day by day

癒さぬ傷口が 栄光への入口

吉川晃司と私(2006)~Savannah Night~

2019-12-04 | キッカワ。
20周年イヤー後の休養期間は2005年の筈が、2006年になってもなかなか吉川晃司は始動してこなかった。
確か2005年の夏ごろにはアルバム制作中でという話をしていものの、結局それがリリースされることはなく。もしかしたら何かしら納得のいかないことでもあって没にしたのかもしれないがそれについてどこかで言及していたかどうかもはっきりした記憶がない。
私はというと、大阪近鉄バファローズを失った後生まれた新球団・東北楽天ゴールデンイーグルスを見守るのが忙しく吉川の本数が少なければ少ないで野球場に足繫く通う日々になっていた。

そして吉川は潜っている間、新しい模索を始めているようだった。

テクノDJユニット・DISCO TWINS
吉川晃司とテクノ。
80年代のジャンルなんでもこい歌謡曲の頃ならまだしも、どこにも接点がなさそうな組み合わせが密かに誕生していた。
だが実際に「どうした???」となったのは8月になってから。
抜き打ちのように、DISCO TWINSのアルバムに登場した吉川晃司。feat.の形で部分的に参加しているので吉川晃司のディスコグラフィには登場しないそんな1枚に、あの曲が入っていた。

Juicy Jungle。 JUICY JUNGLE/DK2T MIX



今ではコンサートの終盤やラストの最後の盛り上がりに多く演奏される、吉川の楽曲の中では明るく楽しく単純に踊ってはしゃげる珍しいタイプの曲だ。
このアルバムに収録されているバージョンは、当然主がDISCO TWINSなのでよりテクノ色の強いアレンジで歌詞も少し違う。観客が振りを真似して腕で頭を巻くゼスチャーをする「アナコンダ巻いて♪」はこの時はまだ無い。他にも細かい歌詞が少しずつ違ったりする。
この時制作されたMVはこのバージョンのもの。"吉川晃司"が3Dキャラクターのように使われていて面白い。見ていて飽きないしこれまでMVでは表現されることがなかったちょっとした吉川の可愛いさみたいなものも匂わされていて好きな作品になっている。
ちなみに吉川側に寄せたアレンジの「DISCO K2 TWINS」名義でシングルカットされたものはアメリカのキッズアニメのようなキャラクターデザインのアニメで制作された。

吉川晃司とDISCO TWINSの新ユニット〈DISCO K2 TWINS〉が、9月29日にシングル“Juicy Jungle”をリリース(2006/9/29)





Juicy Jungle/ALBUM MIX



そんなJuicy Jungleが日の目を見るより少し前のこと。
結局アルバムのリリースもないままやっと半年以上のブランクを置いて7/1に始まったツアーで披露されたのが「サバンナの夜」(リリースは7/12)。 サバンナの夜



Juicy Jungleと並び、翌年リリースされるアルバムへの伏線となる野生の渇望とでも言うシリーズと言いたいところだが、歌詞もMVも夜のクラブでみつけた女性を"狩り"に行きたいナンパsongで「どこがサバンナやサバンナ言いたいだけやないかーい!」と突っ込むべきか迷うとか迷わないとか…。
と、そんな歌詞はともかくとして曲はノリがよく激しすぎず踊れて良い。
多分、DISCO TWINS──というかテクノとの出会いは吉川にまた新しいテイストを齎したしそれをちゃんと自分の世界を崩さずに自分流に取り込めるから吉川の軸はブレないままだ。
方向性の振幅が大きかった頃に出会っていたらもしかしたらよくわからない方向に振れてしまっていたのかも、などと思う。この時だったから良かったんだろう。

また、このツアー初日に解禁された情報が、劇場版仮面ライダーカブトの主題歌「ONE WORLD」(リリースは8/9)。 ONE WORLD


この頃にはまだ私は仮面ライダー(いわゆる平成ライダー)を好きで毎週欠かさず見ていたので、突然縁が遠いと思っていた好きなジャンルが繋がったことが驚きとともに嬉しかった。
この初日NHKホール終演後、外に出ると仮面ライダーカブトとザビーが来ていて笑ってしまったものだ。
この時は「出演したかったけどもう撮り終わってるからと断られた」などと語っていたのだが、まさかその仮面ライダーとの縁が続く、それどころか数年後本当に、しかもあんな重要な役で、出演する日が来るとは本人も思っていなかっただろう。

アルバムがなかなか出なくて焦れはするものの、なんだか色んなことがいい方へ回転し始めているように感じた。もう完全に底は抜けたな、と。


この年の本ツアーは短く、最後にファイナルのような実質別ライブのような武道館公演。

KIKKAWA KOJI LIVE 2006 "Savannah Night~Club Jungle~"(2006/7/1~9/10)

2006年のライブまとめ。(吉川以外の公演も入ってます)
《FLASH BUCK》LIVE!2006

期間も本数もそれほど多くないツアーだったが2005年に本ツアーが無かったこともあり10/1も含めると7本のうち6本、突然入っていた愛媛の会場以外は全通という通い方をしてしまった。←ちょっとおかしい


この時のメンバー。
吉川晃司〔Vo./G.〕
弥吉淳二〔G.〕
井上富雄〔B.〕(ツアー途中で小池ヒロミチに交代)
坂東慧(T-SQUARE)〔Dr.〕
ホッピー神山〔Key.〕
スティーヴエトウ〔Per.〕

ヤヨッシーはこの後しばらく固定メンバーとして参加。
今回新しく入られたベースの井上さんはツアー途中に倒れられ、結局黄金カルテットの一員だった小池さんが引き継ぐことに。この後10年近くそのままベース担当に。
ホッピー神山が本格的にメンバー入り。このまま現在(2019)に至る。
スティーヴエトウは久しぶりの参加。


本ツアーのセトリ。


サバンナの夜
LA VIE EN ROSE(名古屋から)
ナーバス ビーナス(名古屋から)
MODERN VISION(DK2T-MIX)
Modern Time(NHKのみ)
ROMANCER(NHKのみ)
ODEON 19860318
BOMBERS
SPICY
ONE WORLD
LOVE CHARADE
ROUTE31
パンドーラ
SEX CRIME
サイケデリックHIP
A-LA-BA・LA-M-BA
TOKYO CIRCUS
ナイフ
LEVEL WELL(名古屋から)

=アンコール=
すべてはこの夜に(NHK・名古屋)
ポラロイドの夏(カナケンから)
LEVEL WELL(NHK)
サバンナの夜(名古屋から)


ちなみに8/18バースデーライブはライブハウス(SHIBUYA-AX)だったのとゲストがあったためセトリは部分的に大きく違う。


サバンナの夜
LA VIE EN ROSE
MODERN VISION(DK2T-MIX)
LOVE CHARADE
ROUTE31
ONE WORLD

=アコースティックコーナー(with原田喧太・瀧川一郎)=
せつなさを殺せない
MISS COOL
心の闇(ハローダークネス)
RADIO GUITER
=アコースティックコーナーここまで=

パンドーラ
A-LA-BA・LA-M-BA
TOKYO CIRCUS
ナイフ

=アンコール=
ポラロイドの夏
パラシュートが落ちた夏(with一郎・喧太)

=アンコール2=
SEX CRIME(吉川withサポメン・喧太)


このツアーはしっかりレポートも書いたので記憶もまあまあしっかりしているのだが、初日のセトリと構成がどうにもしっくりこないな盛り上がらないなと思っていたら2公演目から大きく変えてきたのでやはり演っている方もしっくり来なかったのだろうなと思う。名古屋からはしっくりきた。
そしてアルバムツアーではないので、普段あまりやらない曲が入っているのが俺得なセトリだった。

AXで、元黄金メンバー(笑)の原田喧太が瀧川一郎(D'ERLANGER)を伴ってゲストで登場した時に
「元カノが今彼連れて遊びにきたー」
と思ったとか思わなかったとか…(思うな)
このアコースティックコーナーの選曲はもともと吉川ファンだったという瀧川一郎が、ファンが喜びそうなレア曲をやりたい!とリクエストしたという。ファン目線がどんぴしゃすぎてたまらん。

9/10に愛媛で一通りの本ツアーを終了して少し間を置き、武道館で1日限り開催されたのが
KIKKAWA KOJI LIVE 2006 ROLL OVER the DISCOTHEQUE! from Club Jungle
いつも思うんだけど本当に吉川さんタイトル長いです…。時々ブログのタイトル欄に入りきらんよ…。

グッズを買った後武道館前で開演を待っている時に雨が降り出し、買ったばかりのビッグタオルが役に立ってくれたこと、飾られた巨大な迷彩ペイントバナナ、使い捨てライターにLEDライトを仕込んで「武道館を照らして下さい」みたいに売ったものの誰も使わない(吉川ファン演出に協力しなさすぎ問題)など思い出される。

この日は本ツアーの流れを汲みつつも、DISCO武道館で踊りまくろうぜ!というコンセプトだったらしくセットリストも若干手を加えられていた。
この日はDISCO TWINSの二人も登場し、オープニングアクトから3曲目まではディスコアレンジで飾られる。新鮮。また、中盤のアコースティックコーナーではヒューマンビートボックスMOTOも加わった。

2005年の終わりにジャズミュージシャンや普段一緒に演奏しない顔ぶれとライブをやったのがすごく楽しかったのではないかと私は思った。原田喧太こそ長年一緒にやってきて気心の知れた相手だが、新鮮なジャンルや音を得て生き生きと泳いでいる様子の吉川晃司は見ていてとても気持ちいい。


OP:DISCO TWINS K2 MEGA MIX

サバンナの夜(with DISCO TWINS)
LA VIE EN ROSE(with DISCO TWINS)
MODERN VISION(DK2T-MIX)(with DISCO TWINS)
CRY/MARIA~不覚なKISS~
Black Corvette'98

ROUTE31
2人のANOTHER TWILIGHT
ONE WORLD

=アコースティックコーナー(with原田喧太・瀧川一郎/MOTO)=
GLAMOROUS JUMP
MISS COOL
1990
RADIO GUITER
=アコースティックコーナーここまで=

DATE RIPPER
LUNATIC LUNACY

サイケデリックHIP
TOKYO CIRCUS
ナイフ
LEVEL WELL

=アンコール=
ポラロイドの夏
パラシュートが落ちた夏(吉川・一郎・喧太)
Juicy Jungle (ゲスト:DISCO TWINS/& all)

=アンコール2=
SEX CRIME(吉川・サポメン・喧太)

※太字:本ツアーでは演奏されなかった追加曲

アルバムツアーではないツアーをやる機会が増えたからなのか、それとも観客の要望が届くようになったのかはたまた自分で飽きないようにしているのかはわからないがイントロがかかるとドキっとしたり飛び上がってテンションが上がってしまうような曲をやることが増えてきている。そうなると「次のツアーではどんなサプライズ選曲が?」と楽しみになってくるものだ。持ち歌が増えていくということはその楽しみもどんどん増えていくということ。
これは長く見続けていることの醍醐味のひとつではないだろうか。

謎の迷彩バナナとともにあっさりと終わった2006年だったが、それが単なる伏線、前フリ、前奏でしかなかったということをすぐに知ることになる。



森の奥深く響くあの声を聴く、つぎの春には。





余談だがテクノは私にとって空白に近いジャンルで、不見識極まりないのだがDISCO TWINSの二人がその界隈ではそれなりキャリアと名の通った人たちだとは知らなかったので最初は「ベテランとやった次は他ジャンルの若い人とコラボか~」とか思ってて本当に申し訳ない。吉川に比べれば確かに若いけど若手というレベルの人たちじゃなかった…。
また、そのたった4年後のことだがDISCO TWINSのひとり・KAGAMIは34歳の若さで急逝した。
若い才能ある人を喪うのは本当に残念でならない。ご冥福をお祈りします。





---吉川晃司と私 buck number---
【1】(1984~85)~出会う前~
【2】(1986)~鮮烈すぎる出会い~
【3】(1986~1988)~解体への…~
【4】(1989~1990)~COMPLEX~
【5】(1991)~LUNATIC LUNACY~
【6】(1992)~Shyness Overdrive~
【7】(1993)~10th Anniversary~
【8】(1994)~My Dear Cloudy Heart~
【9】(1995)~FOREVER ROAD~
【10】(1996)~BEAT∞SPEED~
【11】(1996~97)~0015→HEROIC Rendezvous~
【12】(1999)~HOT ROD~
【13】(2000)~HOT ROD MAN RETURNS~
【14】(2001)~SOLID SOUL~
【15】(2002)~PANDORA~
【16】(2003)~Jellyfish&Chips~
【17】(2004)~20th Anniversary~
【18】(2005)~エンジェルチャイムが鳴る夜に~
【19】(2006)~Savannah Night~
【20】(2007)~TARZAN~
【21】(2008)~SEMPO,and・・・~
【22】(2009)~25周年、両刃の剣を携え~
【23】(2010)~夏と冬のGROOVE~
【24】(2011)~日本一心~
【25】(2012)~愚~
【26】(2013)~SAMURAI ROCK~
【27】(2014)~反発の30年~
【28】(2015)~骨折してもシンバルキック~
【29】(2016)~WILD LIPS~
【30】(2017)~ライブこそ人生~
【31】(2018)~武道館で、笑顔の再会を~
【32】(2019)~吉川晃司、起動。~
【33】(2020)~空に放つ矢のように~
【34】(2021)~BELLING CAT~
【35】(2022)~OVER THE 9~
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2 Comments

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Unknown (ISSEI)
2019-12-07 03:20:17
吉川晃司さんのセトリ検索でたどり着きました。詳しいですね。私もアメブロで似たようなコトやってますので良かったら遊びに来て下さい。
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Unknown (sinus_dbd)
2019-12-10 23:24:01
>ISSEIさま
自分の記憶を情報で補完しながらなので間違いも多いと思いますが読んで頂けて嬉しいです。そちらのブログも読ませていただこうこ思います。
ありがとうございました!
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