月の雫海の吐息

月海です。うさうさと感じるままに、思うままに、
言の葉つづりしてます

言の葉の庭のあと

2013-07-04 16:40:00 | 恋物語


主人公の最後のセリフが止まると
静かに会場が明るくなった
十数名ほどの観客がそこにいた
水を打ったようにしんと静まった会場
人の息さえ聞こえないほど静まりかえっていた
だれも席から立ち上がれなかった


“愛”よりも昔、“孤悲”のものがたり。
サブタイトルにあった言の葉の綴り







昼時にしては
電車は空いていた
今日はこんな天気だから。。

雨が降れば土砂ぶり
上がれば 蒸し暑くて
外出を躊躇うような陽気

どんよりと灰色の景色の車窓を眺めつつ
いくつめかの駅で下車した
駅から数分のところに映画館はある

足元からの振動を感じなから
懐かしい声を思い出していた





「終わっちゃうぞ」

「なに?」

「いい加減なやつだなあ、自分で行きたいって・・」

忘れていたわけじゃない。。
心のなかでつぶやいた
ただ 相手を考えていた
一人では辛すぎる
でも・・誰でもいいとは言い難く
一緒に見る相手を 決め兼ねていただけ


「チケット買ってある。並んでみるのが嫌なら」


「別々に座ればいいだろう」



男友達の嫌なところだ

それなら 一緒に行かずに
 私の分だけ用意してくれればいいのに。。。

断るきっかけを失ったまま
上映最終回に飛び込んだ





映画館の中は
ほとんど観客がいない

「俺は ここで観るから」

男友達は 一番後の席に一人で座ってしまう

私は返事もせずに ひとり 
落ち着く席を探した


間もなく 映画は始まった





心の傷にかぶるものがある
そんなストーリーの映画
一人で見たあとに
しっかりと歩く自信がなかった


明るくなった会場で
男友達に 頭をこづかれた

「かえるぞ」


やだ。。また 借りができた。。。





すっかり 忘れていた
そういえば
その時の借りは 返さないまま
ずいぶん時間が経ってしまった
近々 久しぶりに
一人で映画観てきたよ。。って
男友達には連絡を取ってみよう







映画の中での雨のシーンって
どうしていつも こんな綺麗なのだろう
本当は濡れて気持ち悪くて
悲しくて辛くて嫌な日なのに

そんなことを
映画を見終わった私は感じていた
自分の中の雨の思い出と比較している

時々ふと思い出しては
心の痛みに耐え兼ねて
何か優しい物語とすり替えている
でも

きっと 
あの人はどうしているのだろう

そう言う気持ちがずっと
ずっと


心の片隅に残り続けているのだろう


思い出の中のあの人は
 いまごろ
どこで何を おもっているのだろう

そんな出会いがあったことが

素敵だった

そう思えるほど
大人になってしまった私が
ここにいる



あなたは

思い出してくれることが


あるのかしら。。。







私は

すっかり 大人になりました。






Good day and Peace and Love




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