泰式超アクション映画『マッハ!』『トムヤムクン!』の辣腕女性プロデューサーが自らの監督デビュー作に選んだのは、180度違う世界
『ミージュー』(2007年タイ/79分)
【監督】スカンヤー・ウォンサターバット
【出演】フアナ・ヒロヤマ、ピムパン・チャラヨンクップ
上映日時:
今日!
9/21(金)16:00~エルガーラホール
9/23(日)19:00~エルガーラホール
アジアフォーカス福岡国際映画祭2007公式サイト
今から映画を見に行くので、また追記します。
追記:9月23日
物語は、タイ北部チェンラーイの山岳民族の村に、タイ人のNGOが入って来て、コミュニティテレビを設立。番組の内容は、村人のためになる内容。その村の少女、ミージューは、タイ、ラオス、ミャンマーの国境地帯であるゴールデントライアングルで、民族衣装を着て観光客と写真を撮るアルバイトをしている。ある日、村に帰省したミージューは、このコミュニティTVに自分も出たくて、いたずらをする。
映画の前半は、のどやかな音楽と共に、のんびりとしたアカ族の村の生活を描いている印象を受けるのですが、後半からはまた違った印象に。やっぱり映画は最後まで見ないと分かりません。
この映画では、『写真』がキーポイントになるのですが、もしも邦題をつけるのならば、
アカ族 村の写真集とつけたくなりました。これは、日本映画
村の写真集を思い出したから。写真が人の絆のポイントになるのは、同じです。
詳しいストーリーは書きませんが、後半のクライマックスのシーンで、少女が村人達に語りかけるシーンは、久しぶりに心の琴線に響いたのです。単に好奇心いっぱいでTVに出て目立ちたいと騒動を起こしていた少女が、自我に目覚めた瞬間に立ち会った気がして、この優しいシーンを見ていたら、涙が止まらなくなって困りました。
監督によると、この話は実話ではあるけれども、自分が映画が好きなので、これはドキュメンタリーではなく、あくまで劇映画だそうです。『マッハ!』などのアクション映画のプロデューサーを務めてはいるものの、人が痛い思いをするシーンに毎日立ち会うのは、心が痛かったそう。そして、監督の立場だったら、自分の好きな題材しか撮れない、とのことでした。白田が追加説明をすると、このプロデューサーは、今タイで1,2を争うほど、タイ映画界のど真ん中で活躍する辣腕女性プロデューサーです。
また、タイで3,4年公開が延期になっている理由として、『タイ人は、有名な俳優が出ていないと興味を持たないし、アカ族の話は特に興味もそそられない。だからタイの配給会社は、セールスポイントを見つけられず、公開を延期してきた。しかし今回アジアフォーカスに参加したことで、来年の5月にタイでの公開予定です。』とのことです。
主演のミージュー役、フアナ・ヒロヤマさんは撮影当事と比べると、子供から、スラリとした年頃のお嬢さんに変身していました。彼女の魅力は、監督によると、
『可愛らしい顔立ちはもちろん、いたずらで、でも好奇心いっぱいの瞳。』
そう、どんなに大きくなっていても、その魅力的な瞳は、健在でした。将来の夢は、外交官ですが、オファーがあれば女優業も引き続きチャレンジしたいとのこと。
この辣腕プロデューサーが撮った、純情な映画。もしご覧になった方にタイ人のご友人がいたら、ぜひこの映画のことを話して、もっと、もっとタイでの公開を早めたいし、2度と上映延期して欲しくないと思います。