【 Photo by Jun Hiraoka 】
命が飛んでいるんじゃなく
思い出が去っていこうとしているんだ
音を立てて波をたてて
去ろうとするから水を濁らせ
去っていくから心をざわつかせ
心に爪を立て
記憶に傷をつけ
そして思い出は飛び立っていく
今日もどこかで流れる葬送曲は
いつまでも悲しくさせるため流れ
今もどこかで囁かれる思い出話は
もう止まった涙をまた溢れさすために続き
明日も聞こえてくるあの歌は
永遠のヒロインにするために流れ続ける
まだ涙を流そうとする人よ
もうボクを連れ戻さないでおくれ
ボクが見ている花は
今朝咲いた花なのだから
ボクの別れの言葉は
あの朝の雪とともに消えたのだから
ありがとうの言葉は残しておくれ
まだそれだけは言っていたいから
さよならは全部持って行っておくれ
もうそれは言い尽きたから
また逢えたねは覚えておきたいんだ
いつかまたどこかで逢った日のために
雪も桜ももうみんな忘れたころに
帰ってくる思い出に
感謝はしないけれど
ありがとうだけは言っておくよ
今日 少しだけ
やさしい匂いがしたから
今日少しだけ
懐かしい匂いがしたから
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