day by day

癒さぬ傷口が 栄光への入口

吉川晃司と私(2000)~HOT ROD MAN RETURNS~

2019-08-09 | キッカワ。
ミレニアム。
これまで19XX年だったものが20XX年となるのはとてつもない変化に思えて、意外なほどあっさりとやってきた。
不安視されていた2000年問題も世界中の技術者が頑張ってくれた賜物ではあるのだろうが日常に支障をきたすほどのトラブルを起こしたりはしなかった。
思えば当然なのだが超えてみればそれは昨日と同じような日常が同じように少しずつ変化しながら流れるだけだった。

1999、HOT RODで反撃の狼煙を上げた吉川晃司。
しかしリリースに関してはこれからさらに停滞期に入る。
当時をリアルタイムで知らない人が、ディスコグラフィだけを頼りに吉川晃司の活動をチェックしたとしたら、こと1999年8月のHOT RODから徳間ジャパンに移籍する2002年までの約2年、活動休止でもしていたと思われそうだ。

この期間の間に吉川は三池崇史監督の映画「天国から来た男たち」※主演・「漂流街」という2本に出演した。(公開順は逆)
アイドル時代の終焉、独立する渡辺プロへの置き土産になるはずだった「シャタラー」以来だから公開日ベースで言っても約13年ぶりの映画出演である。
CDやビデオ/円盤のリリースが無かったから「俳優に転向したのか?」と思った人もいたかもしれない。
リリースがあったとしてもこの頃の吉川はまだ世間の人には「あ、まだやってたの?」と言われていたのだけれど。

オリジナルアルバムはゼロ。
映像作品もゼロ。
かろうじてシングルとライブアルバム、それとブックレットのついたミニアルバムがそれぞれ1枚出ただけだった。
実際は何があったのか吉川自身の問題があったのかそれとも単純に資金不足だったのか今となってはもうどうでもいいが、この頃はさすがに本気でレコード会社に不信感を持ったものだった。
もしも吉川の接点がCDやビデオのリリースと劇場公開された映画しかなかったなら。
私だって「この人活動休止して俳優になるの?」と思ってもおかしくはなかったと思う。


しかし。
HOT ROD MANツアーで反撃の狼煙を、咆哮をあげた吉川はそんな状況を蹴散らして走り始めていた。

2000年5月。
ちゃんと、吉川はライブの場に戻ってきた。

KOJI KIKKAWA "HOT ROD MAN RETURNS LIVE 2000"

「Returns」。

あのHOT ROD MANではまだ叫び足りなかったかのように。
追加公演のようなタイトルのツアーが始まった。
追加公演。
それは、ライブハウスツアーだった。
多分、ツアーとしてライブハウスを回るのは吉川としては初めてだし、オールスタンディングのライブハウスは私も初めてだったと思う。

前年にライブ欲を煽られて煽られてうずうずしていた私は2000~2001にかけて、私にしてはものすごく珍しいことだが、当時インターネットの某BBSで意気投合した友人たちを片っ端から誘って吉川のライブに連れていった。
そのせいもあって、ホールツアーに戻った2001年にはこれまで遠征するにしてもせいぜい名古屋や東京だけだったのに群馬や福岡にまで足を伸ばすようになった。地方遠征へのハードルが下がったのはこのあたりからだ。
初心者の友人を連れていくにあたり、私は多少なりと吉川晃司の音楽がどんなものなのかを知っておいてもらった方がいいだろうかと思いついた。
今回のタイトルはなにしろ「Returns」なので、きっと前年の「HOT ROD MAN」ツアーのセトリがベースになるだろう。
そう思って、主要な、知っておいたら現場で盛り上がれること間違いなしの曲を編集して予習用のカセットだったかMDだったかを作って送ったりもした。ライブ前にこんなにわくわく編集したのは久しぶりだったかもしれない。

で。

この時のセトリ(拾いもの)


FANTASIA
LUNATIC LUNACY
キャンドルの瞳
Stripper
SOLITUDE
PEEKABOO
HONEY PIE
ロスト チャイルド
RAIN BEAT
星の降る夜に
GIVE ME A BREAK
ROUTE 31
Strange Fruits
IMAGINE HEROES
LOVIN' NOISE
SPEED
恋をとめないで

=アンコール=
Brain SUGAR
BOY'S LIFE



ちょっときっかわさん?!
去年とセトリがぜんっぜん違うんですけど???!!!


初心者の友人たちに間違った予習MDを提供してしまったことは本当に申し訳なかったのだが、私はこんなサプライズに狂喜せずにはいられなかった。

以前の、特にアルバムツアーの時はアルバムの曲をメインに、だいたいお決まりの曲のチョイスで出来たセトリが多かった。また、アルバムツアーが終わると二度とセトリに入らないような曲も少なくなかった。
しかしアルバムツアーではないこのライブツアーのセトリは、絶妙にうっすら懐かしい、古すぎないけれど久しぶりに聴きたいなと思えるあたりの曲が選ばれていて、次の曲に入るたびイントロが流れるたびに「ぎゃーーー!!」と叫んでしまったりしていた。
StripperやStrange Fruitsなどはもしかしたらライブ初お目見えだったかもしれない。

ライブハウス公演のせいか、普段より曲数も時間も少なめだったが「これ以上やったら倒れます」くらい盛り上がったと思う。
東名阪6公演、期間は1ヶ月にも満たない「ツアー」と呼んでいいのかも迷うツアーだった。

しかし私はそろそろ確信していた。
ステージに立つ吉川晃司はもう無敵だ。

数ヶ月してもまだツアーの熱が醒めない頃、「漂流街」が公開された。
主人公よりも目立っていた吉川晃司と及川光博。
まさかこの伏見というちゃんと原作に存在するキャラクターが、伏見ジェットなどという奇妙だけどひたすらカッコいいキャラに転生するなんて思わないし、まさかこの数年後から及川光博のツアーにも通うようになるとは思っていなかったけれど、それはまた別の話。

そしてこの年の終わりごろ、このツアーのライブアルバムがリリースされた。

Spirit×ナイフ ~GOLDEN YEARS MILLENNIUM EDITION~

ジャケットの、短かめの銀髪がゾクゾクする。
ライブで「なんかわからんが無敵」になった吉川と「俳優・吉川晃司」のリスタート。

なんだ、21世紀はすごく面白くなりそうじゃないか。



---吉川晃司と私 buck number---
【1】(1984~85)~出会う前~
【2】(1986)~鮮烈すぎる出会い~
【3】(1986~1988)~解体への…~
【4】(1989~1990)~COMPLEX~
【5】(1991)~LUNATIC LUNACY~
【6】(1992)~Shyness Overdrive~
【7】(1993)~10th Anniversary~
【8】(1994)~My Dear Cloudy Heart~
【9】(1995)~FOREVER ROAD~
【10】(1996)~BEAT∞SPEED~
【11】(1996~97)~0015→HEROIC Rendezvous~
【12】(1999)~HOT ROD~
【13】(2000)~HOT ROD MAN RETURNS~
【14】(2001)~SOLID SOUL~
【15】(2002)~PANDORA~
【16】(2003)~Jellyfish&Chips~
【17】(2004)~20th Anniversary~
【18】(2005)~エンジェルチャイムが鳴る夜に~
【19】(2006)~Savannah Night~
【20】(2007)~TARZAN~
【21】(2008)~SEMPO,and・・・~
【22】(2009)~25周年、両刃の剣を携え~
【23】(2010)~夏と冬のGROOVE~
【24】(2011)~日本一心~
【25】(2012)~愚~
【26】(2013)~SAMURAI ROCK~
【27】(2014)~反発の30年~
【28】(2015)~骨折してもシンバルキック~
【29】(2016)~WILD LIPS~
【30】(2017)~ライブこそ人生~
【31】(2018)~武道館で、笑顔の再会を~
【32】(2019)~吉川晃司、起動。~
【33】(2020)~空に放つ矢のように~
【34】(2021)~BELLING CAT~
【35】(2022)~OVER THE 9~
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