そのひとは
半分枯れている花を
背伸びして撮っていた
すき間からのぞく青空
空もつめたい青だ
「その花は落ちている方がステキです」
と口から出ないように息をはく
シャッター音とため息は
冬らしくつめたい
この頃 写真は嘘つきになった
歓びと悲しみが同じように写ってしまう
冬の夕暮れだって
悲しくないような雰囲気になる
そのひとはまだ撮っている
もう後ろ姿でしかないその花を
ねえ沈黙は写るかい
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