冬晴の爆音隣家に子のひとり デスマスク冬日にかざす夢なかば 冬晴やマツコ・デラックスといふ白さ 寒晴や生涯小男を通す 冬日満つ二十一世紀の虚子はなく 死者のごとく追いつ追われつ冬日中 人類は滅ばず凍空の続きをり 凍雲や十五で上京恋あまた(Tさん) 冬の雲流れて故郷捨てし過去 終電のどこかで続く冬の月 人生に指針はなくて寒暮中
冬の日の師は八十五歳うつつなり 冬の日や夢あれば夢ほとばしる 冬暁の何の伽藍ぞ馬奔る 寒暁のこの道たどれば滅ぶ家 冬晴の上野に蒼き兵馬俑(国立博物館で開催中) 短日や本所松阪吉良邸址 短日の渋谷に佇てばもののけす 金龍香一本燻らす霜夜かな 暴走機関車寒夜のビデオ店揺らす ファミレスの二人影なす寒暮かな 寒夜行「おおかみこども」の続編あり 夜半の冬白夜に続く闇夜あり