらえた事は、素晴らしいと思います。
日本では、まだ特集上映がありますので、これを機会にぜひ見に行かれては、いかがでしょうか?
“電影新潮/ASIAN WAVE 00‘s
せんだいメディアテーク月例上映会 6月23日/24日
最後に、高知、東京と大阪で監督のトークを聞かれて、『世紀の光』問題について賛同された方は、よろしければ以下の署名サイトに一票をお願いします。
署名欄のサイト
署名者一覧
5月29日(火)に、テクノロジープラジョムクラーオトンブリー大学でセミナーが開催されます。詳細は
世紀の光 公式ブログ
タイ語ですが、翻訳は土曜の夜までに掲載します。
5月21日のトークショーの質疑応答で聞いてきたところ、フィルムは、まだ返却されていないとのこと。昨夜監督が話されていた事情も、ほぼ以下と同じ内容なので、再度トップの記事に掲載します。(5月22日追記)
将来、自由で創造的なタイ映画を見るためにも
まだまだ署名が必要なので、この記事は定期的にトップに出します。
『世紀の光』Officialサイト (監督のプロダクション、Kick the Machineのサイトより)
監督からのメッセージも出てました。
Thai Film Foundationが出した請願書です。
To: The National Legislative Assembly and The Thai Government
国立立法議会 & タイ政府御中
(タイ→日翻訳/ Tlanslation Thai to Japanese)
“原題:セーンサタワット”(SYNDROMES AND A CENTURY/世紀の光)が、映倫管理委員会(略して映倫)の審査に通らなかった件に関して、映倫側は、4シーンの削除を条件に、(タイ国内での)上映を認めるとしている。しかし、Apichatpong Weerasethakul監督は、前述の4シーンの削除を認めないという意思表示を明確にするため、タイ国内での商業上映を行わないという結論を出した。その点について、監督は次のようなメッセージを寄せている。
“ひとりの映画人として、私は自分の映画を、息子あるいは娘のように思っている。私が彼らをいったん生み出したら、そこから先の命は、彼らのものである。私は、世間の人々が私の子供を愛してくれるか、あるいは嫌うか、といったことは気にしない。ただし、私は彼らを深い愛情と、産みの苦しみを経て、創造しているのである。だから我が子が、いかなる理由であれ、自分の国に居ることが出来ないのならば、自由にしてやって欲しい。ありのままの彼らを温かく迎えてくれる場所は、他にもあるからだ。システムへの恐れや、欲望のために、彼らを不具にしていい理由など、あってはならない。そうでなければ、芸術作品を産み出し続ける理由など存在しないのではないか。”
Apichatpongの代理人は、映倫に対し、フィルムを返却するように要請した。その際に、映倫の委員会に対し書面で、タイ国内での商業上映を行わないため、再審査の要請を取り下げる旨を伝えている。しかし、映倫の担当者は、フィルムを元の状態では返却しない可能性が出てきた。担当者は、該当する4シーンの削除が終了してから返却すると回答しているのだ。(この経緯に関しては、http://a-century.exteen.comを参照)
今回の『世紀の光』の事件に関して、各種媒体、特にインターネット上で、様々な意見が表明されている。その殆どが、タイ国映倫の審査システムの横暴さに、全く同意できないという意見である。それは、国民が情報を知る権利と、意見を自由に表明する権利の自由を政府が制限しているシステムと受け止められている。このシステムは、君主制だった仏暦2473年(西暦1930年)に映画法令が施行されて以来今日まで使用されている。
タイ国で、映画の自由を制限するこのようなシステムが、今日まで変わらずに続いているのは、不思議である。過去30年間においても、映画業界から、民主主義の現状に合わなくなってきた前述の法令の改訂を求める動きが、何度も何度もあったにもかかわらず、成功していないのだ。
今回の『世紀の光』の事件が起こった仏暦2550年(西暦2007年)は、国家がちょうど新憲法草案を制定する時期にあたる。そこでこれを機会に、私たちタイ国民は、タイの映画人、世界中の映画ファン達と力を合わせ、映画を通じて情報を得たり、自由に意見を表明するという、人間の基本的人権の回復を要求しようではないか。この媒体(映画)だけが、唯一民主主義に即していず、いまだに国家権力という鎖にきつく縛られているのだ。
今回署名を行う私達は、民主主義制度の下で、基本的人権と尊厳を持った者として、憲法草案委員会に対し、権力の鎖からずいぶん以前に解き放たれている他の媒体、例えば、新聞、ラジオ、テレビなどの他の媒体と同じく、映画も国家権力から権利を制限されることなく自由を持つ媒体として制定されるように、要求しようではないか。
それは、映画法令、(ビデオ?)テープとTV素材法令を、時代遅れで役立たずのものにし、また、民主主義社会の中で、基本的な権利をベースに、観客の分類を行うような新しい映画の審査システムの構築をするためでもあるのだ。
ここまでが、タイ語→日本語訳です。英語文と見比べると、若干温度差があります。特に最後の段落は、英語を見た方が、意味が分かり易いです。
英語はざっとしか訳せませんが、こんな意味ではないでしょうか?
今回の『世紀の光』に限らず、もっと長い目でセンサーの問題を考えるべき。フィルムを切るのではなく、R指定にすれば、タイで上映される全ての映画(タイ映画に限らないと思います)が、もっと自由に見ることができるだろう。
つまり、タイ語版の【観客の分類を行うような】が、R指定を指しているのだと思われます。タイには、R指定は導入されていないのです。
そんなこんなで、拙い翻訳かもしれませんが、趣旨に賛同していただけたら、署名もご検討くださると嬉しいです。将来面白いタイ映画が見たいから、ぜひ映画の自由を勝ち取っていただきたいと、願っています。
これまでの関連記事(順番に)最初の2本の記事で、概要は掴めるようになっています。
これは、『世紀の光』だけでなく、タイ映画全体の問題になっています。
アピチャッポン・ウィーラーセタクン監督新作 『世紀の光』 タイで映倫審査にひっかかる
続報 『世紀の光』タイ公開中止。映倫の4箇所削除の要求に屈せず
続報 『世紀の光』SYNDROMES AND A CENTURY タイ公開中止 その後の状況 ①
続報 『世紀の光』SYNDROMES AND A CENTURY タイ公開中止 その後の状況 ②
タイ映画『世紀の光』センサーシップに関する請願書 (署名のお願い)
将来、自由で創造的なタイ映画を見るためにも
まだまだ署名が必要なので、この記事は定期的にトップに出します。
『世紀の光』Officialサイト (監督のプロダクション、Kick the Machineのサイトより)
監督からのメッセージも出てました。
Thai Film Foundationが出した請願書です。
To: The National Legislative Assembly and The Thai Government
国立立法議会 & タイ政府御中
(タイ→日翻訳/ Tlanslation Thai to Japanese)
“原題:セーンサタワット”(SYNDROMES AND A CENTURY/世紀の光)が、映倫管理委員会(略して映倫)の審査に通らなかった件に関して、映倫側は、4シーンの削除を条件に、(タイ国内での)上映を認めるとしている。しかし、Apichatpong Weerasethakul監督は、前述の4シーンの削除を認めないという意思表示を明確にするため、タイ国内での商業上映を行わないという結論を出した。その点について、監督は次のようなメッセージを寄せている。
“ひとりの映画人として、私は自分の映画を、息子あるいは娘のように思っている。私が彼らをいったん生み出したら、そこから先の命は、彼らのものである。私は、世間の人々が私の子供を愛してくれるか、あるいは嫌うか、といったことは気にしない。ただし、私は彼らを深い愛情と、産みの苦しみを経て、創造しているのである。だから我が子が、いかなる理由であれ、自分の国に居ることが出来ないのならば、自由にしてやって欲しい。ありのままの彼らを温かく迎えてくれる場所は、他にもあるからだ。システムへの恐れや、欲望のために、彼らを不具にしていい理由など、あってはならない。そうでなければ、芸術作品を産み出し続ける理由など存在しないのではないか。”
Apichatpongの代理人は、映倫に対し、フィルムを返却するように要請した。その際に、映倫の委員会に対し書面で、タイ国内での商業上映を行わないため、再審査の要請を取り下げる旨を伝えている。しかし、映倫の担当者は、フィルムを元の状態では返却しない可能性が出てきた。担当者は、該当する4シーンの削除が終了してから返却すると回答しているのだ。(この経緯に関しては、http://a-century.exteen.comを参照)
今回の『世紀の光』の事件に関して、各種媒体、特にインターネット上で、様々な意見が表明されている。その殆どが、タイ国映倫の審査システムの横暴さに、全く同意できないという意見である。それは、国民が情報を知る権利と、意見を自由に表明する権利の自由を政府が制限しているシステムと受け止められている。このシステムは、君主制だった仏暦2473年(西暦1930年)に映画法令が施行されて以来今日まで使用されている。
タイ国で、映画の自由を制限するこのようなシステムが、今日まで変わらずに続いているのは、不思議である。過去30年間においても、映画業界から、民主主義の現状に合わなくなってきた前述の法令の改訂を求める動きが、何度も何度もあったにもかかわらず、成功していないのだ。
今回の『世紀の光』の事件が起こった仏暦2550年(西暦2007年)は、国家がちょうど新憲法草案を制定する時期にあたる。そこでこれを機会に、私たちタイ国民は、タイの映画人、世界中の映画ファン達と力を合わせ、映画を通じて情報を得たり、自由に意見を表明するという、人間の基本的人権の回復を要求しようではないか。この媒体(映画)だけが、唯一民主主義に即していず、いまだに国家権力という鎖にきつく縛られているのだ。
今回署名を行う私達は、民主主義制度の下で、基本的人権と尊厳を持った者として、憲法草案委員会に対し、権力の鎖からずいぶん以前に解き放たれている他の媒体、例えば、新聞、ラジオ、テレビなどの他の媒体と同じく、映画も国家権力から権利を制限されることなく自由を持つ媒体として制定されるように、要求しようではないか。
それは、映画法令、(ビデオ?)テープとTV素材法令を、時代遅れで役立たずのものにし、また、民主主義社会の中で、基本的な権利をベースに、観客の分類を行うような新しい映画の審査システムの構築をするためでもあるのだ。
ここまでが、タイ語→日本語訳です。英語文と見比べると、若干温度差があります。特に最後の段落は、英語を見た方が、意味が分かり易いです。
英語はざっとしか訳せませんが、こんな意味ではないでしょうか?
今回の『世紀の光』に限らず、もっと長い目でセンサーの問題を考えるべき。フィルムを切るのではなく、R指定にすれば、タイで上映される全ての映画(タイ映画に限らないと思います)が、もっと自由に見ることができるだろう。
つまり、タイ語版の【観客の分類を行うような】が、R指定を指しているのだと思われます。タイには、R指定は導入されていないのです。
そんなこんなで、拙い翻訳かもしれませんが、趣旨に賛同していただけたら、署名もご検討くださると嬉しいです。将来面白いタイ映画が見たいから、ぜひ映画の自由を勝ち取っていただきたいと、願っています。
これまでの関連記事(順番に)最初の2本の記事で、概要は掴めるようになっています。
これは、『世紀の光』だけでなく、タイ映画全体の問題になっています。
アピチャッポン・ウィーラーセタクン監督新作 『世紀の光』 タイで映倫審査にひっかかる
続報 『世紀の光』タイ公開中止。映倫の4箇所削除の要求に屈せず
続報 『世紀の光』SYNDROMES AND A CENTURY タイ公開中止 その後の状況 ①
続報 『世紀の光』SYNDROMES AND A CENTURY タイ公開中止 その後の状況 ②
タイ映画『世紀の光』センサーシップに関する請願書 (署名のお願い)
SYNDROMES AND A CENTURY
4月11日~12日にかけて、当ブログで、Thai Cinema org.からの情報を元にお知らせしてきた、タイの映倫問題です。Apichatpong Weerasethakul監督が、タイ国内で上映しない、とタイの映倫側に通達したにも関わらず、タイの映倫は、4箇所フィルムを切ってからしか、監督の元にフィルムを返さないという見解を出しています。ただし、現在タイ正月であるため、正式回答は正月あけになります。
それに対して、Thai Film Foundation(公式サイト)が中心となり、web上で、撤回の請願書が出されました。現在世界中の映画ファンや、映画制作者たちが、署名を始めています。
Thai Film Foundation(タイ映画財団)は、NGO団体で、フィルム・アーカイブを持ち、タイ映画の保存に努めたり、また国外へのタイ映画の紹介、国内で短編映画祭を開催し、映画人育成に努めている由緒正しい団体です。
私も、担当者に確認しましたが、確かにこの署名の文章を書いているとのこと。ご賛同いただける場合は、みなさまも署名をよろしくお願いいたします。
To: The National Legislative Assembly and The Thai Government
署名欄
Email Address Privacy Option: (choose one) で、Private(プライベート)を選べば、あなたのE-Mailアドレスは、表示されません。
署名者一覧
4月11日~12日にかけて、当ブログで、Thai Cinema org.からの情報を元にお知らせしてきた、タイの映倫問題です。Apichatpong Weerasethakul監督が、タイ国内で上映しない、とタイの映倫側に通達したにも関わらず、タイの映倫は、4箇所フィルムを切ってからしか、監督の元にフィルムを返さないという見解を出しています。ただし、現在タイ正月であるため、正式回答は正月あけになります。
それに対して、Thai Film Foundation(公式サイト)が中心となり、web上で、撤回の請願書が出されました。現在世界中の映画ファンや、映画制作者たちが、署名を始めています。
Thai Film Foundation(タイ映画財団)は、NGO団体で、フィルム・アーカイブを持ち、タイ映画の保存に努めたり、また国外へのタイ映画の紹介、国内で短編映画祭を開催し、映画人育成に努めている由緒正しい団体です。
私も、担当者に確認しましたが、確かにこの署名の文章を書いているとのこと。ご賛同いただける場合は、みなさまも署名をよろしくお願いいたします。
To: The National Legislative Assembly and The Thai Government
署名欄
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署名者一覧
4月22日(日)の午後か、23日(月)の予定
監督の製作プロダクションの『世紀の光』ブログ(http://a-century.exteen.com/)4月14日付けの記事によると、各方面から人を集めて、今回の件についてシンポジウムを行うとのことです。
また、「世紀の光」を上映します。とありましたが、上映はしないことになりました。
ブログに更新された内容によると、監督の意向により、上映しないとのこと。詳細は、ブログの英語版をご覧下さい。(追記:4月20日 9時40分。場所、日時はこの時点でも未定です。)
外国人もたくさん参加すると思われるので、英語通訳はついているのではないかと、私は思います。(未確認ですみません。)
日時、場所などは4月20日に発表するそうですが、まだブログに情報は掲載されていません。
公式ブログには、英語でも告知されるので、気をつけて見ていただくか、または私も見つけ次第、告知します。
監督の製作プロダクションの『世紀の光』ブログ(http://a-century.exteen.com/)4月14日付けの記事によると、各方面から人を集めて、今回の件についてシンポジウムを行うとのことです。
また、「世紀の光」を上映します。とありましたが、上映はしないことになりました。
ブログに更新された内容によると、監督の意向により、上映しないとのこと。詳細は、ブログの英語版をご覧下さい。(追記:4月20日 9時40分。場所、日時はこの時点でも未定です。)
外国人もたくさん参加すると思われるので、英語通訳はついているのではないかと、私は思います。(未確認ですみません。)
日時、場所などは4月20日に発表するそうですが、まだブログに情報は掲載されていません。
公式ブログには、英語でも告知されるので、気をつけて見ていただくか、または私も見つけ次第、告知します。
映倫は、4箇所削除してから、フィルムを返却する意向。正式な回答は、ソンクラーン(旧正月)明けに
4月12日、午前6時半、午後4時にThai Cinema org. に掲載された情報によると、タイでの上映中止に関わらず、映倫は4箇所を削除してからフィルムを映画会社に返却する意向。ただし、明日から旧正月に入るため、正式回答は旧正月明けになるとのことです。
バンコクポストの記事も掲載されていました。
Thai director cancels film's local release KONG RITHDEE / 11 April 2007 - Bangkok Post
(Thanks for Thai Cinema org. for the infomation)
【ここ数年タイで騒がれた映倫騒動と言えば....】
表現の自由はどうなる?タイ映倫
2001年にタイで公開されたジャンダラ(Jan Dara)(日本公開は2003年)です。タイ公開時は、映倫の審査により、約7,8箇所削除され、公開されました。元々、昔の発禁小説を映画化したこともあり、削除されたシーンは、かなり刺激的。でも、ボカシを入れられたら訳が分からないし、伏字みたいないやらしさがあったと思います。
しかし「ジャンダラ」(Jan Dara)は、濃密な人間ドラマであり、単に欲情を刺激するような内容ではありません。ところが、「ジャンダラ」(Jandara)以降のタイ映画の審査は、その後かなりユルくなってしまいました。過激なシーンもどんどんパスしています。
ノンスィー監督(Director Mr Nonzee)は、インタビューで「まるで自分の子供の手足を切られたような気持ち」と、無念さを語っていました。私は、タイにR指定があり、それが守られれれば、問題ないのでは?と思いましたが、R指定は確か無い筈。
今回「世紀の光」(SYNDROMES AND A CENTURY)タイ国内での上映をしないという決断をしたにも関わらず、4箇所削除をして、映画会社に返すという映倫の結論は、産んだばかりの赤ちゃんの手足を切り、母親に返すような行為といえます。実際、監督も英文メッセージで自分の作品を、自分の子供に例えています。
中立な立場でレポートしようと思ったのは、タイでは映倫にどのような内容がひっかかるのかと、その社会現象を伝えたいと思ったからです。でも、こんな結果では、レポートだけするのは、無理になってきた。
タイ国内で、上映しないのに4箇所削除して返すという理不尽な決断は、理解できないし、すごく怒っています。
今後もこのニュースを追い続けると共に、この恥ずかしいニュースを、日本語で伝え、広めていきたいと思います。Thai Cinema org.では、英文もリリースし、世界に向けて、この情報を発信していく様子。
世界の映画祭で上映できて、タイ国内で上映できないのは、嘆かわしい
そんな内容が、タイの掲示板に多数投稿されています。
この記事をブログ(Your Blog)等で紹介していただける方は、このブログをリンクしていただけると幸いです。
4月12日、午前6時半、午後4時にThai Cinema org. に掲載された情報によると、タイでの上映中止に関わらず、映倫は4箇所を削除してからフィルムを映画会社に返却する意向。ただし、明日から旧正月に入るため、正式回答は旧正月明けになるとのことです。
バンコクポストの記事も掲載されていました。
Thai director cancels film's local release KONG RITHDEE / 11 April 2007 - Bangkok Post
(Thanks for Thai Cinema org. for the infomation)
【ここ数年タイで騒がれた映倫騒動と言えば....】
表現の自由はどうなる?タイ映倫
2001年にタイで公開されたジャンダラ(Jan Dara)(日本公開は2003年)です。タイ公開時は、映倫の審査により、約7,8箇所削除され、公開されました。元々、昔の発禁小説を映画化したこともあり、削除されたシーンは、かなり刺激的。でも、ボカシを入れられたら訳が分からないし、伏字みたいないやらしさがあったと思います。
しかし「ジャンダラ」(Jan Dara)は、濃密な人間ドラマであり、単に欲情を刺激するような内容ではありません。ところが、「ジャンダラ」(Jandara)以降のタイ映画の審査は、その後かなりユルくなってしまいました。過激なシーンもどんどんパスしています。
ノンスィー監督(Director Mr Nonzee)は、インタビューで「まるで自分の子供の手足を切られたような気持ち」と、無念さを語っていました。私は、タイにR指定があり、それが守られれれば、問題ないのでは?と思いましたが、R指定は確か無い筈。
今回「世紀の光」(SYNDROMES AND A CENTURY)タイ国内での上映をしないという決断をしたにも関わらず、4箇所削除をして、映画会社に返すという映倫の結論は、産んだばかりの赤ちゃんの手足を切り、母親に返すような行為といえます。実際、監督も英文メッセージで自分の作品を、自分の子供に例えています。
中立な立場でレポートしようと思ったのは、タイでは映倫にどのような内容がひっかかるのかと、その社会現象を伝えたいと思ったからです。でも、こんな結果では、レポートだけするのは、無理になってきた。
タイ国内で、上映しないのに4箇所削除して返すという理不尽な決断は、理解できないし、すごく怒っています。
今後もこのニュースを追い続けると共に、この恥ずかしいニュースを、日本語で伝え、広めていきたいと思います。Thai Cinema org.では、英文もリリースし、世界に向けて、この情報を発信していく様子。
世界の映画祭で上映できて、タイ国内で上映できないのは、嘆かわしい
そんな内容が、タイの掲示板に多数投稿されています。
この記事をブログ(Your Blog)等で紹介していただける方は、このブログをリンクしていただけると幸いです。
Thai Cinema org.の情報によると、 『世紀の光』製作陣は、映倫に第3回目の再審査の請求を取りやめ、完全にタイでの上映を中止。ちなみに修正4箇所目は、男性医師が恋人に、ロッカー室でキスするシーン。
ところが、4月11日16時現在、映倫はフィルムを映画プロダクションに返却しようとせず、フィルムを切る、と主張しているとのこと。この問題については、明日Thai Cinema org.でも追跡していくとのことです。
タイでは観ることができませんが、月末に開催されるシンガポール国際映画祭で下記のスケジュールで観る事が出来るそうです。
26 April 2007 21:15.00 Lido Classic
27 April 2007 21:15.00 Lido 3
座席予約サイト
また、タイの2チャンネルとも例えられる パンティップ総合掲示板サイトでもこの問題に関しての投稿が157(日本時間23時36分時点)に達しています。
ここまで追いかけたので、当ブログでもこの問題をThai Cinema orgの情報を元に掲載していきます。白田は出来れば中立の立場でありたいので、なるべく事実のみを伝えていきたいと思います。
(Thanks for Thai Cinema org. for the infomation)
ところが、4月11日16時現在、映倫はフィルムを映画プロダクションに返却しようとせず、フィルムを切る、と主張しているとのこと。この問題については、明日Thai Cinema org.でも追跡していくとのことです。
タイでは観ることができませんが、月末に開催されるシンガポール国際映画祭で下記のスケジュールで観る事が出来るそうです。
26 April 2007 21:15.00 Lido Classic
27 April 2007 21:15.00 Lido 3
座席予約サイト
また、タイの2チャンネルとも例えられる パンティップ総合掲示板サイトでもこの問題に関しての投稿が157(日本時間23時36分時点)に達しています。
ここまで追いかけたので、当ブログでもこの問題をThai Cinema orgの情報を元に掲載していきます。白田は出来れば中立の立場でありたいので、なるべく事実のみを伝えていきたいと思います。
(Thanks for Thai Cinema org. for the infomation)